GDC2009で国際ゲーム開発者会議(IGDA)が主催するIGDA Educational Summitでは、ゲームと教育にまつわる様々なセッションが開催されていますが、キーノートとして、Institute for the FutureのJane McGonigal氏による「Learning to Make Your Own Reality: How to Develop Games that Re-invent Life As We Know it」と題する講演が行われました。
GDC2009で国際ゲーム開発者会議(IGDA)が主催するIGDA Educational Summitでは、ゲームと教育にまつわる様々なセッションが開催されていますが、キーノートとして、Institute for the FutureのJane McGonigal氏による「Learning to Make Your Own Reality: How to Develop Games that Re-invent Life As We Know it」と題する講演が行われました。
講演は「Are you optimistic about the future?(未来について楽観的ですか?)」という問いかけから始まります(会場の約9割が手を挙げる)。McGonigal氏は未来を形作るのは世界に300万人のゲームデザイナー(やデベロッパー、ハッカー)であるとして、その使命は「リアルな生活を再発明すること」で、ゲームデザイナーの将来にとってキーとなる5つのテーマを挙げました。
続いて「persuasive technology」として述べられたのは、人々が考え、動き、行動する形を変える技術です。例えば家電の消費電力をリアルタイムに表示する「Google PowerMeter」のようなものは、情報を可視化することでユーザーに訴えかけます。また「World Without Oil」は代替現実ゲームと呼ばれるもので、石油のない世界をユーザー参加型でシミュレートしていきます。McGonigal氏はこうした、思考を変え、新しい様式を教え、日々の行動に繋げていくような、アジェンダを変える役割をゲームデザイナーは果たすことができるとしました。
3つ目の「engagement economy」は人々の力を合わせて一つの大きな力にするというものです。集合知という考え方ではWikipediaや予測市場のようなものがあります。スライドによればWikipediaは1億メンタル時間がかけて構築された(手法は不明)とのことですが、それは『World of Warcraft』に費やされた5日分に過ぎず、そのパワーは適切に誘導されれば物凄い力を持つと言えそうです。PCパワーを持ち寄って研究に利用する「Folding@home」や「GALAXY ZOO」といった取り組みが既になされています。今後10年のゲームデザイナーは「ファンジニア」(fun+engineer)であり「マスコラボアーキテクツ」という存在で、面白さをキーにして多くの人をコラボレーションさせていくデザイナーになるとしています。