では、今回の「Mobile AR技術 Ver.2」は、以前の技術とどのような点で異なるのだろうか? 「前回は、携帯電話単体の機能としてARを適用していました。しかし今回は、ネットワーク連携によって、自宅などの幅広い環境においてもARを応用できるように改善したことが大きなポイントになります」とNTTドコモの太田学氏(移動機開発部 要素技術開発担当)は語る。
具体的な展示としては2つのデモが用意される予定だ。1つは「ブラウザ連携」という観点から、携帯電話やPC上のブラウザとAR技術を連携させるもの。架空の通販サイトにある商品を選ぶと、携帯電話にその商品情報がダウンロードされる。そして、マーカーに携帯電話をかざすと、携帯電話の画面上に商品(オブジェクト)が映し出されるという仕組みだ。単に商品が映し出されるだけでなく、マーカーと携帯電話の距離によって大きさが変わったり、携帯電話のかざし方によっては商品が現れる角度も変化するため、あたかもその場にオブジェクトが現れたかのように見える。
同社の森永康夫氏(移動機開発部 要素技術開発担当主査)は「これにより、従来の通販サイトでは判断できなかった商品のサイズや形状が、自分の部屋に居ながらにして、さまざまな角度から感覚的に確認できるようになります」と説明する。
今回のデモでは展示会場の制約上、本物の家具を設置することができない。そのためミニチュアサイズの家具類が用意され、その中でMobile ARのデモが行われる。そこではミニチュアの間取り空間にマーカーを置いて、携帯電話でかざして見ることで、架空の通販サイトで選択したテレビやピアノ、ソファなどの家具が現れる。「実際に家具を部屋のどこに置けば良いのか?」「他の家具と比べて色味やバランスがよいかどうか?」といったことなどを、現実空間に重ねて確認できるという。
もう一方のデモは「バーチャルリアリティ(VR)連携」と呼ばれる技術。具体的には、PCの中に実在の場所を模した仮想空間を用意しておき、その仮想空間を操作するツールによって、ユーザー自身が仮想空間上に各種オブジェクトを配置することができる。同時に実空間にも、それらのオブジェクトの情報がヒモづけられる。そこで、実際にその場所で携帯電話をかざすと、PC上で設定したオブジェクトが表示されるのだ。すなわち、携帯電話を媒体とし、PC上の仮想空間と現実空間のリンクを実現する技術だといえる。
「たとえばPC上で渋谷の仮想空間をつくり、ユーザーが何かオブジェクトを配置すれば、リアルな渋谷の街にそれらを反映することができるようになるでしょう」と森永氏は言う。実際のデモでは、CEATEC JAPANの会場をPC上で仮想的につくり、そこに「宝箱」や「お化け」などのオブジェクトを置く。実際の会場にて、携帯電話でそれらを探しオブジェクトをクリックすると、宝箱が開くなどのイベントが発生するという。このように仮想空間と現実空間を組み合わせたエンタテインメント性に富んだゲームや、自分だけのオリジナル観光マップなどをつくって、他のユーザーに配布することもできるだろう。
今後は、さらにネットワーク連携によって、AR技術の現実空間への利用が拡大していくだろう。いままで想像できなかった空間での遊びやビジネスにも展開され、携帯電話というデバイスが担う役割も変化してくるはずだ。
【CEATEC JAPAN 2010(Vol.13)】実空間と仮想空間をつなげる「Mobile AR技術 Ver.2」
《井上猛雄@RBBTODAY》編集部おすすめの記事
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