最近、色々とご新規のお客様からお声がけが続き嬉しい限りだが、またも依頼があったんだ。
ありがたいですね。日本の元気のなさを指摘する報道が目立つ中、日本の有望分野としてゲームが期待されてることの表れでしょうかね?
理由はどうでもええやないか。相変わらずウチの部署は市場独占中、ブルーオーシャン驀進航海中や。で今回はどちらさんで?
君は嬉しいんじゃないか?今回の依頼はロックマンの最新作「ロックマン10」の8つステージの実現に関するコメンタリーゲストなんだ。
おおー!大阪の誇り。「遊文化をクリエイトする感性開発企業・CAPCOM」やね。
・・・あのぅ、関西人は皆、カプコンさんの企業理念がソラで言えるもんなんですか?
なんか楽しそうやから株主になろうとしたんや。けど株は難しくてやめた。
そりゃ君の努力不足もあるな。CAPCOMさんのIRページは日本屈指の充実ぶりだぞ。
で、実は今回の依頼もおそらく歴代F営業部屈指の難しいものになる。
それゆえ私の判断でコメントレベルの対応とさせていただいたが、それでも皆、気を引き締めて業務にあたってほしい。
そうですか?モンスターハンターやらバイオハザードならまだしも、ロックマンの舞台は、さほど複雑な建造物ではなかったような記憶がありますが。
確かにわしらが子供の頃のロックマンやったら、横スクロールのシンプルなステージやったわ。けど、今は複雑になってるんちゃう?
ロックマンシリーズには様々な展開があるが「ロックマン10」においては君たちの記憶のまま、懐かしい感じでシンプルだ。それが今回の難しさの源泉なんだよ。
こうして飯田橋駅から都庁前駅まで都営大江戸線に揺られること13分、部員はCAPCOM東京オフィスのあるビルに足を踏み入れた。
CAPCOMさんの受付ロビーは、おなじみの有名ゲームに関するデモ画面、ポスター、人形、おもちゃがひしめく華やかな世界。「もしかしたら受付係もロボット?」と期待したがさすがに人間だった。
ただし美しい女性だったので、それはそれで期待値を上回る結果になったのは内緒である。
受付近くの大きな会議室に通されると同時に、CAPCOMさんの関係者がいずれもカジュアルな着こなしで、次々と集まって来る。対照的に前田側は全員落ち着いた色のスーツ。
“CAPCOMさんも我々も、職業欄には同じく「会社員」と書くんだよな”といった不思議な思いと共に名刺交換が始まる。
多くの方が1つの会議室に大集合したため、社交ダンスのようにあちこちで思い思いのペアができお辞儀がはじまったのは、今回のプロジェクトらしい楽しい始まりだった。
ただ、私は緊張も手伝ってCAPCOMの鶴ディレクターに自分の名刺だけ渡し、鶴さんの名刺をもらい忘れるという失態を演じてしまった。(鶴様、大変失礼いたしました。)
皆様、ようこそCAPCOMへ!プロデューサーの竹下です。
どうも。ディレクターの鶴です。
(部屋を見回し)いやぁ今回は、背景担当の方やキャラクター担当の方までオールスタッフ集合で対応いただけるとは感激ですね。
これだけ多くの方の前でお話しするのは緊張しちゃいますね。プレッシャーかかりますよ。
ロビーには、こんなおじさんの私でも見たことあるゲームが数多くありました。
今回はお招きいただき、ありがとうございます。
―― ファンタジー営業部、A部長、B主任、C主任、D職員&CAPCOM社員打ち合わせ中
これが「ロックマン10」ですか。画面も音楽も懐かしい感じですな。
ファンタジー営業部でも、Project03までは我々の顔が8ビットテイストのこんな表現でしたね。(http://www.maeda.co.jp/fantasy/project03/01.html)
さて、これらステージですが・・・いったいどういう方向性で実現すれば?
(ニコニコしながら)それは前田さんにお任せしますよ。
(て、手強いで・・・方向性もこっちで考え、ゆうこっちゃな・・・)
(設定に自由度がありすぎて制約条件が決められない難しさに、皆、気づいたな。)
まずは、この8ビットのギザギザ感を実現するとしたら、いろんな色のビニール製カラーボールを壁面全てに貼り付ける仕上げにでもしますかね。
案外、そういう遊びが、地震の減災技術につながったりするんだよな。
では、まず「ロックマン10」の世界感を確認させてほしいのですが。
ロックマンシリーズは必ず8人のボスがいて、最終的にいつも諸悪の根源はDr.ワイリーなんです。今回がどうかは・・・今の我々ではわかりませんね。
・・・なぜ、お前が説明すのや?
好きなんですよ。ロックマンの妹、ロールみたいなタイプ。
・・・趣味は否定せん。しかし、警察のご厄介になるようなことは避けろよ。
(全く無視して)そうですね。今回の設定は、元々人間のために働いていたロボットたちが、ロボットエンザの影響で熱暴走してしまうというという内容です。
このロボット達、いずれも環境関連施設で働いてたんですね。
その通りで、今回のロックマンに登場するボスたちはエコなボスが多いですよ。
ソーラーマンは人工太陽の研究施設で働いていたロボットだし、チルドマンは北極圏の自然観測ロボット。設定そのものに「地球温暖化によって氷河が溶け出すのを食い止めるのが主な仕事」とあるようにCo2排出問題を憂慮してたロボットです。
インフルエンザに環境問題。さすが時代の流れは外さないわけですね。
ウチも「環境経営No.1と言われる建設会社」を目指してる時代やからねぇ。
環境問題の中でも個人的に感動したのはポンプマンだね。
よくぞ下水処理場を取り上げてくださったという気持ちだ。
下水道が環境負荷低減に不可欠な施設であることは誰もが知っているけれど、なかなかトピックにならないからね。
下水関係の仕事やったら直径約4メートル、長さ約2キロの下水道トンネル工事の経験はあったけれども、たしかに地下やから、家族にも見せられんしな。
もし、この後「ロックマン11」が出て、そこに下水処理場のステージがあるのなら、ロックマンの移動につれ「ここはポンプ所。深いところから下水を汲み上げるよ!」とか「ここは沈砂池・・・」「ここは第二沈殿池・・・」などの紹介テロップも流して、啓蒙活動に一肌脱いでいただきたいところだ。
そ、それは売れないんじゃ・・・?
お言葉ですが、なんか逆効果なるんちゃいます?
「ブルースモード」「フォルテモード」に続く、啓蒙用「シビルモード」があってもいい。でも、じっくり見学してほしいから、戦いはなしだ・・・。
「シビル」って・・・「土木」の英訳が「シビルエンジニアリング」だと知らないとわかんないですよ。
(小声でA部長に)こんなに熱く脱線する部長は初めてみましたよ。
(こっそりとC主任に耳打ち。)好きなんだ。あそこに座ってらっしゃる、伊藤亜紀子プロデューサーみたいなタイプが。
勉強のために「ロックマン10」のホームページ「ロックマンからのお知らせ」を読んでるころから好感を持っていたが、会ってみて確信した。ウチの息子の嫁に是非・・・先ほどから感心してるのだが、あの気配りはダム現場でも十分通用する。
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