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【オトナの乙女ゲーム道】第18回:乙女ゲー主人公の「変化」について ― 自己投影の対象から1人のキャラクターへ

インサイドをご覧の皆様、こんにちは。さて、事あるごとに語ってますが、私は乙女ゲームの「主人公ちゃん」が大好きです。とっても大好きです。

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インサイドをご覧の皆様、こんにちは。さて、事あるごとに語ってますが、私は乙女ゲームの「主人公ちゃん」が大好きです。とっても大好きです。

時々、イケメン攻略キャラクターに「主人公ちゃんのこともっと大事にしろよ!!」とか「いくら主人公ちゃんがお前のこと好きって言っても!!私は!!許さんぞ!!」とか本気でキレ始めますが、これほど極端ではないにせよ「イケメンも好きだけど、可愛い主人公ちゃんも好き」という方は決して少なくない、むしろ結構いるはずですよね!だって乙女ゲームの主人公ちゃんって本当に可愛いもん!

私の個人的な叫びはさておき、かれこれ20年以上の歴史をもつ乙女ゲーム。昔と今では「主人公」の立ち位置もずいぶんと変化してきたように感じます。そこで、独断と偏見で乙女ゲームについて語り尽くす「オトナの乙女ゲーム道」第18回では、そんな主人公ちゃんの移り変わりについて語っていきたいと思います。よろしくお付き合いください。



◆乙女ゲームの主人公=自己投影の相手


乙女ゲームといえば、イケメンキャラクターとの恋愛模様を楽しむ作品。主人公は仮想の恋愛を楽しみ、恋をしている気分に浸るために「自分自身を投影する存在」といえるでしょう。

とくに顕著だったのは『ときめきメモリアル Girl's Side』シリーズで、主人公に名前をはじめプロフィールの類は用意されておらず、外見もSDキャラクターでなんとなく想定できる程度。本作はシミュレーションとしての側面が強かったのもあり、服装などの個性も自由に作り上げられたので、主人公=自分自身と捉えやすい作品でもありました。

ゆえに『ときめきメモリアル Girl's Side』シリーズに登場するCGは、ほぼ攻略対象キャラクターしか描かれていません。そもそも乙女ゲームのメインとなるのは格好いい攻略対象キャラクターですから、むしろキャラクターを十分に堪能したい、自己投影したいプレイヤーにとって、主人公の存在感はできるだけ抑えてほしい要素です。

外見にきちんと設定があってもゲーム内のCGでは後ろ姿や横顔を多用してはっきりと描かない、テキスト部分に現れる主人公の顔アイコンのオン/オフ機能、ちょっと珍しい例では『Starry☆Sky』シリーズの一部で利用できる主人公の顔(目の表現)のオン/オフ機能も、自己投影を邪魔しないための配慮といえるでしょう。

しかし今、コンシューマ向けのタイトルを見てみると、主人公にはかなりしっかりとした設定が作り込まれており、CGでは主人公の微細な表情までしっかりと描かれ、初期設定の名前であれば攻略対象キャラクターがボイス付きで呼び、キャラクターグッズのラインアップに主人公が並ぶことも珍しくありません。中には人気投票を行えば、攻略キャラクターを抑えて主人公が上位に入るタイトルまで出てきました。抑えられるべき存在だったはずの主人公が、攻略キャラクターと同じくらい乙女ゲームにとって愛される対象になってきています。

◆ユーザー層、年代、メディアミックスの広がりと共に変化


ここまで主人公が注目を集めるようになった背景には、どのようなことが考えられるでしょうか。まずは20年という月日が流れたことによる、乙女ゲームのユーザー層の多様化です。年代から趣向までさまざまな人たちが集うようになり、「攻略対象キャラクターと恋がしたい!」だけでなく「主人公とキャラクターの恋を見守りたい」「恋愛中心のストーリーを楽しみたい」など、自己投影とは異なるさまざまな理由で遊ぶユーザーも増えてきたことでしょう。

それと私自身、遊び始めた当初こそ、攻略対象キャラクターの甘いセリフにキャーキャーすることもありました。しかし年を重ねるにつれ主人公は同年代から完全に年下だけになり、同じ目線に立つというような状況はほとんどなくなっていったように思います。その代わり、主人公に対しては保護者のような感覚で感情移入するようになり、攻略対象キャラクターとの恋を応援しながらストーリーを楽しむという見方に変化していきました。時間の経過でプレイヤーの年齢層が上がったのも、主人公を可愛がるユーザーが増えた1つの要因になっているかもしれません。

余談となりますが、主人公を取り巻く人間関係、ことさら「女性キャラクター」の立ち位置にも変化が感じられます。昔はどちらかというと女性キャラクターはライバルであり、攻略対象キャラクターなど何かを巡って争うような状況もよくありました。しかし今、身近な女性といえば親友やよき理解者だったり、主人公を猫可愛がりする「あなたは私か」みたいな性格だったりと、対立するケースはあまり見られません。主人公を可愛がるユーザーの増加が少なからず影響しているとしたら、ちょっと興味深いですね。

そして、乙女ゲームはゲームとして完結するだけでなく、アニメやコミカライズ、舞台など多彩なメディアミックスを行う作品も非常に増えました。ゲーム内では基本的に主人公の視点で物語が進むため、状況の描写はあれどCG以外で画面内にほとんど姿は映し出されません。しかし、とくにアニメともなるとボイスによる臨場感も増した上で、主人公の言動がゲームよりもはっきりと浮き彫りになります。より色々な角度から「どれだけ可愛いか」が大きなポイントとなり、攻略キャラクターのような異性から見て可愛いだけでなく、同性から見ても可愛い主人公が重要視されるようになったのも1つの理由ではないでしょうか。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

そんなわけで、今では「格好いいイケメンキャラクター」だけでなく「可愛いがりたくなる女の子」まで一度に乙女ゲームで楽しめる、個人的には素晴らしい時代となってきました。これからもますます魅力的な主人公ちゃんが登場することを祈りたいと思います!ついでにイケメンも!
《近藤智子》
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