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【CEDEC 2009】DSサウンド開発秘話~音楽とバトルゲーム性の融合、作業効率化によるコスト軽減~

ニンテンドーDS用ゲーム『シグマハーモニクス』ではゲームと音楽の融合が行われました。株式会社スクウェア・エニックスの開発部サウンド室の鈴木 光人氏、プランナーの佐藤 泰弘氏がその開発秘話を公開しました。

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ニンテンドーDS用ゲーム『シグマハーモニクス』ではゲームと音楽の融合が行われました。株式会社スクウェア・エニックスの開発部サウンド室の鈴木 光人氏、プランナーの佐藤 泰弘氏がその開発秘話を公開しました。

『シグマハーモニクス』は独特のバトルシステムを採用しています。音楽に合わせてゲージが上昇し、満タンになるとコマンドが使用できるようになるのです。

曲とバトルゲーム性イコライザ数値データの作り方

勇ましい曲は早くゲージが上がるなど、曲のイメージがゲージの増加速度に直結するため、サウンドへの曲の発注は通常よりも配慮が必要だったといいます。

音楽とゲージの増加がシンクロさせるためには、音の波形を数値化して「どれくらいゲージが上がるのか」を指定する必要があります。

この作業には当初フリーソフトが使用されていましたが、「バグ対応に不安がある」(フリーソフトは作者の善意で作られているものなので、バグを報告しても対応されるかどうかは状況次第)、「フリーソフトのどこかに著作権があるものが使われている可能性がある」といった理由から市販ソフト(Photoshop)へ変更。特に後者の問題は最悪で裁判に繋がることもあり得るデリケートなものであり、現在は「フリーソフトは使うな」ということが合い言葉になっているそうです。

最長のバトル曲は2分30秒。フレームにすると4500フレームとなり、本来シンクロしているはずの曲とゲージの増加が少しずつずれていくという現象が起こったそうです。これに対応すべく、プログラム側では1フレームごとに修正が行われているといいます。

また、メーターが派手に動くよう音の波形を加工するといった作業も行われました。これはゲームに特化したミックスであり、曲をサウンドトラックに収録するため再度ミックスする必要がでてくるなど作業量は増えるのですが、ゲームとしての面白さを追求するため敢えて波形の加工に踏み切ったといいます。この作業ではサウンドコンポーザーとプランナーが同じ環境を整備したことが両者のコミュニケーションに役立ったとのこと。

「音楽がゲームに乗るのではなく、バトルと音楽を絡める」ことがテーマだったそうで、これを踏まえて再度『シグマハーモニクス』のバトルを体験するのも面白いのではないでしょうか。
《水口真》
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