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時価総額3000億円、ソフトバンクが買収したスマホゲーム大手スーパーセルとは?

15日、ソフトバンクが傘下のガンホーと共同で、フィンランドのスマートフォン向けゲーム大手「スーパーセル」(Supercell)の発行済株式の51%を約1515億円で買収すると発表しました。

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  • Clash of Clansのランキング推移(日本)
  • ブログでは孫氏とのツーショットも公開
15日、ソフトバンクが傘下のガンホーと共同で、フィンランドのスマートフォン向けゲーム大手「スーパーセル」(Supercell)の発行済株式の51%を約1515億円で買収すると発表しました。ソフトバンクは過去にもジンガやロックユーといったゲーム会社に出資した実績がありますが、今回は一桁違う金額で衝撃を与えました。ガンホーの子会社化に続き、モバイルインターネットにおいてゲームの重要性を強く認識していることが伺えます。

ところでスーパーセルという会社は日本では余り聞き慣れない方が多いかもしれません。同社はフィンランドのヘルシンキに本社を置きます。フィンランドという土地柄は、携帯電話のノキアや、『アングリーバード』のロビオを生み出すなど、モバイル領域で存在感を放っています(参照:なぜフィンランドからは次から次へと優れたゲーム系スタートアップが出てくるのか?)。

スーパーセルが設立されたのは2010年6月。買収額から単純に考えれば時価総額は約3000億円。ディー・エヌ・エー(約3030億円)、コナミ(約3360億円)、コロプラ(約3530億円)といった企業に近い数字です。これを3年間で叩きだしたことになります。現在の従業員は約100名。

創業者のIlkka Paananen氏はソーシャルゲームのデジタルチョコレートのフィンランド支社のプレジデントを務めた後、スーパーセルを起業。同氏ら、ゲーム業界のベテランが集まりました。当初は「ブラウザMMORPGとソーシャルゲームのギャップを埋める」を掲げ、処女作は『Gunshine.net』というPCブラウザで遊ぶソーシャルRPGをリリース。ソーシャル要素と深いゲーム性を目指しましたが、成功とは言えませんでした。

翌2011年はスマートフォン向けにシフト、当初は失敗もありましたが、『Clash of Clans』と『Hay Day』という2つのタイトルが大ヒット。現在までスーパーセルを支えるビッグタイトルとなっています。『Clash of Clans』は要塞を築きながら他のプレイヤーとの戦いを楽しむゲーム。プレイヤー同士で集まり協力する=クランという仕組みが特徴。『Hay Day』は牧場を育てていくソーシャルゲームの典型的な作品ですが、まったりムードが特徴。どちらのゲームも無理に課金させようとせず、ゲームに満足したら少し払ってもらえればもっと楽しめるよ、という控えめなスタンスがゲームからは感じられます。

日本での人気は今年に入ってから。『Clash of Clans』は6月からガンホーの『パズル&ドラゴンズ』と提携を行い、相互総客のキャンペーンを実施。一気に日本でもAppStoreのダウンロード数ランキング1位を獲得。以来、人気が定着しました(AppAnnieのデータ)。

業績は2011年12月期(第2期)が売上高15万ユーロ、営業損失184万ユーロ、2012年12月期(第3期)が売上高7835万ユーロ、営業利益3921万ユーロ。ロイター通信は現在の日々の売上を240万ドルとしており、今期は前期の10倍程度の売上は見込めそうです。

CEOのIlkka Paananen氏はソフトバンクによる買収発表を受けてブログで「One Step Closer」(もう一歩近くに)という長文のエントリーを公開。新しいパートナーシップによって真のグローバルゲームメーカーを目指す事が出来ると述べながら、ソフトバンクの孫正義氏について「彼ほど長期的なビジョンを持った経営者には出会ったことがありません。最初に会った時、彼は300年後のビジョンを持っていると言いました。冗談のように思いましたが、その後、彼が見ているものを聞いたとき、それは非常に現実的で、かつ感動的なものでした」としています。

同氏はまた、文化的に日本とフィンランドは多くの部分で似ていること(家に入る時に靴を脱ぐ以外のことでも)、ガンホーとより深い協力関係を築けること、そしてフィンランドに設立される特別会社が同社を買収する形となり、オフィスや経営陣が引き続きヘルシンキ(とサンフランシスコ)に残ることなど、ソフトバンクとのパートナーシップの利点を述べ、ともに新しい歴史を作っていこうと結んでいます。
《土本学》
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