北米がアメリカとカナダしかないのに対して、中南米は全23カ国にまたがり、約6億人の人口を数える巨大市場です。大きな特徴は北米が英語&フランス語(カナダのケベック州のみ)圏であるのに対して、中南米はスペイン語&ポルトガル語(ブラジルのみ)圏であるということ。文化的にもかつての宗主国だったヨーロッパ圏と、戦後影響を強めたアメリカとのミックスカルチャーとなっています。
もっとも、国ごとに細かく掘り下げていくと、かなり事情が異なります。ルナ氏はブラジル・メキシコ・コロンビア・アルゼンチン・ウルグアイ・ペルー・チリという、主要7カ国の現状を示しながら解説しました(図1)。なお「モバイル消費額」とは、各国のiOS、Google Storeでのアプリ消費額の推定値。また、幾つかの項目は統計が存在せず、数値についても推定値が多い点についてはご了承くださいとのことです。
目をひくのはブラジルとメキシコの突出ぶりで、人口的にも経済的にも群を抜いています。ブラジルはゲーム会社が一番多く、モバイル消費額も群を抜いています。メキシコはスマホの浸透率が最大です。ルナ氏は両国ともコンソールゲームの市場が確立しており、ブラジルでは2013年10月に中南米で初となるブラジルゲームショウも開催。一方メキシコはアメリカに近く、スペイン語圏で最大の人口を誇ることから、中南米市場向けのローカライズ拠点にもなっています。
ユニークなのはチリで、人口もGNPも7カ国中最低ですが、一人当たりのGDPでは1位で、ラテンアメリカで最も政情が安定しています。アルゼンチンも人口的には4位ですが、一人当たりのGNPが2位と格差が少ないのが特徴。ペルーとコロンビアにはIGDAの各チャプターがあるだけですが、他の国々にはコンタクトの窓口となる政府機関や業界団体があることにも驚かされます。中でもIGDAチリも兼ねるVG Chilleは国策としてゲーム産業の育成を推進中です。
スマホゲームではすでにオリジナルのヒット作も出始めています。中でもブラジルの『Kights of Pen and Paper』はIGFのスチューデントアワードを取った学生作品がベースで、アメリカをはじめ海外でヒット。第二、第三の『フラッピーバード』が中南米から登場する日も近そうです。
続いてルナ氏は中南米諸国における共通の課題として「クレジットカードの浸透率が低い」「モバイルゲームを伝えるメディアがない」「モバイルゲームに関するビジネスの知見に乏しい」点を上げました。特にメディアについてはコンソールのAAAゲームを扱うゲーム雑誌などはあっても、モバイルゲームについては存在せず、多くのゲームがランキングに埋もれてしまうとのことです。またマーケティングやプロモーションなどの知見や、周辺業者なども少なく、海外企業が求められていると話しました。
他に注目ポイントとして、モバイル向けのゲーム市場が今後3年で400%に拡大すると推測されること。またコンソールゲーム開発でも、過去2年間で産業が300%にも拡大し、開発終了タイトルも倍増したそうです。
もっともモバイル消費額が最大のブラジルでも7800万ドル(約75億円)とまだまだ小さく、市場としての旨味は乏しそうですが、成長曲線には驚かされます。一方で中南米産ゲームの買い付けという点では、すでに大きな可能性を秘めているように感じられます。
質疑応答では出席者からさまざまな質問が行われました。筆者も日本コンテンツの親和性について質問したところ、特にメキシコでは「ワンピース」をはじめ日本のコンテンツが大ヒットしている一方で、正規タイトルの販売が少ないと回答がありました。特に初音ミクが若年層でスーパークールとなっており、ぜひゲームをリリースして欲しいとのことです。もっとも、新興諸国への進出はタイミングやパートナー選定が重要。各社ごとに最適解は異なりますが、常にアンテナを伸ばしておく必要がありそうです。
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