最初に紹介したのは、中国の開発会社Yodo1のCEOによる「The Western Games That Conquered China」です。中国市場のモバイルゲームの独自性について語られたこのセッションでは、同社のローカライズ成功事例を元にして、中国語への翻訳だけでは不十分であり、中国の文化に深く踏み込んだローカライズが求められるといった主張が行われました。
次に長谷川氏が報告を行ったのは、「Localization Microtalks: Around the World in Sixty Minutes.」というセッション。1人7分の持ち時間で次々とスピーカーが代わってトピックを紹介していくというセッションです。長谷川氏はこのなかから3つのトピックを取り上げました。
最初のトピックは『Gun N' Blade』というソーシャルRPGです。3マッチパズルを使った、いわゆる『パズル&ドラゴンズ』型のゲームです。開発は韓国、パブリッシングはイスラエルの会社が行なっており、それをアメリカやヨーロッパで展開しています。
次はラテンアメリカの市場にスポットを当てた「Why You Should Care About Latin America」です。GDPの伸び率やインターネットユーザーに占めるラテンアメリカの比率といったものを参照しながら市場が拡大していることを強調し、決済方法としては銀行引き落としが半数に迫るほどポピュラーであることが紹介されました。ウルグアイのデベロッパが手がけた『Kingdom Rush』、チリのデベロッパによる『Zeno Clash』といった知名度の高いゲームも生まれてきているので、今後のゲームシーンへの影響が大きくなっていく可能性は高いかもしれません。
「How Pretty Pet Salon Became an International Franchise」というトピックでは、冒頭で紹介した『SKI SAFARI』の事例と同様に、リリース地域に合わせたカルチャライズやマネタイズに関する事柄が語られました。これらのトピックを踏まえ、長谷川氏は「どうやってローカライズするか、どうやって国に合わせて正しくカルチャライズをしていくか、というフェーズは過ぎて、それらをどうやればビジネスに繋げられるかというフェーズに入っている」と語り、「Glocalization」が重要になってきているとまとめました。
長谷川氏は最後にこれまでとはやや毛色の異なったセッション「BBC, Cross-Media and Video Games.」を紹介しました。イギリスの放送局であるBBCがGDCを訪れたのは、テレビを取り巻く環境の変化によってビデオゲームを使ったユーザーへの訴求が必要となったというのが大きな理由です。