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プレイステーション3版『頭文字D EXTREME STAGE』・・・開発者に聞く

豆腐屋の息子で高校生の藤原琢海が、すでに時代遅れの旧型と評された銘車、AE86スプリンタートレノを駆って峠に挑み、最新のスポーツチューンドカーに勝利していく。そんな公道レースを舞台に大人気となっているコミック『頭文字D 』が、ついにプレイステーション3対応のゲーム『頭文字D EXTREME STAGE』になって登場しました。その美しいグラフィックと、ユニークなゲームシステムはアーケードゲーム最新作『頭文字D ARCADE STAGE 4 改』の完全移植版であり、さらにインターネット対戦などの新たな要素を追加した意欲作です。

ゲームビジネス その他
頭文字D EXTREME STAGE
  • 頭文字D EXTREME STAGE
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PS3版の特長はネットワーク機能

PS3版にはネットワーク機能が盛り込まれています。これはアーケード版の対戦機能よりも多彩なアイデアが盛り込まれています。

「走行性能をアーケート版とPS3版をそろえたのに対し、ネットワーク機能は差別化しましたアーケードでも隣の人と走れますけれど、家で、全国のライバルと走れるところですね。次にネットワークでいろいろな物が買えたりダウンロードできますよという部分。パーツやクルマなどをネットワークで追加できる。さっそく、7月24日にアルテッツァとRX-8とロードスターの3台を追加しました。この3台は無料でダウンロードできます」

さらに8月1日にはマイキャラ(アバター)のパーツが発売されています。マイキャラはインターネット対戦で自分の姿をアピールする画像で、男性用が27パーツ、女性用か26パーツで320円。ゲームを進めるとある程度は無料で追加されますが、さらなる個性の演出ができます。しかも、なんとなくしげの秀一先生風の絵柄で、自分の似顔絵をしげの先生が描いたらどうなるのか、そんなシミュレーションも楽しめそうです。



ところで、今後は原作で新しい車種が登場したら、ゲームでも使えるようになるのでしょうか?

「やってみたいですね。このゲームがたくさん売れたら、もっと投資できるはずです(笑)」

逆に、原作に出ていないクルマだけど出して欲しいクルマは?

「それはもういまのバージョンにもたくさん収録されていまして、ほとんど僕の好みなんですけれど(笑)。たとえばGTRだとR32はOK。R34もOK。だけどR33はダメ。こういうチョイスって、普通のレースゲームのユーザーだと怒る人もいると思うんですよ。でもイニシャルDのユーザーは怒らない。あれは峠を走るクルマじゃない、って解ってますから。車種の選定については、峠に似合うか、しげの秀一先生の世界観に合うか。そこで筋を通しています。ここで選択を間違えるとプレイヤーの信頼を失ってしまうと思っています(新井氏)」

ただし、データ量が膨大になるため、ダウンロードでのコースの追加は難しいということです。原作に新たなコースが登場した場合は、PS3版も次のタイトルになるという感じになりそうです。現に、アーケード版では次のバージョンの開発が進んでいて、テスト版を設置している店舗もあります。

「アーケード版の4には入っていないコースとして、PS3版には八方ヶ原が追加されています。実はこのコースはアーケード版の 3に入っていたんですが、難しすぎて不人気だったことと、4ではアーケード筐体のマザーボードが変更になって、収録しきれなかった。それをPS3版で復活させました。でもこのコースは流用ではなくて、基礎データを元に現地調査をして新たに作りました」

難しいコースをじっくり攻略できのもPS3版のメリットかもしれません。しかもそのコースを極めた者同士がネットで対戦できるというのは、これはアーケード版のファンにとっても気になるところです。

「ネットワークに繋ぐ、タイムアタックランキングの上位プレーヤーのリプレイ動画を見られます。その走行データを使うと、ゴーストカーとして一緒に走れます。これもPS3ならではですね(新井氏)」

実際にはネットにつながないでもっと速い人もいるかもしれません。でも、速い人ほどネットに繋ぎたくなるはずです。自分のタイムを証明したいし、走りを見て欲しいと思うはずです。

「そういう部分もネットワーク対応の良さだし、ネットワーク接続の普及につながると思います。いま、PS3プラットフォームではだいたいプレイヤーの3割くらいがネットにつないでいると言われますが、少しずつ増えるだろうと期待しています(新井氏)」

ネットワーク機能で原作とゲームを繋いでいく

頭文字Dの原作は1995年にスタートしました。以来10年以上に渡って連載され続け、幅広い世代に親しまれている作品です。ゲームセンターには10代から20代前半の若者が多く、コミックは昔ながらの30代以上の読者がいます。では、PS3版のターゲットとなるユーザーはどのような人なのでしょうか。たとえば「アーケード版が好きで、家でもやりたい」という人向けに作っているのか、それとも、プレイステーション3のユーザー層があって、ゲームセンターには行かないけれど頭文字Dを知っている人なのかでしょうか。

「ゲーム好きと言うよりは原作を好きな人に売りたかった。ちょうど今回は原作の37巻が出るタイミングだったので、帯でも宣伝させて頂きました(藤本氏)

「PS3を買っている年齢層は高いんですよ。サラリーマン20台後半から30 代くらいです。アーケードに来る人は中高生が中心です。原作は長く連載していますが、実は読者は若いのではないかと。同じ読者がずっと買っているというよりも、常に若い読者に入れ替わっている。昔読んでいたけれど今は読まなくなったという人も多いかわりにどんどん若い読者が増えている。そういう印象があります」

「原作を卒業している人は多いんじゃないでしょうか。もちろんずっと読んでいる人も多いと思いますが。だから、漫画を買っている人にも読んで貰いたいと同時に、かつて読んでいた人にも読んで貰いたい。実は、原作をダウンロード購入して読める機能が付いているんです。最近のヤツは読んでないな、とか、昔の話も読みたいなという人に向けた機能です。レースで遊んで、そういえばこのキャラクターはどんな走りだったっけ、というときにすぐに原作を確認できます(藤本氏)」

『頭文字D』は知名度が高く、原作を読んでいなくても知っている人は多い作品です。豆腐屋の兄ちゃんが古いクルマで最新のスポーツカーに勝っていく、その爽快さがクチコミでも伝わっています。だからアニメを見たりゲームを遊ぶにも抵抗がない、逆に言うと、まだ原作を読んでいなくて、アニメやゲームから頭文字Dに入ってきた人も多いのでしょう。

「原作物なのに、原作を読んでいない人がけっこう多いんですよ。そういう人たちのためにも原作を読んで貰いたかった。だからダウンロードで読める機能にこだわったんです(藤本氏)」

コミックは1巻320円。コンビニで販売しているプラチナシリーズで、現在は胎動編の1巻から5巻までを購入できます。

「PS3でネットワーク接続しているユーザーは少ないんですよ。でも、無料でクルマがもらえたり、本より安い価格でコミックが読めたり、そういうお楽しみ機能がきっかけでネットワークに繋いでくれたら嬉しい。繋げばそこからネットワーク対戦という新しい楽しみが待っていますから。ネットワーク対戦で自信を付けたら、ゲームセンターにも足を運んで欲しい(新井氏)」

PS3版の『頭文字D EXTREME STAGE』には、原作を知るすべての世代へゲームを届けたいというセガの思いが込められています。そして、ゲームやアニメに親しんだ人々へ原作の面白さを知って貰いたいという仕掛けも作ってあります。

本格的なレースゲームでありながら、ゲームの登場人物になった気分で遊べる、そんな新しい体験が『頭文字D EXTREME STAGE』の特長です。夢中でレースゲームにはまる喜び、原作の世界に入り込み、100%バトルに集中して勝負をモノにする快感を得たいのならば、PS3と 『頭文字D EXTREME STAGE』を入手しましょう。これがあれば公道レーサーの心の故郷、秋名山へ帰れるのです。

(C)しげの秀一/講談社 (C)SEGA All manufacturers, cars, names, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. All rights reserved.

(この記事は姉妹サイト「レスポンス」が制作しました)
《杉山淳一》
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