人生にゲームをプラスするメディア

【DEVELOPER'S TALK】音数の限界に挑戦、ハイスピードかつハイテンションなシューター+アクションの開発秘話~『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』

セガとプラチナゲームズとのタッグも4作目。『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』は稲葉敦志氏がプロデューサー、三上真司氏がディレクターとして手掛けたハイスピードかつハイテンションなシューティング・アクションです。本作の開発の舞台裏を聞きに行きました。

ゲームビジネス 開発
VANQUISH
  • VANQUISH
  • 【DEVELOPER'S TALK】音数の限界に挑戦、ハイスピードかつハイテンションなシューター+アクションの開発秘話~『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』
  • VANQUISH
  • VANQUISH(ヴァンキッシュ)
  • 【DEVELOPER'S TALK】音数の限界に挑戦、ハイスピードかつハイテンションなシューター+アクションの開発秘話~『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』
  • VANQUISH
  • VANQUISH
  • 【DEVELOPER'S TALK】音数の限界に挑戦、ハイスピードかつハイテンションなシューター+アクションの開発秘話~『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』
―――ちょっと技術的な話が続きましたが、ゲームについて聞かせてください。まず、『VANQUISH』というタイトルの由来はどこからきたんでしょう?

稲葉: もともと「V」というコードネームで呼ばれていました。ビクトリー(Victory)の「V」です。「勝利を掴むんだ」のようなノリです。それがコードネームの「V」だけ残って開発中はずっとそう呼ばれていました。なので「V」ありきで「V」の付くタイトルを考えて、シナリオのテーマや社内の外国人の意見も参考にしながら『VANQUISH』(=破る、負かす)というタイトルに落ち着きました。『VANISH』(=消滅)、というような案もありましたね。

―――ゲームの激しいイメージが伝わってくるタイトル名ですね。

稲葉: 実は開発中はもっと激しいゲームだったんです(笑)。三上さん自身、派手なアクションが好きで、かつ、ゲームのウリの部分をとても大切にする方なんです。空を飛んだり、二体に分裂したり、犬が登場したり、結構破天荒な感じだったんですが、「シューティングゲームとしてはちょっと・・・」という意見が出されたりして、三上さんからは「~は残念だけどカットするよ」という言葉をたくさん聞いた気がします(笑)。

稲葉: その中でも「ブースト」は最初から企画に入っていた要素で、ゲームの柱となる、印象的なアクションにもなりました。三上さんは、作っては壊し、作っては壊し、で磨いていく人なので、アクションの方式は途中で結構変わりました。最初の頃は近接格闘が使い放題だったのですが、でもそれじゃあ『ゴッドハンド』だよねって(笑)。

―――時間の流れをスローにできる「ARモード」はブーストと対になっているようで面白いですね

稲葉: スピードの速いアクションなのですが、ARモードを活用することでステージをクリアしやすくなると思います。『VANQUISH』はグラフィックもとても丁寧に作ってあるので、ARモードになると、ゆっくり綺麗なステージを眺められるという思わぬ副次効果もありました。

―――難易度は比較的高めかなと思いますが、カジュアルオート(※)という面白いモードもありますね

稲葉: もともとTPSに慣れていない人向けに低い難易度も必要だよね、という話はしていました。でも、カジュアルオートというのはプログラマーがお遊び的に入れた要素で、やってみたら思った以上に面白かったという。熟練者でもカジュアルオートはまた別の楽しみがあります。でも、あれに慣れるとノーマルが死ぬほど難しく感じます(笑)。

※カジュアルオート・・・初心者向けで、敵に自動的に照準を合わせてくれる機能を搭載したモード。複雑なカメラ操作が不要で、爽快なプレイを体験することができる。

丹羽氏
―――BGMのこだわりを聞かせてください

丹羽: BGMは高田雅史さん(サウンドプレステージ合同会社)と半分ずつ担当しました。苦労した最初の曲が印象に残っていますね。『VANQUISH』の方向性を決める大事な曲なのでなかなか決まらず、OKが出るまで半年近くかかりました。シンセ主体というのは高田さんにアイディアをいただきました。最初に作った曲は「第三宙港ロビー」で使われています。

―――何曲くらい収録されているのでしょうか?

丹羽: 最初に三上さんに言われたのは80曲くらいです。最終的には70数曲になっています。

―――SEが派手なので難しい面もあったのではないでしょうか?

丹羽: そうですね。三上さんからは「主役はSEで、曲はバックダンサー」だと言われていました。ただ、イケイケなゲームなのでBGMもSEも結構前面に出てきたので、整理するのが大変でした。

―――キャラクターデザインのこだわりなどは?

稲葉: 主人公のサム・ギデオンは、三上さんから、かっこいい、渋い大人をしっかり描こう、というのがあり、20代のツヤっとしたタイプじゃなくて、若い頃のクリント・イーストウッドみたいなコンセプトで描かれています。よく、海外を意識したんですか? と聞かれますが、どちらかというとゲームとのマッチングを意識した結果です。ただ、主人公のデザインもかなり時間がかかりまして、サムが着用しているボディスーツを含めると半年くらいはかかっているかもしれません。

主人公サム


■音数の限界に挑戦
《土本学》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

ゲームビジネス アクセスランキング

  1. ポケモンはここで作られる!ゲームフリーク訪問記(前編)

    ポケモンはここで作られる!ゲームフリーク訪問記(前編)

  2. 「クール・ジャパン」推進に500億円 税金でクールな文化は作れるのか?

    「クール・ジャパン」推進に500億円 税金でクールな文化は作れるのか?

  3. 【DEVELOPER'S TALK】手のひらサイズでも「ACE」級、iPhoneアプリ『ACE COMBAT Xi Skies of Incursion』開発チームのチャレンジ

    【DEVELOPER'S TALK】手のひらサイズでも「ACE」級、iPhoneアプリ『ACE COMBAT Xi Skies of Incursion』開発チームのチャレンジ

  4. 【CEDEC 2010】田中宏和氏が語るゲーム音楽、横井軍平、宮本茂

  5. NESTAGE、「wanpaku」「TVパニック」など14店舗を閉鎖

アクセスランキングをもっと見る