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【ゲームニュース一週間】3DSに見る勝ちパターン、新技術テストとしてのゲーム機

ゲームの祭典E3が終わり、「ニンテンドー3DS」が大きな話題を集めています。

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ゲームの祭典E3が終わり、「ニンテンドー3DS」が大きな話題を集めています。

任天堂の岩田聡社長は「ニンテンドー3DS」の開発秘話を明かしていますが、3D表示自体は2年前に提案されたものであるとのこと。これまでにもゲームボーイアドバンスで3D表示のテストをしていたものの、満足できるものでなかったため一度はお蔵入りに。これが復活したのが「ニンテンドー3DS」であり、3DTVと歩調を合わせられたことは「大きな幸運だった」としています。

「ニンテンドー3DS」の発表タイミングは、端から見ると完全に狙い澄ましたように見えます。岩田社長の言葉を100%信じるのであれば、これは幸運の賜物であり「「ニンテンドー3DS」に3D表示を取り入れた2年前にこうした動きを予想することは不可能」だったそうです。3Dに関するたゆまぬ研究を続けていたからこそ幸運が舞い込んできたというわけで、基礎研究の大切さが分かる逸話といえるでしょう。

岩田社長は「ニンテンドー3DS」のメディアプレイヤーとしての可能性にも言及。3D映画を「ニンテンドー3DS」で見るという選択肢に関し、ハリウッドとのパートナーシップを希望している・・・と語っています。

これまで任天堂ハードではメディアプレイヤー機能はあまり重視されていませんでした。WiiではDVDソフトは再生できませんし、ゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSも単体での音楽・動画再生は不可能でした。しかし、これからは3D映画を「ニンテンドー3DS」で見られるようになるかも知れません。3D映画を視聴する環境を整えるには高額の投資が必要とされてきましたが、「ニンテンドー3DS」ならゲームもできる3D映像プレイヤーとなり得ます。

ゲーム機と映像プレイヤーとしての需要は相容れないように見えて実は密接に絡み合っています。プレイステーション2は「ゲームも遊べる手頃なDVDプレイヤー」として好評を博し、DVDプレイヤーが低価格化するきっかけを作ったといわれていますが、「ニンテンドー3DS」でも同じことが起こるかも知れないのです。

では「ニンテンドー3DS」は3DTVを叩き潰してしまうのでしょうか?岩田社長は「視差バリア方式では特定の視野角が必要とされる」と指摘、3Dメガネを必要としないTVが出てくるだろうが、それには何らかの発明が必要である・・・と語っています。

「リビングに「ニンテンドー3DS」を置き、一家揃って3D映画を見る」ことは難しいようですが、WiiがNetflixのストリーミングサービスに対応したことを考えると、個人向けの配信サービスの需要は十分にありそうです。

1987年のファミコン3Dシステム、1995年のバーチャルボーイ・・・と任天堂は繰り返し3D映像にトライしてきました。前者は追加投資の大きさと対応ハードの少なさ、後者は単色の映像に加えて、プレイヤー以外には何をプレイしているかが分からない・・・という課題を抱えていました。

こうしたトライ&エラーがあったからこそ「ニンテンドー3DS」は生まれましたし、2度の不振に諦めなかったことが今回の「大きな幸運」を呼び込んだといえるでしょう。

Xbox360のKinectに3Dセンサーの技術を提供したのはPrimeSense社ですが、そのバイスプレジデントであるAdi Berenson氏は、最終的にはTVにKinectの技術を組み込むことが目標であると述べています。既にKinectの技術を応用したセットトップボックスの開発も進んでいるそうです。

岩田社長も「ニンテンドー3DS」における三次元ビデオチャットの可能性に関して言及しています。

安価な3D映像、モーションコントロールを搭載したTV、三次元ビデオチャット・・・今後のゲーム機は、家電との関わりがさらに深くなり、新技術のテストベッドとしての役割が大きくなるのかも知れません。
《水口真》
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