日本では、テレビゲームはスポーツとはみなされず、子どもの遊びとして顔をしかめる対象としてみられることがまだまだ多いのが現状です。海外で行われるeSports大会の熱狂とは、かなりの温度差があります。
そんな中でも、日本人プロゲーマーが多く誕生する下地をつくるべく、各方面からの試みがなされています。恵比寿南法律事務所の弁護士、藥師神豪祐氏が解説します。
■プロゲーマーの収入源
プロゲーマーの定義は定まっていませんが、ここでは、ゲームのみで生計を立てるゲーマーのことをプロゲーマーと定義しておきます。
彼らの主な収入源は、(1)スポンサードを受けている企業からの固定給と、(2)出場する大会での賞金です。これはテニスやゴルフといった個人競技のプロスポーツ選手と同様でしょう。
プロゲーマーを誕生させるためには、まずは、スポンサードをする企業が必要となります。ほとんどの日本人プロゲーマーは、海外のゲーム関連企業(主に米国)からスポンサードを受けています。
もう一つの収入源である、大会賞金はどうでしょうか。日本人プロゲーマーたちは、費用のかかる海外遠征で高額賞金の大会に出場しています。なぜ日本では高額賞金の大会がほとんど存在していないのでしょうか。
■高額賞金のeSportsの大会を適法に開催する方法
日本で適法に賞金大会を開催するためには、いくつかの法規制のハードルを乗り越える必要があります。具体的には、刑法の賭博罪、風営法、そして景品表示法といった法令の規制をクリアする必要があります。
大枠の結論のみを示しますと、高額賞金の大会を開催するためには、(1)大会の参加費をとらず、参加資格を有料会員等に限定しないこと、(2)主催者ではなく第三者が賞金を提供することなどが求められます。
結局のところ、細かい部分の法的なチェックさえしておけばよく、不安に思われているほどの強い法規制はありません。ここでもまた、賞金を提供するスポンサーがつくかどうかが、ほぼ唯一の障壁となっているわけです。
■日本にプロゲーマーを増やすには
こうしてみてみると、日本にプロゲーマーを増やすための障壁は、法規制等ではなく、eSportsの市場価値であることが分かります。
専門学校がプロゲーマー育成を始めたり、eSports専用施設が秋葉原に開設されたりするなど、様々な角度から、eSportsを盛り上げる動きがあります。日本が誇る娯楽で育ってきた弁護士としても、市場の拡大を願うところです。
■藥師神 豪祐(ヤクシジン コウスケ)
恵比寿南法律事務所 代表弁護士。
ゲームとスポーツに関心を有する弁護士らによる団体GamesLawの代表も務める。
多様な領域と交流しながら、「ゲーム」の地位を高めるべく活動している。
お問い合わせ: yakushijin@ebisu-law.com
GamesLaw: http://games-law.com/
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