「女子もゲーム三昧」担当のみかめも未就学児童の頃からファミコンに親しみ、鬼畜な難易度に涙してきました。そもそも、まだ漢字が読めなかった筆者にとって取扱説明書は無意味な存在。ボタンをがちゃがちゃと押しまくって適当プレイをするか、2コントローラーのマイクにデスボイスを注ぎ込み姉のプレイの妨害をするか、まぁそんな軽いノリでプレイをしていたわけです。ですが面白いのにまったく謎が解けず強烈な印象を残したソフトがありました。ハドソンから1986年に発売された『迷宮組曲』です。
■『迷宮組曲』の思い出
『迷宮組曲』はタイトルだけ見たら音ゲーっぽいですが、内容はガチなアクションです。「かわいいパッケージだから子供に与えても大丈夫だろう」という理由で母が買ってきたのですが、やってみたらアクションは全然かわいくなかったという(笑)そして謎ときがかなり難易度が高く、プレイ当時、筆者は最初のボスまでたどり着けませんでした。
昨今のゲームみたいにチュートリアルがあるわけでもないですし、そもそも説明書見てもちんぷんかんぷんですし、まずはAボタンで何ができるか、Bボタンで何ができるかを手探りしていくわけです。「あ、シャボン玉が出た!」「敵にぶつけたら倒せた!」と、そのレベルで喜んでいました。攻略は二の次、文明に触れた原始人よろしく新たな操作方法を発見しては喜ぶというプレイスタイルを確立していた筆者ですが、本作も例にもれず、謎解きに至る前の段階で「難しい!」という判断を下し、お蔵入りしてしまったのです。大体ですねーヒントが唐突過ぎるのですよ!(笑)あ、当然ながら主人公ミロンが冒険する理由もこの年になって初めて知りました。
■VC版『迷宮組曲』をプレイ!
さて、そんな切ない思い出の詰まった『迷宮組曲』を、ファミコン生誕30周年企画に乗じてリベンジしようと思います。今回プレイしたのはWiiのバーチャルコンソール版です。
まずタイトル画面。ポップな雰囲気を推してくるかと思いきや渋いお城の一枚絵です。「ここまで登ってこい、これるものならな…」という宣戦布告にも取れます。タイトル画面の上中央には連射速度測定機能がついています。1986年といえば高橋名人全盛期・・・16連射、時代を感じますね。
「組曲」というだけあり、音楽はよく作りこまれていて耳に残ります。マップは忘れていても音楽だけはしっかり覚えていました。敵キャラはステージが進むほど強力になっていきますが、ぱっと見コミカルなデザインなので憎めません。しかしこいつら、何度でも復活するので実際のところはかなり厄介です。
マップは城外、城内の2種類あり、城外から部屋を選択します。主人公ミロンはバブルを撃って敵を攻撃したり壁を破壊したりして謎を解いていきます。ライフがなくなったらゲームオーバー。ライフのメモリが増える「ハニカム」やバリアを張ることができる「ハチ助」などのアイテムはハドソンらしいアイテムですね。
■基本的な操作を覚えよう
何の知識もないままプレイしても子どもの頃と同じになってしまうので、VC版の説明書やファンサイトの情報を元にゲームの仕組みをおさらいしました。
・バブルで敵を攻撃する
・壊せる壁がある
・楽器を探す
・隠れたショップがある
・金貨を集めてショップでアイテムを購入しながら進める
・パラソルやハチ助やハニカムといった強化アイテムがある
また、取扱説明書にはある一定の条件を満たせばコンテニューも可能との事。調べてみたところ、1面のボスを倒した時に水晶を入手すればタイトル画面で十字ボタン左+スタートボタンでコンティニューが可能になるそうです。そんな裏技があったなんて!いや、当時はボスすら倒せなかったので知ってても意味なかったですけどね(笑)
■1階を越るために…!
各アイテムの効果を理解したうえでまずは1面クリアを目標にプレイ!小さくなる薬やジャンプ力が増強されるシューズなど、当時はまったく理解できなかったアイテムを使ってフロアを踏破。初プレイよりン十年。ようやく迷宮組曲のアクションをちゃんと理解しました。
次はボス撃破のためにミロンを武装します。ハニカム、ハチ助は必ず手に入れたいところ。しかし、ミロンの見ている方向に飛んでいくハチ助の入手にかなり手間どってしまい、むしろライフが減るという残念な結果に…功をあせらずボス戦までアイテムを温存しておくのも戦略。なんとか強化が完了。いざ、ボスの部屋へ。1階のボスだし簡単に倒せるはず!
しかしまさかの撃沈!水晶を手に入れる前なのでまた1からやり直しです。ここで筆者は気が付いてしまいました。これはもう知識ではフォローできる部分じゃない、ゲームのウマいヘタの問題だと…。
■未踏の地へ!
もはややりこむ以外の方法がなくなり、何度目かのトライでようやくボスを撃破しました。いざ、筆者史上初となる2階へ。
…おお、ここが2階か!ここが勝者のみが見ることのできる世界か!!(たかが2階に登っただけでこの感動)
感慨に浸るまもなく次の部屋へ。先ほどのボス戦でライフは限りなく0に近く、部屋に入ったとたんに敵に当たってゲームオーバーとなりました。
ここで裏技コンティニューです!いつもと違う効果音が流れ、最後に入った部屋からスタートです。各部屋ごとに特色のある仕掛けが用意され、難易度がぐっとあがった印象。でも大丈夫!コンティニューがあれば何度でもチャレンジできる!そう高をくくり、部屋を2つ制圧。調子にのって井戸に踏み込んでみました。
■トラウマ製造プレイス、井戸
井戸といえばホラー要素として欠かせないもの。小野篁が閻魔様に会いに行ったりお菊さんが皿の枚数を数えてみたり貞子が這い出てきたりリーデットが待ち構えていたり、そりゃあもう稀に見るトラウマ製造プレイスなわけです。しかしメルヘンファンタジーな本作ではそんなことあるまい!なんて思っていた頃が筆者にもありました。目玉の敵に襲われたり、足場が崩れたり、炎の足場にライフをガンガン削られたりしてあっという間にゲームオーバーになってしまいました。これは初見殺しだ…しかし井戸のステージは筆者にとって別の意味でトラウマを植え付けるものとなったのです…。
■まさかの…コンティニュー失敗!
タイトル画面に戻され、茫然自失状態となった筆者。井戸、やはり侮れん…。だがここで躊躇しては躍進は叶うまい。再チャレンジするため、例の裏技を使ってコンテニューです。
チャララッチャチャラララララララ~
あれ、この音、通常スタート時の効果音ですよね?
どうやらボタンをうまく押せていなかったらしく、TV画面には見慣れた1階の景色が…。まさかのコマンド入力ミス。うそだろ、これ、現実なんだぜ…
■あくなき挑戦をし続けること
はい、再びコンティニューできるようにするため、頑張りました。頑張りましたが、集中力の限界でした。あんなに簡単に倒せた1階のボスが倒せない…もうボスに挑むまでの工程は「プロか」と自賛したくなるほど鮮やかなのに、ボスが倒せない。しかし原稿のタイムリミットが迫っている…
よし、これは少し時間を置こう。そうすればいつか一筋の光明が見え、限界のその先へ行けるはず。というわけで、今回のリベンジはここで終了と相成りました。
ジョージ・マロリーも言っていた。なぜエベレストを目指すのか?そこに山があるからだと。そう、そこにゲームがあるかぎり、我々は挑戦しつづけなければならないのです!かつてガーランド城を前に屍を晒したゲーマーのみなさん、今こそ『迷宮組曲』をプレイし、子どもの頃のリベンジをしてみてはいかがでしょう。(ちなみに筆者の連射最高記録は76回でした。す、少ない…!)

■著者紹介
みかめゆきよみ
ゲーム好き、日本史好きの漫画家兼フリーライター。
ゲームはジャンル問わずなんでもござれ。難しければ難しいほど燃えるドMゲーマーです。
歴史・ホラー漫画、歴史コラム、イラストなど雑多に活動しています。
サイト「車輪の真上」
http://zwei.lomo.jp/syarin/
(C) Konami Digital Esntertainment