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【GDC08】 任天堂・澤野貴夫氏が『Wii Fit』の革新的インターフェイスについて講演

米サンフランシスコで開催中のゲーム開発者向け技術カンファレンス「Game Developers Conference(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)」で20日(現地時間)、任天堂の澤野貴夫氏が「『Wii Fit』:家庭向けコンソールにおける革新的インターフェース」と題した講演を行い、バランスWiiボードの開発経緯について振り返りました。

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米サンフランシスコで開催中のゲーム開発者向け技術カンファレンス「Game Developers Conference(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)」で20日(現地時間)、任天堂の澤野貴夫氏が「『Wii Fit』:家庭向けコンソールにおける革新的インターフェース」と題した講演を行い、バランスWiiボードの開発経緯について振り返りました。

初めに澤野氏は「こうして完成したバランスWiiボードを見ると、Wiiのコンセプトに合う、新しい入力装置として、こういうものが存在するのも当たり前のように見えるのではないでしょうか?」と切り出し、いかにも理想的な過程で誕生したデバイスのように思えるかもしれません、と語りました。しかし、実際にはさまざまな試行錯誤を繰り返しながら、紆余曲折を経て誕生したとのことです。

「話の発端はWiiの開発前に遡ります」と澤野氏は続けます。澤野氏によると、Wiiのコンセプトとして宮本茂氏が書いたメモの中に「パーティパック」というグループがあり、これが『Wii Fit』に繋がっていったとのことでした。宮本氏は「自分で体重を量ってデータをためていくだけで楽しいから、おもしろいものができそうだ」と思い、体重を計測する習慣をWiiのゲームに取り入れたいと考えていたのです。

しかし澤野氏には「テレビとゲーム機の電源を入れて、わざわざ体重を量るだろうか?」「人が集まる居間で体重を量るだろうか」「服を脱がずに正確な計測ができるだろうか?」「どの家庭でも風呂場に体重計はあるのではないか」などの疑問がありました。宮本氏の旗振りで開発がスタートしただけに、めざす方向性は明確だったものの、「ヒットは難しいのではないか」という、自問自答を繰り返す日々だったと言います。

ともあれ、まず澤野氏は「体重計」をゲームとして販売できる価格帯に納めることを考えました。ところがメーカーと協議したところ、すでにコストダウンは限界に来ており、体重を量るだけのシンプルな装置には、興味をもってもらえないことがわかりました。そのためゲーム機のコントローラーを開発している企業と共同で、ゼロから検討を進めることになりました。とはいえ、通常の設計ではソフトに同梱できるような価格帯の製品を作ることは難しい、という壁に突き当たります。

これを解決するヒントになったのが、NINTENDO64のコントローラーに用いられていたロータリーエンコーダーでした。3Dスティックの傾きを検知する部品で、体重計にも転用が利きそうです。そこで試作品の開発に取りかかったのですが、やはり不安が拭いきれない日々が続きました。「ゲーム機の電源を入れて、居間で体重を量るか?」という疑問が未解決だったからです。このままでは、開発が途中で中止してしまうかもしれない、という予感すら感じていました。



これを打開する大きなヒントとなったのが、相撲の力士の体重計測でした。力士は体重が重すぎて通常の体重計では計測できないため、二つの体重計を使って両足で測定する……これを思い出したのです。体を左右に傾けると、左右の体重が異なって表示されるだろうし、これが遊びに結びつくかもしれない。そこで早速、USB接続のできる体重計を2つ用意して実験してみました。

しかし、体重の測定速度が遅すぎて、うまくゲームに使えません。そこで体重計を改良する一方で、左右の計測値がバーで表示されるソフトを開発しました。ちなみに、これが製品版の「からだ測定」の最初に出てくる、「基本バランステスト」へと繋がっていきます。試作品をテストした宮本氏も「この装置は遊びとしての素性の良さを感じる」と述べたそうです。そこで澤野氏は体重計のコンセプトを、コスト重視の開発から、2つの体重計が1つになったものに切り替えて、新たに試作器を開発しました。

ちなみに、この試作器では振動モーターがついていました。「足が振動したら、それも遊びになる」という考えからでした。しかし、モーターが小さすぎてパワーが足らず、大型化すると電池の消耗も激しくなるため、このアイディアは日の目を見ませんでした。

一方でソフト開発チームも、左右のバランスを取って遊ぶようなゲームを、次々に開発しはじめました。ハード側・ソフト側ともに、ようやくイメージがつかめてきたのです。しかし、次第に澤野氏は「これは足で操作するコントローラーだ」と思うようになりました。もしゲームで汎用的に使用できる物にするには、前後左右でバランスを検出できた方が、より望ましいのは言うまでもありません。しかし、このアイディアはソフト開発チームから「左右だけで十分」と相手にされませんでした。一度は否定されたものの、澤野氏は前後左右の傾き検知というアイディアを捨てきれず、ハード側で独自に実験を進めていきました。



《小野憲史》
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