こんにちは、Amiです。一気に寒くなってきましたね。寒いとコントローラーを持つ手が冷たくなってしまうので本当に苦手です。というわけで(?)、ガチレポ!24回目は「雨」をテーマに切なく繊細な物語が綴られるアクションADV『rain』のご紹介です。本作の主人公は一人の少年。少年はある雨の日に、透明な怪物に追われる透明な少女と出逢います。姿なき怪物に追われて出逢いと別れを繰り返しながらも、少年は少女のため、少女は少年のために力をあわせ、「透明な世界」を進んでいきます。■絵画的な世界で繰り返される「見えない不安」どちらかというと、本作は雰囲気そのものを楽しむ、いわゆる「雰囲気ゲー」に属するタイトルです。こうしたタイトルはゲームプレイそのものよりも、グラフィックや音楽、ストーリーテリングの手法などによって、あたかも芸術作品のような豊かな表現力でゲームの世界を表現してプレイヤーを引き込む反面、ゲームプレイ自体は比較的重要視されず、ゲーム進行を妨げないよう非常にシンプルで簡潔なものが採用されているものも少なくありません。本作もベースラインは「雰囲気ゲー」の作りをなぞってはいるものの、ゲームプレイはステルスアクション風に構成されており、実際に触ってみると予想以上に緊張感があるのが特長です。ゲームでは、酷い執着心をみせる謎の怪物に執拗に追いまわされ、何度も追い詰められることになります。幼い少年少女が出現する敵(=怪物)に対してとれる対抗手段は「逃げる」ことしかないうえ、「雨によって浮かび上がる透明な体」という本作独自の設定がより一層想像力をかきたて、見えないものから追われるという不安感を煽ることに成功しています。■見えない不安、でも見える事はもっと不安主人公の少年とヒロインの少女、そして怪物たち。本作に登場するキャラクターたちは全て透明な体をもっています。体の輪郭は雨に打たれることで白くぼんやりと浮かび上がり、屋根の下など雨が降らない場所では完全に姿が消えてしまうのです。出現する敵は主に視覚によって主人公たちを認識しているようで、姿が消えている間に見つかることはまずありません。追われている真っ最中であっても軒下に入るなどして姿を消せば、敵の目をくらますことができます。透明な間は、足跡やわずかな土煙、足元に転がるゴミなどがぶつかって動く様子などで、だいたいの位置を確認しましょう。また、ステージには茶色く濁った水溜りが点在していますが、この泥水が付着して体が汚れてしまうと、雨の降らない場所でも姿を確認できるようになります。視認しやすいので場合によっては便利である事は確かですが、同時に、敵に見つかる可能性も飛躍的に高まってしまうので非常に危険です。汚れは大きな水溜りをつかって洗い流すなどしないと取れないので、泥水に入るときは周囲の様子に十分注意を!少年と少女には怪物に直接対抗する手段がないため、透明な姿を生かしてただひたすら逃げるか、ステージ上の仕掛けをうまく使って注意をそらす、または他の怪物を利用して別の怪物を倒させることで活路を見出していきます。プレイ感覚は謎解きパズル×ステルスといった具合で、敵のスキを見計らってコッソリ進んだり、少女と協力して逃げ道を作ったり、時には囮となってお互いの危機を救ったりと、決して難しくはないですが頭と指を程よくつかう、バランスのいいゲームプレイが楽しめます。■絵本のような、滑らかで情感豊かなストーリーテリングストーリーは絵本1冊をじっくり読み解いていくように進行します。ゲーム全体はいくつかのチャプターに分かれていますが、ゲームプレイ中はプレイヤーの進行具合にあわせてストーリーテキストが背景デザインの一部として浮かび上がるように表示され、途中で妨げられることなく滑らかに語られます。シーンの一瞬一瞬が絵になるように考え抜かれた、絵画的なカメラアングルが美しく、クラシックアレンジのBGMは繊細で、静かに絶え間なく響く雨音にもよく合います。また、ゲーム中は、屋根の下で息をひそめる少年の鼻先に怪物が迫るというシーンが幾度となく登場。透明な時は大丈夫、と経験上からも十分に分かってはいるものの、見えない故にそもそも少年は正確にはどこにいるのかが分からずに不安が募ります。特に怪物も一緒に屋根の下に入り込んでしまったり、全く視線を逸らしてくれない場合などは、動いていいやら悪いやら、ゲームながら肝が冷える思いをしてしまいました。敵に見つかったりして途中で死んでしまった場合は、当然ながら一旦途切れてしまうものの、すぐ手前から瞬時にリトライが可能でストレスは溜まりません。ヒント表示機能もあるので、行き詰まってしまうことはないはずです。■ストーリーを掘り下げるコレクション要素ゲームクリアに必要な時間は短く、操作はシンプルで難易度も低め。短時間でしっとりとした雰囲気を味わうにはピッタリのタイトルで、気負い無く遊ぶことができるのでおすすめです。なお、ゲームを一度クリアすれば、コレクション要素の「記憶たち」が解放されます。その後はステージ上のどこかに白い光が出現するようになり、それに触れることで、本作に秘められたストーリーが断片的にですが、明らかになっていきます。本編のストーリーテリングは必要最低限に絞られ、少年と少女に起こった出来事、怪物の正体、この世界の仕組みなど、気になるポイントの多くが直接的に語られることはないため、「記憶たち」から明らかになる情報は素直に興味がそそられるものばかり。1度クリアしたからと言わず、新しい気持ちでぜひ2周目もプレイし、本作の繊細な世界観を感じ取ってみてください。★こんな人にプッシュ★・世界観が気になる人・ゲームプレイだけでなく雰囲気も楽しみたい人・あまり沢山時間が取れない人★その他備考★・雨の日にプレイすると没入感アップ!(私は台風の日に遊びました…)ダウンロードタイトル『rain』はPS3を対象に現在好評配信中。価格は1,500円(税込)です。(c) 2013 Sony Computer Entertainment Inc.■筆者プロフィールAmi元・ゲームグラフィッカーのボス戦好きなアマゾネス。新しいデスクチェアをゲットしました!ハッピー。国産から海外、RPGからFPSまでなんでもござれの雑食系。とりあえず、ゲームができてればそれで幸せ。ブログ:http://blog.livedoor.jp/xxxplus/
【ガチレポ!】第47回 クラシックFPSを意識した『ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー』、濃密なシングルプレイでナチス軍をぶちのめせ 2014.6.22 Sun 8:00 みなさんこんにちは。第47回となる今回は、PS4/PS 3/Xbox 360の…