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【DEVELOPER'S TALK】手のひらサイズでも「ACE」級、iPhoneアプリ『ACE COMBAT Xi Skies of Incursion』開発チームのチャレンジ

バンダイナムコゲームスがiPhone/iPod touch向けに配信中の『ACE COMBAT Xi Skies of Incursion』は、バンダイナムコゲームスとして初めて、シリーズを手掛けてきたメンバーが直接iPhoneに挑んだ作品であり、シリーズの原点に立ち返った作品でもあります。

ゲームビジネス 開発
ACE COMBAT Xi Skies of Incursion
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■iPhoneでの『エースコンバット』とはどんなものなのか

―――ズバリ『エースコンバット』の最新ターゲットのハードとしてiPhoneを選んだのはどうしてなんでしょうか?

加藤: AppStoreには一人のゲームデザイナーさんが手掛けたものから、大手メーカーが提供するものまで様々なゲームやアプリが登場していて、非常に活発で魅力的なプラットフォームという印象があります。ただ、それだけでなく、ゲームというメディアが誕生して、成熟期に入って、家で遊ぶというスタイルから脱却したのがゲームボーイならば、iPhoneはゲームが生活の中に入っていくハードではないかという大きなとらえ方をしています。改まって遊ぶ時間を確保するというのではなく、生活の一部として空いた時間を消費する、そういう遊びのスタイルを生み出しているんじゃないかと思っています。我々はそこに提供するゲームとは何なのか考える必要がありました。当然携帯電話などのモバイル機ではこれまでもやってきましたが、ハードの性能が格段に上がっています。『ACE COMBAT Xi Skies of Incursion』はバンダイナムコゲームスが持つ技術の全てを投入した新しいモバイルゲームの形を作り上げる挑戦でした。単純に活気のあるマーケットに参入したいという以上の意味を持ったプロジェクトだったと思います。

―――それは今までの『エースコンバット』のスタイルを変えることにも繋がると思います。これだけ成功したシリーズで、スタイルを変えるのはとても困難な決断ではないかと思うのですが、それを後押ししたのはどういったものでしょうか?

山崎氏
山崎: 今回大きなテーマとしてあったのは「原点回帰」という言葉です。近年の『エースコンバット』シリーズは大作というイメージも強いですが、元々はゲームセンターの『エアーコンバット』から始まっていて、気軽に遊べるゲームだったんです。僕はプレイステーションの1作目の『エースコンバット』をユーザの立場で楽しんだ人間ですが、当時はゲームセンターで遊べたものが家でも遊べるようになった、という印象が強かったです。そうした頃に立ち戻って作った感覚が今回はありましたね。

江藤: 忘れがちなんですよね、原点って。どうして原点が楽しかったのかということを大事にして作りました。近年の『エースコンバット』は大作然としていて、ある意味では遊ぶハードルが高かったかもしれません。今回は原点に戻って、5分、10分で気軽な操作で楽しめる作品として作りましたので、シリーズが初めてという方にもぴったりです。もし気に入っていただければPSPやXbox 360でも発売していますので、登竜門と言うと変ですが、そういう位置付けにもできるかなと思います。

加藤: 今回初めて『エースコンバット』を遊びましたという人も我々が想定した以上で、これは嬉しい誤算でした。

本作で初めて空を飛んだ人も多いとか


―――特に年齢が上がっていくと、そもそもゲームを遊ぶ時間が無くなっていく人が多いのではないでしょうか。そういう意味でも、生活の中でゲームをどう位置付けるかというのは考える必要がありそうですね

山崎: 確かにそれはありますね。自分でもゲームを遊ぶ時間が減っているのは実感しています。なかなか大作に手を出す気にならないので。自分が上手ければ短時間でクリアできるようなアクションなんかを遊びがちだったりしますので・・・。

加藤: 子供たちと一緒に遊ぶ時間は増えていくけど、一人で遊ぶ時間は減っていきますね。一人でゲームを遊んでると「パパばっかりズルイ」って子供たちに怒られちゃって・・・。

―――今回の『ACE COMBAT Xi Skies of Incursion』の開発規模や開発期間はどのくらいだったのでしょうか?

加藤: 開発メンバー全体では十数人で、開発期間としては実験期間を含めて約1年くらいでしょうか。モバイルのコンテンツとしてはかなり大規模だと思います。

江藤: 初めてのハードだったので、技術検証や操作まわりの試行錯誤などにかなり時間がかかりましたね。

■操作に試行錯誤

―――タイトルにもありますが、今回はPSP『エースコンバットX』の世界観で描かれたのでしょうか?

加藤: はい。『エースコンバットX』で描かれたオーレリアとレサスの戦いという世界観をベースにしていて、『X』ではグリフィス隊の視点から描かれているのが、『Xi』では、グリフィス隊と同時に影で動いていたファルコ隊の視点から描いたストーリーになっています。

―――ゲームシステムは『X』とは全く違うものになったと思いますがいかがでしょうか?

加藤: ゲームシステムは完全な新作に近い考えで作りました。というのも、ユーザさんが遊ばれる環境が今までのシリーズとは全く違うものになっています。であれば、ゲームもお客さんが一番気持ちいい形を考えなくてはなりません。ゲームを遊ぼうと思って起動してもらうのか、それとも色々な物事の中で息抜きとして起動してもらえるのか、その環境に『エースコンバット』を適応させるというのが一番大変で苦労した点でした。

―――中でも全く家庭用ゲーム機と異なるのが操作まわりではないでしょうか?

江藤氏
江藤: 普通のゲーム機ならボタンがあるので、それをどう割り振るかを考えれば良いのですが、iPhoneには表面上ボタンが1つしかありません。上司にも「ボタンが何もないんです・・・」と相談しながら(笑)。一番苦労した点ですね。

加藤: 操作は何ヶ月もかけて検証しました。最終的にはiPhoneを傾けての操作に落ち着きましたが、そこにも色々と試行錯誤がありました。基本的な考えとしてあったのは、まずはiPhoneでの基本となる形を作ろうということです。基本さえ作れば、次のバージョンでもっと改良したり、他の手段を提供したりといった事が出来ます。『エースコンバット』は毎回何か新しい驚きを提供しようと思っていて、iPhoneであればユニークなインタフェースを使う他にないだろうというのもありました。それで本体を操縦桿のように傾けるという操作に落ち着きました。

―――なるほど。非常に戦闘機を操作している感覚があるインタフェースです。でも、電車の中などで遊びにくいんじゃないかという心配もあったのではないですか?

江藤: 確かに電車の中では遊びにくいというのは正直なところそうだと思っています。直感的な操作で、手軽さを追求した結果のトレードオフではないかとも思っています。もちろん、『ACE COMBAT Xi Skies of Incursion』はこれからも改良を加えていきますので、次のステップとして他の操作方法の導入も検討します。人が操作するものですから、操作性を向上させることは常に認識しています。

加藤: 先ほどもあったように、今回配信を開始した「バージョン1.00」では最も遊びやすいモデルケースを実現するのに注力しました。最初から多くのことをやりすぎると方向性を失ってしまう場合もありますので。もちろんゲームを遊ぶシチュエーションは様々ありますので、多くの状況に適応できるゲームスタイルを作っていきたいと思っています。

―――ミサイルやガンはバーチャルパッドでの操作ですが、配置や大きさなどの苦労は?

加藤: バーチャルパットも数、場所、大きさで試行錯誤がありました。ボタンの配置でかなり操作性が異なってきますので。以前に、ネジコン(※)を開発したことがありまして、久しぶりにコントローラーの構造設計を考えているような気分を味わえて、懐かしかったですね(笑)。

※ネジコン・・・ナムコ(現バンダイナムコゲームス)がプレイステーション向けに開発した、レースゲーム向けコントローラー。その名のとおり、ねじることでハンドル操作などを行うことができた。

■サウンドの出来も「エース」級

《土本学》
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