まずは、簡単にRTSのリプレイファイルの歴史の話をしましょう。最初にリプレイ保存機能を実装したRTSは、残念ながらよくわからないのですが、おおよそ10年前ぐらいから一般的になって来たようです。現在のように回線周りのインフラが整う以前から、リプレイ機能のあるRTSでは、リプレイファイルのやりとりが万国共通で行われており、特にリプレイファイルは動画と比べると圧倒的にサイズが小さい(大きいものでも圧縮してしまえば1MB程度)のが特徴かつ、魅力でした。現在の光回線と比較して、1000分の1以下のアナログモデムやISDN回線であっても、ファイルの受け渡し、ファイルの公開などを行うこと可能だったため、当時は非常に意義のあるサイズでした。そんな手軽なリプレイ機能の登場により、RTSは一足早く「プレイ動画」という恩恵を授かってきたと言えるかもしれません。
現在でもその流れはほとんど変わっておらず、上級者同士の対戦が記録されたリプレイファイルとなれば、世界中で需要のある代物となっています。現在、リプレイファイルは、そのゲームのネット対戦に興味のあるすべてのプレイヤーのバイブル的存在となっています。リプレイファイルの登場により、ゲームの成熟はそれ以前のゲームと比較し大幅に進むことになりました。プレイヤー同士の情報交換、技術交流、日記代わりに自分のリプレイを管理するプレイヤー、そしてなにより単純に楽しむためのプレイ動画再生…、こうしてあらたな要素が生まれ、その結果、既存の戦略や戦術のさらなる発展、革新やあらたな流行、またスタープレイヤーの登場を呼ぶきっかけになったと言えるかもしれません。
そして、情報の集まるところに人が集まることによって、コミュニティの関係はより強固に、そして巨大になりました。擬似的なプレイ動画であるリプレイファイルを中心としたコミュニティの拡大が行われ、RTSとしての全盛期を迎えたのです。
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『WCReplays.com』や『AgeSanctuary』などのサイトは非常に大きなコミュニティを形成していますが、有名プレイヤー同士の対戦リプレイに関しては、最終的にそれだけでも有力なコンテンツとなったと言えるでしょう。※クリックで拡大画面を表示 |
リプレイを中心に扱う『WCReplays.com』や『AgeSanctuary』などの海外サイトは、非常に大きなコミュニティを形成していますが、有名プレイヤー同士の対戦リプレイが有力なコンテンツとなり、さらに人を集めたと言えるでしょう。このようにして、リプレイを中心としたコミュニティの拡大が行われました。
■YouTube、そしてニコニコ動画がプレイ動画普及の牽引力に