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【GDC 2015】ジョン・カーマックが語るバーチャルリアリティの未来はモバイルにあり

『Doom』や『Quake』の生みの親で、伝説的なゲームクリエイターであるジョン・カーマックは現在、バーチャルリアリティ(VR)ヘッドセット「Oculus Rift」を手掛けるOculus VR社のCTO(最高技術責任者)を務めています。

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『Doom』や『Quake』の生みの親で、伝説的なゲームクリエイターであるジョン・カーマックは現在、バーチャルリアリティ(VR)ヘッドセット「Oculus Rift」を手掛けるOculus VR社のCTO(最高技術責任者)を務めています。

GDC 2015の3日目の午前、カーマック氏は「The Dawn of Mobile VR」と題するセッションでモバイルにおけるVRの可能性について語りました。一時間以上にも渡って、スライド無しに聴衆に語りかけ、会場はまるで基調講演のような雰囲気で巨大ホールが埋め尽くされていました。

伝説のゲームクリエイター、ジョン・カーマック


講演の最初に語られたのはVRの大きな可能性です。「いまVRヘッドセットは10億人のユーザーが楽しむ未来を描いています。この可能性はゲームより大きく、人々の生活を変えるような新しいプラットフォームになるはずです。特にモバイルVRは無限の可能性があり、それと比べればPCやゲーム機はニッチな存在に過ぎません」カーマック氏はこのように切り出しました。

実はOculusとサムスンの提携協議こそ、カーマック氏がOculusに加わる事になった最大の要因だったそうです。サムスンが米国で既に展開している「GearVR」は両社が共同開発した製品で、専用のデバイスにスマホを入れて視聴することでVRをモバイルで楽しむ事が出来ます。「あのプロトタイプこそ、自分をOculusに連れてきた存在なのです」

「GearVR」はまだ米国のみでの展開ですが、カーマック氏は返品率の低さに驚いたと言います。新しい概念の製品ながら、既に受け入れられる素地ができていると感じたようです。一方で、まだ十分なソフトウェアが揃っていない事からOculusは拡大に否定的だったそうですが、カーマック氏は「サムスンは次のサイクルの製品から大々的にVRを投入していく計画」だと述べ、その時期が近い事を示唆しました。

ちなみにモバイルVRの面白さは、リアルなコミュニケーションで広がる事だと感じているようです。「例えば旅行に持っていけば、1台のGearVRで少なくとも10人は体験することになるでしょう。このタイレシオは驚異的です」かなりのバイラル性のあるコンテンツになる事は間違いなさそうです。また、モバイルVRはVRへユーザーを誘う効果もあるだろうとしました。

続いてカーマック氏はフェイスブックとの関係を語りました。2014年3月にフェイスブックはOculus VRを20億ドルで買収すると発表しました。この事についてカーマック氏は「彼らはインフラとは何かを理解している心強い仲間」と肯定的に述べました。また、「10億人がVRを使う未来を見たいと考えているのは私もマーク(・ザッカーバーグ)も一緒だ」としました。

1時間以上の講演を聴衆は聞き入った


年内にもリリースが想定される「GearVR」の新バージョンは根本的には現在リリースされているものと同等ですが、インフラとしてのアプリストアが導入が導入される予定。Oculusとしては初の一般消費者向け製品ということで、この辺りの整備も進められているとのこと。なお、GearVRとOculusは技術的には共通していて、「GearVR向けに作れば、Oculusでは90fpsで動くものが作れる」としました。

現在多くのゲーム開発者がVRゲームの制作に取り組んでいます。カーマック氏は「何がVRで最大のアプリケーションになるかまだ分からない」としながらも、「ゲームでも今の最先端を必ずしもやる必要はない」と指摘しました。秒間5万ポリゴンくらいでも面白い物は作れるし、ゲームキューブくらいの考え方では良いのではないか? と話しました。

各社からVRに関する発表があり、加熱の一方のVR。いち早く飛び込んだカーマック氏は「良くないプロダクトによってまた90年台に逆戻りするのを危惧している」との懸念も示していました。いよいよ今年後半には登場する一般消費者向けの製品がどのようなものになるのか、どこまで完成度の高いものが出てくるのか楽しみにしたいですね。
《土本学》
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