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鉄道・箱庭・経営、全方位のおもしろさが進化! 『A列車で行こう3D』飯塚ディレクターインタビュー

鉄道会社の社長となって、会社と都市を成長させる。アートディンクの『A列車で行こう』シリーズは、日本の風景で遊べる箱庭ゲームであり、列車の運行を楽しむ鉄道ゲームとしても多くのファンがいます。

任天堂 3DS
飯塚正樹ディレクター
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■人々の活動感がある経営ゲームにしたかった

―――経営ゲームとしてパワーアップしたところはどこですか

今回は社員数を反映させています。前作では表に出さなかったんですけど、この会社って、社員は何人いるんだろうって。レポートの画面に「従業員数○○○人」と表示して、一般的な会社情報と似たような雰囲気にしてあげたいと思って。

―――人を意識できる経営ゲームにしたと。

そうですね。いままでは主要な説明部分にキャラクターをたてていましたけど、従業員という概念は少なかったですから。今回は従業員数を出したかったので、それぞれの建物を運営するために必要な人数を設定してあります。社員を雇ったり、リストラしたりというプランもあるんです。あまりにもひどい経営をしない限り、リストラにはならないと思うんですけれども。

―――社員が少ないと子会社が作れないとか。

作れないことはないですけど、前作と同じ要領で子会社を作り続けても、それに合わせて人を雇わないと、一人あたりの業務負荷が高くなり、社員の労働意欲が減ります。そうなると儲からないし、人はどんどん辞めていっちゃう。社員状況が悪くなると年末に退職する人が増えます。

―――列車の運行に支障が出ませんか。

そこまでにはならないですけど、売り上げに影響します。ダイヤ通りに走らなくなってしまいました……ではゲームにならないので(笑)

―――人を雇えば人件費もかかってくるから、ちゃんと儲けなくちゃ行けませんね。これは経営ゲームとしてのパワーアップポイントですね。退職給付引当金なんて項目もある!ここから企業会計に興味を持つプレイヤーさんがいるかもしれませんね。

そうなんです。ネットで見ていたら、A列車をきっかけに会計に興味を持った人がいたんですよ。

―――ほかの経営要素として、固定資産税という項目があります。

固定資産税と言えば、今回は「減価償却」の概念が入りました。会計に強い人に言わせると、減価償却のない経営なんか変でしょって。そこはいままでバッサリと省略していました。建物が老朽化しないんだからいいじゃん、という言い訳ができたんです。でも、今回は時代の再現で建物が老朽化していく。そうなると減価償却も再現しなきゃダメか、みたいな。なかなかないでしょう。減価償却を扱っているゲームなんて。このへんのバランスシートはしっかり作ったんですよ

―――鉄道運賃の値上げ、値下げもできるんですね。

今回は時代が入ったことによって、「物価指数」というパラメータが変化します。時代によってお金の価値がだいぶ違うじゃ無いですか。その時代に合わせて運賃も上げていかないとジリ貧になるんですよ。

―――逆に値下げすると乗客が増えるとか?

あります。だから、値下げして、まずはお客さんの利用率を上げようみたいなこともできるし、値上げしてさらに儲けようなんてこともできます。

―――赤字ローカル線は運賃を上げて採算をよくすべきか、値下げして利用者を増やして人口を増やすべきか、なんて悩めるわけですね。



■新コンセプト「時代」がすべての要素をおもしろくした

―――「時代」という要素で、建物が新しくなったり電車が新しくなりますね。何年から何年まで遊べますか。

一番古い年は1955年です。高度経済成長の時代を遊んでもらいたかった。そこから60年分進みます。選択できる年は2014年までです。

―――DLCに対応とのことですが、今後、2015年以降に新しいデータが公開されるってことはあるんですか。

DLCに機能追加を期待する声もあるようですが、シナリオの配布だけです。機能が追加されることはないです。ていうか、できないはず。

―――2020年頃になると次回作が出ると(笑)

そうですね。未来の方は、ゲームの時代と合わなくなっちゃうかも。

―――「時代」はどのマップも進んでしまう物ですか。ずっと昭和の風景で遊びたいとかできますか。

時代は進んじゃいます。固定はできません。ただ、企画の段階で時代の移り変わりを見せたいって決めたんですけど、どんどん時代が移り変わるって感じでは無いんですよ。意外と時代を進めるって大変です。前作のDS版に比べると、時間の進み方が3倍くらい細かくなったんですよ。全体的にゲームスピードが遅くなっています。

―――時間が経って、新しい建物や電車が増えていくと、時代の進化が現れる。時代が進んでも、路面電車の古い型はずっと使えますか。

それは問題なくできます。ただし、電車も子会社も、時間が経つほど維持費は増えていきます。最終的には1.5倍くらいになります。

―――古い電車で維持費がかかるのは、実際もそうですものね。保存SL列車みたいな運行ができますか。蒸気機関車は貨物だけですか。

いえ、客車もあります。貨物列車は連結する貨車の種類を選べます。その選択肢に客車があって、人を乗せられます。

―――貨物列車と言えば、貨車が懐かしい感じですね。2軸の専用貨車。これって逆に今はないですね。全部コンテナになっちゃって。時代が進むとすべてコンテナ輸送に切り替わるんですか。

それはないですね。結局、現代って、鉄道貨物輸送が廃れちゃってないじゃないですか。ゲームでも、現代になるほど貨物輸送の需要は落ちていくんですよ。

―――資源はマップに埋まっているんですよね。

前作では埋蔵資源の場所が見えたんですけど、石油と石炭については、プラン機能で地下資源を調査しないとわからなくなりました。時間をかけてお金をかけて。

―――まさに一山当てる感覚ですね。木材はマップ上に生えてる木を刈り取るんですね

刈り取ります。減っていきますよ。

―――積み荷が時代の変化に影響するそうですね。

基本的にはどの時代でもすべての資源を輸送できます。ただし、港から海外に持って行くときに大胆に値段が変わります。資源の価格が変わりますし、為替レートが変化します。昔の1ドル360円だった時代と、今の1ドル100円前後の時代と。3倍くらい値段が違う。それは港で取引するときに影響します。資源自体の価格も変わりますから。だから、昔は木材を輸出すると儲かったのに、現代だとまったく儲からない。

―――現代で日本から輸出しても、儲けられる物がなさそうですね。海外から輸入した方がいい場合もありますか。生産するより安いとか。

そうなんですよ。相場観はランダムの要素もあるので。ものによっては儲けられるタイミングがちょっとあるという感じです。現代になるほど輸出と輸入が逆転する感じですね。もともと資材以外の資源に関しては、お金儲けの要素しかないんです。木材や石油が無いと街が発展しない……なんてやると、ただでさえ難しいといわれているのに、もっとむずかしくなっちゃう。そこはハッキリと割りきって、子会社の運営するのと同じで、貨物輸送はお金儲けの手段のひとつとしました。儲かるときだけ儲けてくださいと。

―――時代が進むと儲からなくなる。

やらないほうがいいかもしれないですね(笑)。

―――トラックもそれぞれの資源が使えるんですか。鉄道よりトラックの方が儲けやすいよと。

そうですね。トラックはどの資材を扱えます。

―――それはリアルですね。モータセルシフトと言いますか。

リアルに再現できるかどうかは、遊び方と評価次第かなあ。
《杉山淳一》
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