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【hideのゲーム音楽伝道記】第52回:『洞窟物語』。インディーゲームの金字塔!レトロテイスト全開のゲーム音楽

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【hideのゲーム音楽伝道記】第52回:『洞窟物語』。インディーゲームの金字塔!レトロテイスト全開のゲーム音楽
  • 【hideのゲーム音楽伝道記】第52回:『洞窟物語』。インディーゲームの金字塔!レトロテイスト全開のゲーム音楽
インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽大好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第52回目の今回は、『洞窟物語』をご紹介します。


『洞窟物語』は、2004年に開発室Pixelが公開した、ファミコンを彷彿とさせるレトロテイストの2Dアクションゲームです。本作はWindowsのフリーゲームとして公開されたもので、なんと、プログラムをはじめ、グラフィック、サウンド、ストーリーといったゲームを構成する要素全てが、“Pixel”こと天谷大輔氏1人によって作られました。本作はフリーゲームとしては異例なほどの高い完成度を誇り、世界中でプレイされ、今も根強い人気を有する作品です。

その後、2010年にはニンテンドーDSiウェア版が配信され(2012年に配信終了。現在は購入できません)、2012年には『洞窟物語3D』というリメイク版がニンテンドー3DSで発売。さらに2015年9月からは、オリジナル(ドット絵)のバージョンがニンテンドー3DSで配信されています。

 

本作の主人公は、帽子をかぶった男の子。暗い洞窟の中で目を覚ました彼は、記憶をなくしてしまっていました。彼は自分自身の記憶を取り戻すため、襲いかかるたくさんの敵と戦い、謎を解きながら、広大な洞窟を探索していきます。個性豊かな武器たちを使い分け、敵を蹴散らしながら先へ進んでいく爽快感の高いアクションが楽しめる本作は、ゲーム本来の根源的な楽しさが詰まっている作品です。

そして、本作において欠かせない魅力的な要素のひとつが音楽です。本作の音楽は、ゲームの制作者である天谷氏自らが作曲を担当しました。天谷氏が開発した独自音源「オルガーニャ」によって作られたサウンドは、ファミコン時代のような懐かしさと温かみを持っていて、かつノリノリでメロディアスなものが多く、非常に耳に残るものになっています。それでは、本作の音楽をピックアップしてご紹介していきましょう。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

●「洞窟物語」
本作のタイトル画面で流れる楽曲です。思わず身体が動いてしまうような、ノリノリで軽快なサウンドがゲームの幕開けを彩ります。……じつはこの楽曲、流れるのはタイトル画面だけではありません。タイトル画面ですぐにゲームを始めてしまうと分からないのですが、実はこの楽曲はよく聴くとかなりの長さがあり、様々な展開が盛り込まれています。ゲームを進めて、この曲を再び耳にした際には、また違う印象を抱くかもしれませんね。


▲一番左にいる子がバルログです

●「バルログのテーマ」
ゲーム中、主人公の前に何度も立ちはだかることとなる、電子レンジのような四角い形の不思議な生物「バルログ」のテーマ曲です。ちょっととぼけた印象のイントロの後に入る、やんちゃでいたずらっぽいメロディが、主人公の邪魔をしてくるけれどどこか憎めなさがある彼の特徴を表しているかのように感じますね。

●「グラビティ」
ボスとの戦いの際に流れる音楽です。冷たい印象の電子音と、エレキギターのような激しい音色が組み合わさって駆け抜けるように展開するアップテンポな旋律が、ボスとの激しいバトルを演出します。


●「わんぱくロボ」
最初に訪れるダンジョン「タマゴ回廊」で流れる楽曲です。蒸気機関を思わせるようなイントロから、まさに “わんぱく” という言葉がふさわしい、にぎやかで楽しげな旋律へと流れるように変わっていくのが印象的ですね。個人的には、聴いていると元気が湧いてきます!


●「クサムラを行け」
2つめに訪れるダンジョン、「クサムラ」で流れる音楽です。アップテンポに展開されるピコピコ音が、主人公が元気よく草むらを飛び跳ねながら進んでいく様子にぴったりですよ。

●「メルトダウン2」
たくさんの砂に覆われた地帯、「砂区」で流れる音楽です。リズミカルに響く電子音のかけあいが絶妙で、心地よいですよ! 基本的には明るい楽曲なのですが、後半に展開される旋律は少しせつなさを帯びていて心に沁みます。個人的には、本作の中で一番好きな楽曲ですね。

●「じえんか1」
砂区にある、「ジェンカ」という引退した魔女が住む家で流れる音楽です。“ジェンカ”つながりからなのでしょうか、フォークダンスで有名なフィンランドのダンス音楽「Letka Jenkka」をアレンジした曲になっていますね。また、この曲は、とある人物によって強制的に飛ばされてしまうゴミ溜めのような迷宮でも流れるのですが、ちょっと怪しさを帯びた気だるげな旋律は、鬱屈とした迷宮の雰囲気をうまく演出しています。

●「じえんか2」
ゴミ溜めのような迷宮を抜けた次に訪れる、「迷宮W」で流れる音楽。「じえんか1」のメロディを、よりアップテンポにアレンジしたものになっています。エレキギターを思わせる音色で展開されてゆくノリノリなサウンドは、迷宮からの脱出を目指す主人公の気持ちを感じさせてくれて、プレイヤーのモチベーションを上げてくれますよ。

●「迷宮ファイト」
「迷宮M」で流れる音楽です。この迷宮では、探索の途中で出会ったカーリーブレイスという女の子と主人公が2人で一緒に進んでいくことになります。仲間が増えた嬉しさや、彼女と協力して進んでいく心強さ、楽しさといったはじけるような感情が、リズミカルかつ明るく展開される軽快なピコピコ音で表現されていますよ!

●「圧迫するチカラ」
迷宮を抜けた先で出会うことになる、「コア」と戦う際の楽曲です。エレキギター調のギラギラしたロックな音色で展開される音色は、大きな存在感と禍々しい姿を持つコアの、すさまじい圧迫感とそれに対峙する緊張感を演出しています。

●「生きた水路」
コア戦の後、水路を進む際の音楽です。コア戦では、主人公にとって辛い出来事が起こるのですが、それを演出するかのような若干けだるげな雰囲気を帯びた音色なのが特徴的で、苦悩しながらも「先に進むしかない……」という主人公の気持ちが代弁されているかのように響きます。

●「灼熱の背中」
ゲーム後半にふたたび訪れることになる、タマゴ回廊で流れる楽曲です。以前はあった大きなタマゴがどれも割れた状態になっており、変わり果てた姿に。「何かが起こっている――」そんな、じりじりと焼けつくような緊張感が、アップテンポかつせわしない旋律で演出されています。

●「つきのうた」
夜空にぽっかりと浮かんだ大きな月が見える、外壁ステージで流れる楽曲。切なさにあふれた旋律が印象的です。ここでは、「逃げるか、逃げずに立ち向かうか」という、ある重要な選択を迫られます。ここで立ち向かうことを選んだ際には、外壁を上へ上へと進んでいくのですが、切ない中にも芯の通った曲調は、主人公の強い決意を表しているようにも感じます。


●「バルコニー」
ゲームの終盤に訪れることになる「バルコニー」。ここで流れる、ゆったりしたテンポで響く音色の楽曲です。非常に穏やかで静かな音楽なのですが、その中には主人公の“悪に立ち向かう静かな闘志”のようなものが伝わってきて、嵐の前の静けさという雰囲気が感じられます。

●「ランニングヘル」
とある条件を満たすと挑戦することができる隠しダンジョン、「血塗られた聖域」ステージで流れる音楽です。ここは非常に難度が高い、文字通り地獄のようなステージなのですが、アップテンポかつ禍々しい音使いが、じりじりとプレイヤーの緊張感をあおってきます……!

●「帰り路」
ラスボスを倒した後のエンドロールで流れる音楽です。ゆったり穏やかに奏でられるメロディは、まるで「おつかれさま!」とやさしく声をかけてくれるかのような安心感たっぷりのじつに平和的な響きを持っていて、ゲームをクリアした達成感を演出してくれますよ。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

天谷氏によって開発された音源「オルガーニャ」で奏でられる『洞窟物語』の音楽は、どれも独特な響きで耳に馴染むものです。そしてメロディアスな旋律はダイレクトに心に響いてきて、印象に残ります。本作の音楽は楽曲単体で聴いても良い曲なのですが、ゲームを実際にプレイしながら音楽を聴くと、ゲームとの絶妙なマッチング具合が感じられてより印象深くなりますので、できればぜひゲームをプレイしながら聴いてみていただきたいですね。天谷氏が紡いだ音楽の数々を、ぜひ、ゲームとともに堪能してみてください。『洞窟物語』の音楽は美しく覚えやすいメロディが多いので、プレイしているうちに“音楽が身体に刷り込まれる” ような感覚を覚える方も多いと思います。これがじつに気持ちいいので、ぜひ貴方も、“音楽が刷り込まれる気持ちよさ” を味わってみてほしいです。

じつは『洞窟物語』は、一度完成間近まで作ったものの出来に納得がいかず、全て捨てて作り直したという過程があるのだそうです。また、本作は天谷氏の友人たちに何度もテストプレイをしてもらい、約1年をかけてブラッシュアップを行ったとのこと。実際僕は初めて本作をプレイした時、とても1人で作ったとは思えないほどの完成度の高さに心底驚きました。まさに、天谷氏の「いいゲームを作りたい!」という燃えるような情熱とこだわりが詰まった作品だと思います。インディーゲームの金字塔と言っても過言ではないこの作品。ご存知なかった方は、ぜひ一度体験してみてください。


現在、2015年に3DSで配信されたオリジナル(ドット絵)バージョン『洞窟物語』のセールが開催中です。通常価格1000円のところ、今なら半額の500円とお得に購入ができます(セールは、2月15日の午前9時59分までです。詳しくはこちら)。この3DS版では、『洞窟物語』本編はもちろん、ヒロイン「カーリーブレイス」側の視点からプレイできるモードや、ボスラッシュモード、ネメシスチャレンジ、そしてオリジナル版では収録されていなかった「風の砦」ステージといった多数の追加要素が収録されています。また、難易度を3段階から選ぶことができるので、アクションゲームが苦手な方でもプレイしやすいかと思います。はじめての方はもちろん、かつてプレイした方でももう一度楽しめると思いますよ。ご興味をお持ちの方はプレイしてみてくださいね!

なお、『洞窟物語』のサウンドトラックは、原作者・天谷氏のWebサイト「開発室Pixel」にて、音楽を聴けるアプリケーションが公開されています(パソコン上にデータをダウンロードして、アプリで再生する形です)。耳に残る名曲が多いので、ご興味をお持ちでしたら、こちらもお聴きになってみてください。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬

ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を執筆しています。ラーメンはとんこつが一番好きです(福岡生まれなので!)。細麺・はりがね派。替玉も欠かせない(笑)。
[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

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《hide/永芳英敬》

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