最初に登壇したNate Altschul氏は、バイアコム傘下のアニメ専門局「ニコロデオン」でゲーム開発ディレクターの職にあり、幾つかのゲームをプロデュースする立場ですが、個人的にニューヨークで「HTML5 Games Meetup NYC」「Cross-Platform Games Meetup NYC」という開発者コミュニティを主宰していて、その立場からHTML5での開発について語りました。
Altschul氏はHTML5について非常に大きな注目が集まっている一方、課題も多く「HTML5で作られたゲームより、HTML5でゲームを作るためのライブラリの方が数が多いのではないか」と冗談を飛ばしていました。利点としては、大半のブラウザを1つのソースコードでカバーできるため開発リソースを集中できることや、ストアの申請などのリードタイムがないため迅速なイテレーションが可能なことが挙げられます。一方で、ブラウザ対応は完璧ではなく、パフォーマンスの問題もあります。
一方、こうした課題はありつつも、非常に豊富なライブラリが揃っていることから、ゲームやアプリに応じたライブラリを選択することで、効果を上げることも可能ではないかと指摘。講演では、何をポイントにライブラリの評価をすれば良いのかという実際的な内容が語られました。
評価方法を知るためには、指摘されがちな問題点に着目するのが良いとAltschul氏は言います。このリストは非常に長いのですが、一部抜粋すると「実際に利用されたケースが少ない」「単一のプラットフォームしかサポートしてない」「ソースコードが公開されてない」「キャンバスのサポートがない」「開発チームとコミュニケーションが困難」「メモリ管理が不十分」「ローカライズがされてない」といったことです。こうした点が、利用しようとしているプロジェクトで問題となり得るか検討を行い、それから各ライブラリの特徴を調べて採用を検討する必要があるでしょう。
その後、数多くのライブラリの中でも利用の可能性がありそうなものについて簡単に紹介がありました。
「PlayN」は採用事例が豊富で『Angry Birds』(Chrome)やKing.comの『Pyramid Solitaire Saga』などに採用されています。「CreateJS」はAdobe CSとの連携を図ったライブラリで、Flash開発者にとっては嬉しい内容です。「ImpactJS」はインディー開発者の間で利用が増えています。「Construct 2」も同じくインディー開発者の利用が多くなっています。「Cocos2d HTML5」はCocos2Dとの近さが武器になります。「Spaceport.io」はAdobe AIRとの連携に強みがあります。「Haxe」は歴史があり、機能も優れたライブラリです。
最後にAltschul氏は現状では限定的な利用に留まっているいるHTML5ながら、ライブラリの進化と同時に、デバイスやブラウザあるいはネットワーク環境も進化していくため、実用性が増していくのではないかと述べて30分のセッションを閉じました。
(続く予定)
編集部おすすめの記事
特集
ゲームビジネス アクセスランキング
-
それは“絶望の一週間”―『シノアリス』のエンジニアがサービスイン時の混乱を語る【CEDEC 2018】
-
令和に新作ファミコンカセットを自作!その知られざるテクニック&80年代カルチャーを「桃井はるこ」「なぞなぞ鈴木」らが語る【インタビュー】
-
グラビアアイドル×VR=けしからん!パノラマ動画「VRガール」公開
-
【レポート】進化を続けるLive2Dの現状と未来…「2Dと3Dのいいとこ取りを目指す」
-
イケメンはこうして作られる!「「その口…塞いでやろうか…?」250人のイケメンをLive2D化してわかった、成人男性キャラの魅力的な見せ方」セッションレポート【alive2019】
-
イギリス人が選ぶ歴代トップ100ゲーム―マリオシリーズが圧倒的
-
PC版『バイオハザード5』画面分割を望む声、海外で高まる
-
目黒将司×LAM 無二の個性派クリエイター対談-「目黒サウンド」「LAM絵」と称される“キャッチーさ”はどう育まれた?
-
「2021年最も活躍したと思うゲーム実況者は?」第1位に輝いたのはあの“インターネットヒーロー”!
-
9割がお蔵入りする個人制作ゲーム、完成させる秘訣は - IGDA日本SIG-Indie研究会レポート