レトロゲームの再生が流行ですが、復活劇は成功とばかりはいかないようです。 海外ゲームサイトGamesRadarは「死んでいた方がよかったゲーム」と題する記事を発表しています。いかにも辛辣な視点が海外ゲーマーらしいですが、彼らが言うところの「復活に失敗した」タイトルを見ていきましょう。左が原版、右が失敗したとされるものです。 『アローン・イン・ザ・ダーク』:『アローン・イン・ザ・ダーク5』 『トップシークレット』:『バイオニックコマンドー』 『ゴールデンアイ』:『ゴールデンアイ ダークエージェント』 『LUNAR ザ・シルバースター』:『LUNAR -ジェネシス-』 『King’s Quest』:『King’s Quest: Mask of Eternity』 『ゴールデンアックス』:『Golden Axe: Beast Rider』 『魂斗羅』:『Contra: Legacy of War』 『NARC』:『NARC』 『ファイナルファイト』:『ファイナルファイトリベンジ』 『夢幻戦士ヴァリス』:『ヴァリスX』 ■『トップシークレット』 「あなたがオリジナルの『トップシークレット』に関して知っておくべき事はたった一つ。 “バイオニック・アーム”。 誰も、グラフィックが高級であるか、物語が面白いか、ヒーローが複雑な人格を持つかどうか気にしなかった。救い出すべき“乙女”が美しい姫でなく白髪交じりのスーパー・ジョーであることも。 ゲームはワイヤーを使って上のフロアへスイングすることと、敵を撃つよりもワイヤーで掴むことを教えてくれた。 重要なことの全ては“バイオニック・アーム”とこれがもたらした新発見だった」とオリジナル版を激賞。 2009年版の『バイオニックコマンドー』を復活に失敗したものと定義します。 「ゲーム経験の全ては不必要に複雑だ。 無害な8ビットのスプライトだった主役は現代ゲームのありがちの寄せ集めになった。怒っていて反抗的で神秘的な過去があり間抜けに誇張されすぎた筋肉を持っている。 物語はテロ、政府の裏切り、大量虐殺といったすり切れたテーマを導入し、うるさいくらいだ。 そして“バイオニック・アーム”は劣化した。なぜデザインを変える必要があったのか。なんであんなに滑稽なくらいに大きく、主人公の16倍も重そうに見えるのか。なんで開発者は狭い通路と体力が減る汚染ゾーンで可能性を狭めるのか」とかなりご立腹な様子。 ■『LUNAR ザ・シルバースター』 「メガCDと一緒に買うべきゲームを挙げるなら『LUNAR ザ・シルバースター』は最初の一本目か二本目の指に数えられるべきタイトルだ。 この作品はRPGにROMカセットだけではできなかった経験を加えた。 メロドラマ、ロマンス、アニメーションと声優の声で彩られるイキイキとしたキャラクターで一杯の壮大なストーリーだ。ゲームは西洋と東洋の両方でファンを掴んだ」とCD-ROMの容量を活かした演出を評価。 ただ、『LUNAR -ジェネシス-』に関しては「信者は10年ぶりのリメイクでない『LUNAR』シリーズの制作に興奮していた。原版の1000年前のストーリーだというのも、信者が祝福する理由だった。 しかし『LUNAR -ジェネシス-』は、行方不明だったあなたの恋人が駆け寄ってきて腕の中に収まったかと思うと股間を蹴り上げてきたような出来映えだった。 何が恐ろしいかというと、戦闘で特定の敵を狙えない。一回の戦闘で経験値とアイテムのどちらかしか貰えない。装備がなかなか手に入らない。マップを移動するというRPGで基本的な動作をするだけでもライフが減る。敵から逃げるだけでも拷問で、ニンテンドーDSの内蔵マイクに「逃げろ!」と毎回叫ばなければならない。 『LUNAR -ジェネシス-』の全てが理解できない。より重要なのは全てが面白くないことだ。こんな失敗の後だと、今後どんな『LUNAR』が出るにしても興奮できない」と低い評価を下しています。 ■『魂斗羅』 「『魂斗羅』は8ビットと16ビット時代の“撃って走る”横スクロールアクションを定義した。シリーズは、ユニークで予想もしていなかった後方からの三人称視点ステージを混ぜ、ハード制限のギリギリの巨大ボスを出した」とその功績を称えます。 「コナミは『魂斗羅』を自分で開発するよりも、よく知られていないデベロッパーに渡すことを選んだ。 デベロッパーであるAppaloosa Interactiveは『魂斗羅』を横スクロールアクションではなく、ビックリするほど醜くて頭が痛くなる3Dの悪夢にした。 ゲームのテンポは遅く、アニメーションはのろく、ステージやボスのデザイン全てが平凡だった。 コナミはゲームと3Dメガネをセットにした。会社はゲームがひどいものであると知りながら、見かけ倒しの小技でファンをだませると結論づけたのだろうか。だとすればこれは上手くいかなかった。続編は売れず、Appaloosa Interactiveは『C: The Contra Adventure』で再び失敗した」と『Contra: Legacy of War』を失敗作の例に挙げています。 ただ、近作の『魂斗羅 Dual Spirits』『魂斗羅ReBirth』はいずれも横スクロールアクションとして評価が高いため、『魂斗羅』シリーズ自体を「死んでいた方がよかった」としてしまうのは時期尚早ではないでしょうか。 ■『ファイナルファイト』 「コーディ、ガイ、ハガー市長がプレイヤーをベルトスクロールアクションへと誘いストリートを綺麗に掃除したが、ジャンルは『ストリートファイターII』や『モータルコンバット』のような対戦格闘ゲームに取って代わられた」と流行ジャンルの変遷を回顧。 「カプコンのクリエイティブチームは明らかに『ファイナルファイト』が好きだ。 『ストリートファイターZERO』や『マッスルボマー』のような作品にキャラクターが登場したのだから。 残念ながらカプコンは米国の開発チームに仕事を渡し、彼らは自分がやるべきことに混乱したようだ。 ゲームはセガサターンをベースとした基板で動き、最愛のオリジナル版と似ても似つかないずんぐりむっくりで醜いキャラクターをもたらした。 戦闘は不細工で、『ストリートファイターEX』の特に印象的でない弟のようだ。さらに傷を広げたのは、このゲームがセガサターン最後のソフトだと言うことだ」と米国の開発チームの責任を強調しています。 ■『夢幻戦士ヴァリス』 「『夢幻戦士ヴァリス』に関して聞いたことがない?だとしても我々は驚かない。 80年代後半~90年代前半にかけてテレネットという日本の会社によって制作されたアクションゲームのシリーズで、優子という女子高生が剣と最小限度の鎧を身につけ、幻想世界ヴェカンティに転送され、奇怪な存在と戦う。 ゲームは今日のスタンダードではないが、当時は人気になった。大きな理由はアニメにルーツがあることを隠そうとしなかったためで、とても楽しく書き直されたコチラ版の箱絵を越えてのことだった」と『夢幻戦士ヴァリス』が人気となった歴史的背景を解説。 これが18禁ゲームになったというのは海外ゲーマーにとってもかなり衝撃的だった模様。 「エロゲーの世界へようこそ。 エロゲーとは日本のエロチックなゲームのことで、主にイラスト入りのテキストアドベンチャーだ。普通のアドベンチャーゲームで“西”“東”“北”“南”というのと同じくらいの頻度で声優が“入れて”という。 これが『夢幻戦士ヴァリス』に起こったことで、イーアンツは彼女らの役柄をありふれたストーリーとポルノにし、オリジナルの横スクロールアクションを色っぽいポーズと入れ替える。 そして我々は優子の鎧の下に何があったかを知ることになる。 熱いプレイを想像してよだれを垂らしていたファンでさえ、『ヴァリスX』の多様な性的冒険で裏切られた。 全く不快なシナリオは西洋の人間が“堕落したヘンタイアニメ”に持つステロタイプな偏見を形にしたようなもので、最初に予想していたものの全てが、実現されるべきでない幻想によって消された。 あなたが高校の時に好きだった女の子を覚えているだろうか。 彼女がクスリをやる金を稼ぐため、いかがわしい場所でフェティッシュなショーに出ているのを見るようなものが『ヴァリスX』だ。 最近日本テレネットの版権はサンソフトに売られたが、『ヴァリスX』が含まれていたのかどうか疑問に思っている」とその驚きを綴っています。 さて、「死んでいた方がよかったゲーム」いかがでしたでしょうか。 中にはかなり問題のあるタイトルもあるようですが、それでも再度の続編で盛り返すところを期待したいところです。
《水口真》
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