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【hideのゲーム音楽伝道記】第45回:『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』― なんでもありの運動会を盛り上げる熱い音楽

インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽大好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第45回目となる今回は、『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』をご紹介します。

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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽大好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第45回目となる今回は、『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』をご紹介します。


『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』は、1990年10月12日にテクノスジャパン(現在はアークシステムワークスが版権を所有)から発売された、ファミリーコンピュータ用のアクションゲームです。1992年にはゲームボーイ版およびPCエンジンSUPER CD-ROM2版が発売され、2015年にはオンライン対戦が可能となった、プレイステーション3版『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会 ~オールスタースペシャル~』が発売されました。なお、現在はファミコン版がWii/Wii U/ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで、ゲームボーイ版がニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信されています。

本作は、熱血高校の正義の不良・くにおくんが主人公として活躍する『熱血硬派くにおくん』シリーズの1作で、『くにおくん』作品の中でも屈指の人気作のひとつです。くにおくんがキャプテンを務める「熱血高校チーム」をはじめとする4つのチームが運動会で大暴れします。開催される競技は、「夢見町クロスカントリー」、「障害部屋競走」、「棒の上の玉割り競争」、「勝ち抜き格闘大会」の4つ。強力なライバルたちを制して、優勝を目指しましょう! なお、ゲームボーイ版では「棒の上の玉割り競争」が無くなり、代わりに「格闘パン食い」と「爆弾鬼ごっこ」という2つの競技が追加されています。

本作は一見普通の運動会のように見えますが、そこは『くにおくん』シリーズですから、一筋縄でいくわけがありません(笑)。競技中には、相手を殴る蹴る、木の棒や鉄アレイなどの武器を使って攻撃するといった妨害行為が認められており、ハチャメチャでなんでもありな運動会が繰り広げられます。

また、本作の大きな特徴としては、最大4人まで同時に対戦プレイできることが挙げられます。対戦がとにかく熱く盛り上がるゲームですよ! 僕も小学生のころ、弟と一緒に数えきれないくらい何度も遊びまくりました。時々、ヒートアップしすぎて、兄弟ゲンカに発展してしまったこともありましたね~(苦笑)。

本作には各高校から多数の選手が登場しますが、各選手の能力は、それぞれ体力や走るスピード、得意技などが違います。そのため、アクション操作の腕だけでなく、どの競技で誰を出場させるかといった采配能力も問われるのです。たとえば「格闘競技には体力の多い選手」、「レース競技には走るスピードが早い選手」といった、上手な選択が必要となるわけですね。

◆なんでもありの運動会を彩る、熱い音楽たち



さて、そんな本作の魅力のひとつが音楽です。本作の音楽は、『くにおくん』シリーズの音楽を多数手掛けた、作曲家の澤和雄氏が担当しました。ハチャメチャで熱い運動会を演出する、元気でにぎやかな楽曲たちが、くにおたちの熾烈な戦いを盛り上げてくれますよ! それでは、本作で印象的な音楽をご紹介していきましょう。
※曲名は、ファミコン版のサウンドトラック(後述)を基準にしています。

●「熱血行進曲」
本作のタイトル画面で流れる音楽です。2拍子で奏でられる勇ましいマーチ調の楽曲で、これから始まる熱き戦いの序曲を高らかに奏でてくれます! リズミカルに鳴り響く花火の音もいい味を出していますよ。

●「競技プログラム(おねえさんたちのテーマ)」
ゲームのはじめに、競技プログラムの変更を担当する実行委員の「もりさわ」さんや、BGMの設定を担当する放送委員の「こうづき」さんが登場する際に流れる音楽です。また、各競技の合間に、運動会の華である各高校のチアガールのお姉さんたちが応援で登場するシーンでも流れます。熾烈な競技の合間の安らぐようなひとときを、可憐で優雅なサウンドが彩ってくれますよ。ちなみにチアガールのお姉さんたちは、各競技で良い結果を出すと喜んでくれるのですが、ふがいない結果になってしまうと、「ばかやろぉ!それでも おとこかぁ!」などと辛辣な言葉で罵られたりすることもあります(苦笑)。頑張るしかないッ!

●「おねえさんたちのテーマ2」
各競技の前に、司会・進行を務める「はせべ」さんが登場し、試合回数や制限時間、風の有無といった競技の各種設定を行う際の音楽です。アップテンポな旋律で、競技前のやる気をあおってくれます! ちなみにこの楽曲は、ゲーム中では競技の設定が終わるとすぐに次の画面へ移るため、非常に短い時間しか聴けないことが多いのですが、実はわりと尺が長めなのです。非常にかっこいい楽曲なので、一度フルでお聴きになってみることをおすすめしますよ!

●「緊張の出場準備」
各競技の開催直前、出場する選手を選ぶ画面で流れる音楽です。クールに展開される旋律が、競技に臨む直前の選手たちの、ゾクゾクするような緊張感と高揚感を演出してくれます。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

本作では、各競技中に流せる音楽が全部で6曲用意されており、どの曲をどの競技で流すかをお好みで選ぶことができます。どの楽曲もアップテンポかつ賑やかな熱い音楽がそろっていて、熾烈な運動会を盛り上げてくれますよ!

●「馬車馬のように (競技中BGM 1)」 デフォルトで流れる競技:夢見町クロスカントリー
ドイツの作曲家ヘルマン・ネッケが手掛けた、運動会の定番であるクラシック音楽「クシコス・ポスト」をアレンジした楽曲になっています。このクロスカントリーは、町中の人様の家に上がり込んで通り抜けたり、屋根の上を走ったり、下水道の内部を泳いで通過したりというハチャメチャなレースなのですが、そのハチャメチャ感をよりアップさせてくれる、にぎやかで楽しい楽曲です。

●「弾よりも速く (競技中BGM 2)」 デフォルトで流れる競技:障害部屋競走
伸びやかに響きわたる高音と、「デンッデンッデンッデンッ、デデ」という低音が交互に繰り返される楽曲です。バネ仕掛けの足場、張り手を繰り出してくる機械仕掛けの大きな手、ベルトコンベアなど、数々のいやらしい障害に苦しめられながらも、負けずに進んでいく選手たちの姿を、低音と高音を織り交ぜて巧みに演出しているように感じられます。

●「駆け抜ける青春 (競技中BGM 3)」 デフォルトで流れる競技:棒の上の玉割り競争
勇壮でありながら、やや切なさを帯びた曲調が印象的な音楽です。この曲がデフォルトで流れる「棒の上の玉割り競争」という競技は、学校の屋上で、細長い棒を登っていって上部に設置されたくす玉までたどりつき、拳でくす玉を数回殴って割るというものなのですが、まずくす玉までたどり着くのが難しいんです。なぜかというと、「もう少しでくす玉にたどり着く!」といったところで、他の選手から砲丸を投げつけられたりして妨害され、下まで落っこちてしまったり、といったことがよくあるからです(笑)。選手たちの勇ましさと哀愁が表現されている楽曲だと思いますね。

●「熱き闘い (競技中BGM 4)」 デフォルトで流れる競技:勝ち抜き格闘大会
重厚に始まるイントロ部分の後、アップテンポで駆け抜けていくような旋律になる、緊張感と勇ましさを合わせ持った楽曲です。曲の後半(曲が始まってちょうど1分ごろ)に入ってくる超絶アップテンポな展開が特にイカしててしびれます! まさに曲名通り、選手たちの己のプライドを懸けた熱き戦いを演出してくれる音楽です。

●「飛び出せ熱血野郎 (競技中BGM 5)」
本作に用意されている競技中の楽曲の中では、いちばんノリノリで、疾走感と軽快さにあふれている音楽だと思います。クロスカントリーなどのレース系競技に合いそうな楽曲です。たまには、デフォルトで設定されている楽曲からこちらに変更して競技に臨んでみると、雰囲気がガラッと変わって楽しいかもしれません!

●「最後の直線コース (競技中BGM 6)」
曲名はレース系の楽曲のような感じですが、小学生のころに本作をプレイしていた僕と弟は、この曲をいつも「勝ち抜き格闘大会」の競技で使用していました。ピリピリとした緊張感がありつつも、闘志をメラメラと燃え上がらせてくれるような熱い旋律が、真剣勝負の格闘大会を彩る音楽としてぴったりだと個人的には思います。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

全ての競技が終了すると、結果発表と表彰式が行われた後にエンディングへと移るのですが、最後に流れる曲が名曲なんです!

●「エンディングテーマ1」
本作のエンディング画面で流れる音楽です。運動会の片付けが終わり、みんな家へと帰り、誰もいない夕暮れのグラウンド。そこで、司会進行を担当した「はせべ」さんが1人たそがれているのです。運動会という、にぎやかなお祭りが終わってしまった寂しさを感じさせる、まさに“祭りのあと”というイメージの、切なくも美しい旋律が印象的ですね。僕は小学生のころに本作をプレイしていた当時、この曲が流れるエンディングが、にぎやかな運動会本編とのギャップも含めて強烈に印象深く、リセットボタンを押さずにしばらくボーッと見入っていたことを覚えています。

ちなみに、「エンディングテーマ2」も用意されています。こちらは1人プレイの際に熱血高校を使用して優勝すると見られる寸劇つきのスタッフロールで流れる楽曲なのですが、ドタバタギャグコメディを見ているような、非常に賑やかで楽しげな小芝居と音楽が堪能できますよ!

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

本作では、プレイヤーたちの血を熱く煮えたぎらせてくれる、ハチャメチャでなんでもありの運動会が楽しめます。それをより盛り上げてくれる効果を果たしていたのが、澤氏が紡いだ、熱い音楽たちだったように思いますね。『くにおくん』の破天荒で楽しい世界観に、澤氏の音楽は欠かせないものであったと、改めて思います。

本作は発売からすでに26年もの時間が経ちましたが、今も色褪せることのない魅力を持つ、ハチャメチャ対戦アクションゲームの金字塔と言っても過言ではない作品だと思いますね。運動会という誰にとっても馴染み深いテーマで、みんなでテレビとゲーム機を囲みながら、熱狂し、笑い合い、たまに罵詈雑言をぶつけあいながらワイワイと楽しめる――。対戦の醍醐味を存分に堪能できる、熱狂的な楽しさが詰まった作品だったと思います。僕は今でも時々、本作を何度も何度も繰り返し遊んでいた小学生の頃の日々を「本当に楽しかったなぁ」と、懐かしく思い出すことがあるのです。でも、それは単に懐古に浸っているだけではなく、最近改めて遊んでも「やっぱり楽しいなぁ」と実感しました(笑)。今遊んでもじゅうぶんに楽しめる作品だと思いますね!

◆サウンドトラック情報



『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』の音楽が収録されたサントラとしては、2008年に『熱血硬派くにおくん 音楽集』が株式会社ウェーブマスターから発売されました。このサントラには、ファミコンで発売された『くにおくん』作品全11タイトル(※注1)の音楽が完全網羅されており、CD4枚組、総収録曲数は200曲を超える大ボリュームの逸品です。『くにおくん』の音楽ファンならマストバイのアイテムですよ!

※注1 ファミコンで発売された『くにおくん』作品……
『熱血硬派くにおくん』、『熱血高校ドッジボール部』、『ダウンタウン熱血物語』、 『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』、『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』、『くにおくんの時代劇だよ全員集合!』、『いけいけ熱血ホッケー部』、『びっくり熱血新記録 はるかなる金メダル』、『熱血格闘伝説』、『くにおくんの熱血サッカーリーグ』、『熱血!すとりーとバスケット』の11タイトル。



ゲームボーイ版の『ダウンタウン熱血行進曲 どこでも大運動会』のサントラに関しては、ゲームサウンドオンリーレーベルの「クラリスディスク」から配信が行われています。また、ゲームボーイで発売された『くにおくん』作品7タイトル(※注2)の楽曲を集めたサントラとして、『熱血高校サウンド部 GB編』が同じくクラリスディスクから発売されています。ちなみに、収録作品のひとつ『熱血!ビーチバレーだよ くにおくん』に関しては、ゲームボーイ音源のほかに、スーパーゲームボーイで起動した時に聴けるスーパーファミコンの音源まで収録されているという半端ないこだわりぶりです!(笑) ご興味をお持ちの方はチェックしてみてくださいね。

※注2 ゲームボーイで発売された『くにおくん』作品……
『熱血硬派くにおくん 番外乱闘編』、『熱血高校サッカー部 ワールドカップ編』、『熱血高校ドッジボール部 強敵!闘球戦士の巻』、『ダウンタウン熱血行進曲 どこでも大運動会』、『びっくり熱血新記録 どこでも金メダル』、『ダウンタウンスペシャル くにおくんの時代劇だよ全員集合!』、『熱血!ビーチバレーだよ くにおくん』の7タイトル。


◆ミニファミコンに内蔵、コンプリートソフトも発売!


なお、『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』は、11月10日に発売される、手のひらサイズになったファミコン「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」に、内蔵ソフトのひとつとして収録されるとのことです。ご興味をお持ちの方は、この機会にぜひプレイしてみてくださいね! ちなみに、このクラシックミニファミコンには、『くにおくん』シリーズからは他に『ダウンタウン熱血物語』も収録されるとのことです。


さらに、12月8日には、かつてファミコンで発売されたくにおくん関連のソフト11作品をすべて収録した、『くにおくん熱血コンプリート ファミコン編』もニンテンドー3DSで発売予定とのことです。今回ご紹介した『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』をはじめ、ファミコン版の『くにおくん』シリーズ全作品が遊べるお得なパッケージなので、ご興味をお持ちの方はチェックしてみてくださいね。なお、この『熱血コンプリート』はダウンロードプレイに対応しており、ソフトが1本あれば最大4人までの同時プレイが可能だそうです。これで、より手軽に対戦プレイを味わうことができそうです!

最後に、これから『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』をプレイされる方へお伝えしたいことがあります。本作の、まさに“なんでもあり”な運動会はプレイヤーの皆さんをきっと熱くさせてくれると思いますが、対戦される時には、くれぐれもヒートアップしすぎてリアルファイトにならないようお気をつけください! 殴り合いは、ゲームの中だけにしておきましょうね(笑)。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬

ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を執筆しています。最近はPS3の『二ノ国 白き聖灰の女王』をプレイ中。シズクという関西弁をしゃべる妖精が大のお気に入り!
[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

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《hide/永芳英敬》
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