そのコンセプトとは「お母さんの敵にならない」ことです。これはかねてより岩田聡社長が何度も口にしている言葉で、Wii Uのゲームパッドもこのコンセプトを元に誕生したといえます。では、なぜSuicaによる決済も「お母さんの敵にならない」ためのものなのかといいますと、それはSuica決済が「クレジットカードによる決済に準ずるくらいにお手軽なのに、クレジットカードより安全さで圧倒的に勝る」からです。
フィーチャーフォンやスマートフォン、携帯ゲーム機に据え置きゲーム機……今は右を見ても左を見てもオンライン要素を持つゲームが見られ、それらに関する料金・代金をクレジットカードで電子決済することは当たり前の光景になりました。そしてそれに伴い、子供がゲームやりたさに親のクレジットカードを使い込んでしまうトラブルも急増。国民生活センターは今も注意喚起を続けています。
ゲーム業界もなにもしていないわけではありません。たとえばグリーは登録した年齢に応じて月ごとの利用料金に上限を設けていますし、家庭用ゲーム機にも携帯電話同様のペアレンタルコントロール機能が備えられています。ところが肝心の親御さんたちがそうした時代の流れについてこられず、子供にクレジットカードそのものを渡してしまったり、子供の目に入る範囲にペアレンタルコントロールの暗証番号が分かるようにしてしまったり……。結局のところ、トラブルはなかなか減りません。
そんな中実装されたのが、このSuicaによる決済です。Suicaをタッチするだけで済むならプリペイドカードを購入していちいちコードを入力するよりもはるかにお手軽でありながら、親の想定を超えた金額が勝手に使われることはありません。「親が子供に安心して渡すことができる、簡易クレジットカード」――7月22日以降、Suicaにはそんな役割が生まれます。
さらに任天堂はタイミングを同じくしてニンテンドーeショップのセールと、8月31日までの期間限定で遊べるWii U用ダウンロードソフト『ブタメダル』の配信という2つのキャンペーンを打ち出してきました。Suica決済を試すいい機会というわけですね。『ブタメダル』はソフトを通して残高をチャージすることでゲームを遊ぶためのコインを+αでもらえるのが特徴のダウンロード専用ソフト。「チャージすることそのものがゲームの一部」であるという風変わりな仕様になっています。3DSのダウンロード専用ソフト『だるめしスポーツ店』でも課金すること自体がゲームプレイに落とし込まれていましたが、それと同様の遊び心が感じられます。
余談ですが、『ブタメダル』を遊ぶためのコインは従来のクレジットカードやプリペイドカードによるチャージでも問題なくもらえる仕様になっています。無理にSuicaを試さずともよい、という配慮がうれしいですね。
そして2015年には3DS用のNFCリーダー/ライターの発売が予定されており、これにより3DSでもSuicaでの決済ができるようになる可能性があります。プリペイドカードよりはお手軽で、クレジットカードよりも安全で……そんなSuica決済が浸透すれば、ゲーム好きなお子さんを持つ親御さんとって、電子決済がより安全で身近なものになるかもしれませんね。
(C) 2014 Nintendo
(C) 2013 Nintendo
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