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舞台「NARUTO-ナルト-」レポート…アナログとハイテクの融合、ナルトの成長物語

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 昨年の秋に連載が終了し、大規模な『NARUTO-ナルト-』のプロジェクトの一環としての舞台化。

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ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」アナログとハイテクの融合、ナルトの成長物語
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連載第112回
高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義  
[取材・構成: 高浩美]   

■昨年の秋に連載が終了し、
大規模な『NARUTO-ナルト-』のプロジェクトの一環としての舞台化

世界的人気コミック『NARUTO-ナルト-』の舞台化はその発表から話題性が高かった。昨年の秋に連載が終了し、大規模なプロジェクトが始まった。
連載は完結したが、ここから新たな『NARUTO』の歴史が始まった。”終了”は”始まり”、まさにそういった形だ。連載完結をビッグイベントとして盛り上げることはよくある企画だが、『NARUTO-ナルト-』は通常の企画を遥かに上回ったものである。

そして今回の舞台、である。これは単なるプロジェクトの一環を超え、アジア圏にワールドツアーにも出かけることが決まっている。
さらに渋谷のアイアシアタートウキョーが、いわゆる"2.5次元舞台”の専用劇場のこけら落とし公演でもある。世界中にファンが多いこの作品、外国人の観客にも配慮し、装着型の字幕装置も用意している。そういった見地に立ってみると、いろんな側面でエポックメイキングな作品と言えるであろう。

原作「NARUTO-ナルト-」(集英社 ジャンプコミックス刊)は、1999年より週刊少『年ジャンプ』(集英社)で連載された看板作品。2014年11月、15年の長期連載の幕を降ろした。単行本の累計発行部数は全世界で2億部を突破、本舞台の公演イメージソングには、日本のみならず、世界でも人気を誇るFLOWが、この舞台のために書きおろし た新曲「光追いかけて」が決定した。
なお、嬉しいことにライブ・ビューイング決定、5月10日18時開演、会場は全国の映画館である。チケットの先行抽選は3月28日12時よりイープラスとローソンチケットにて受付する。一般発売は4月19日11時からを予定、価格は3600円(税込)とのことだ。

■見所は言うまでもなくアクション、ラスト近くはサスケとナルトが対峙する

風の音、語りと共に文字が後ろに映し出される。ファンは知っているが、この物語の設定を説明する。語り口が重厚で、しょっぱなからバトルシーン、ナルトが元気良く登場、最初から激しいアクションの応酬、早々にファンなら知ってる”分身の術”、暗闇の中、LEDライトで光る衣装を来た”大勢のナルト”が 賑やかなダンスを披露する(おなじみ、影分身の術)。ここで一気に観客のテンションはアップする。

アカデミー(忍者学校)の講師、うみのイルカは影分身の術を成功させたナルトを一人前の忍者と認め、アカデミーの卒業祝いとして自分の額当てを贈る。大喜びのナルトだが、それはこれから厳しい修行が始まるということだ。
それから3人1組になっての修行が始まる。ナルトはサスケ、サクラと組むことになる。クールなサスケ、サスケが大好きなサクラ、一本気だが、ちょっとお調子者のナルト、個性的なトリオ、早速、課題が与えられるのである。

1巻~27巻のストーリーを大きくはしょるところは思いきって省き、クローズアップするところはじっくり見せる構成。見所のひとつは言うまでもなく、アクションシーン。プロジェクションマッピングを使用しているが、俳優の渾身のアクションをより立体的に見せる効果がある。
また、トランポリンを使ったアクロバット、マイム等を取り入れ、”アナログとハイテクの融合”まさに”スペクタクル”という言葉がふさわしい。

各キャラクター、それぞれ魅力的。優しく男気のあるうみのイルカ、クールでかっこいいはたけカカシ、エロいが懐の深い自来也、皆、ナルトを温かく見守る。同じ駆け出し忍者たちも皆、ナルトが大好き、いざとなれば一致団結する頼もしい仲間たちだ。
孤独な我愛羅、意味合いは”我を愛する修羅”。出生時に、風の国の兵器として、砂の守鶴(一尾)を憑依させられた人柱力である。力を制御しきれず、里の人間から恐れられ、実の父・四代目の風影から幾度となく刺客を差し向けられた。そんな彼の生い立ちを映像を使いながら語られる。モノクロなイラストが次々と変わり、それに合わせて心情を吐露、ひたすら哀しい。

また、砂を使った忍術を布で表現、舞踏に近いニュアンスの振付だが、ここはなかなか圧巻だ。そんな彼に真っ向から対峙するナルト、愚直なまでに真っすぐだ。
ナルトたちの最大の敵、大蛇丸。サスケを自分のものにしようとする。そんなサスケをナルトが追う。ナルトは、どこまでも前向きだ。ラスト近くはサスケとナルトが対峙する。サクラが「ナルト、サスケを連れて連れ戻して」と叫ぶ。

ナルトと対決した我愛羅がナルトを応援する「サスケはお前にしか救えない」と。ナルトによって何かが変わった我愛羅、どこか温かい、熱い想いが感じられる。自ら大蛇丸のところに行くサスケ、幼い時の体験、哀しい過去がある。内なる闇を抱えて生きる姿にナルトの声は届かない。
アクションや面白シーンだけが見せ場ではない。心の動きやちょっとした仕草も見逃せない。また、それぞれに見せ場、決め台詞があるのはもちろん外せない。
コミックファンなら「ある、ある」「そう、そう」とうなずけるところは多い。また2幕のアクションシーンだが、一部、客席の”協力”が必要な場面があり、ここはチケットを購入しているファンにはお楽しみポイント。コミックやアニメと同様に肩肘張らずに楽しめる。

ナルト役の松岡広大、とにかくよく動く、そしてよく笑う。先天的な明るさがキャラクターとシンクロする。サスケ役の佐藤流司、寡黙でクールな役作り。サクラ役の伊藤優衣 、お茶目で元気、本人の気質なのだろうか、どこか楽しげで微笑ましい。
自来也役の梅垣義明 はしょぱなから笑わせて、大蛇丸の悠未ひろは長身でクール、雰囲気のある佇まいで舞台映えする。彼女だけ歌が入るが、歌う大蛇丸もまた新鮮だ。

コミックを知っていれば、結末は言わずもがな。どんな結果であろうとも、しっかりと前を向く。主人公の何でもポシティブにとらえる、能天気と言ってしまえばそれまでだが、とにかく元気がでる。仲間を想う気持ちは誰よりも熱いナルト、忘れかけていた何かを思い出させてくれる作品だ。
そしてカーテンコールはこの舞台のための楽曲、FLOWの『光追いかけて』の大合唱で締めくくった。

なお、初日前に会見があった。囲み取材には、うずまきナルト役の松岡広大、うちはサスケ役の佐藤流司、春野サクラ役の伊藤優衣、我愛羅役の須賀健太、そして脚本・演出の児玉明子が登場。
松岡は「日本だけではなく世界中で愛されている作品の主演ということで、不安や緊張はありますが、自分たちもファンの人以上に愛を持ってこの作品に携わっていけたらなと思います」と、佐藤は「ライブスペクタクルとはどういうものかを、お客さんに肌で感じてもらいたい」とPR。
続けて小学生の頃から「NARUTO」が大好きだったという須賀は「個人的には、このひょうたんを壊すことなく千秋楽まで迎えられるようにがんばりたい(笑)」とコメント。ひょうたんを担ぎながらのアクションに要注目。

ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』」では、原作の1巻から27巻の物語を描く。これだけでもかなり長いが、それをどうまとめたかについて児玉は「長いストーリーを2時間強の舞台にするのは非常に難しいことなので、一部バッサリとカットしているところもあります。ただ『NARUTO』ってひとつの一貫したテーマが流れているので、そこを貫けばひとつの舞台にできるかなと思い、まとめてみました」とコメント。また「岸本先生にはビジュアル解禁の際に非常に喜んでいただいた」そう。
それを受け伊藤も「ジャンプにも『配役がバッチリ』ってコメントを載せてくれましたよね」とうれしそうに語った。ちなみに演出の児玉明子、原作者とは同い年だそう。
伊藤は「私は小さい頃からサクラちゃんと同じでおでこが広いのがコンプレックスだったんですけど、でもこの役をできることになって、おでこが広くてよかったなと思いました」とビジュアルの共通点について述べると、須賀も「僕も(額に字が書けるほど)おでこ広くてよかったなと思いました」と、額に書かれた「愛」の文字を指差していた。

これから長い公演が始まる。ワールドツアーもあり、先は長い。なお、遠方で劇場まで足を運べないファンのためにライブビューイングも決定している。大きなスクリーンでもきっと迫力満点であろう。

ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」
http://www.naruto-stage.jp/top.html

原作: 『NARUTO-ナルト-』岸本斉史 (集英社 ジャンプコミックス刊)
脚本/演出: 児玉明子
音楽:  増田俊郎

[出演]
松岡広大(うずまきナルト) 佐藤流司(うちはサスケ )伊藤優衣 (春野サクラ) 須賀健太 (我愛羅)
君沢ユウキ (はたけカカシ)平川和宏(三代目火影) 市瀬秀和(うみのイルカ)
木村達成 (薬師カブト)内田朝陽(桃地再不斬) 今村美歩 (白)伊波杏樹 (山中いの)
服部翼 (奈良シカマル)加藤諒(秋道チョウジ) 飯山裕太(犬塚キバ) 植田慎一郎(油女シノ)
高橋紗妃 (日向ヒナタ)梅垣義明 (自来也)悠未ひろ(大蛇丸) ほか

ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」
(C)岸本斉史 スコット/集英社 (C)ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」製作委員会 2015

ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」アナログとハイテクの融合、ナルトの成長物語

《高浩美》
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