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E3で語られなかったゲーム業界の新しいトレンド【オールゲームニッポン 第22回】

ゲームクリエイターで角川ゲームス代表の安田善巳氏と、ゲームアナリストの平林久和氏によるトーク番組「オールゲームニッポン」。第22回はE3の話題です。

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E3で語られなかったゲーム業界の新しいトレンド【オールゲームニッポン 第22回】
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変化を予感させるもの



平林
 
アメリカ的、日本的……の話題になりましたが、ヨーロッパ──北欧スウェーデンからすごいゲームが出ました。私は去年の『スプラトゥーン』に匹敵するほどに輝いて見えたのが『Unravel』でした。

安田
 
EAが発表した毛糸のキャラクターのゲームですね。あれはかなり日本人好みのするゲームで、現地でも注目されていました。


スウェーデンで作られる美しい毛糸アクション『Unravel』 EAから日本発売予定もあり

平林
 
調べてみましたら、Coldwood Interactiveという小さなスタジオが開発したそうです。

安田
 
いわゆるインディーズゲームですね。プラットフォームホルダーがインディーズゲームを発表するのは、「こういう企業を育成したい」という、ある種のコンセプト展示の意味も含まれます。ですが、EAという巨大パブリッシャーが発表するとリアルな利益を追求していることになります。こういう形で真正面から無名な開発者、タイトルにスポットライトが浴びるようになったのは、今年のE3のビッグニュースだと思います。

平林
 
EAはElectronic Artsの略ですね。この企業名には深い意味があって。ゲームとは「電子の芸術である」というのがEA創業時のコンセプトです。ゲームは芸術であると世の中にアピールするために、商品パッケージに作者の名前を記載するなんてことを30年以上まえに取り組んだのがEAという会社でもあります。近年のEAは、それこそスポーツゲームを中心にマーケットオリエンテッドなゲームを量産してきましたが、一転して無名のゲームに目をつけました。私は、これぞEAの原点だ! と思いまして、『Unravel』には大注目しています。

安田
 
『Unravel』以外にもインディーズゲームが元気だった今年のE3ですが、これってSteam(スチーム)の影響もあるんじゃないですかね。

平林
 
Steamですか?

安田
 
聞くところによると、Steamのユーザーは増え続けていて今ではアクティブユーザー数が1億人に達したそうです。

平林
 
Steamが活発になったことによってインディーズのゲームデベロッパーが育ってきている、ということですか?

安田
 
そうです。モバイルゲームの影響で、高額なパッケージソフトからフリートゥプレイへと一気にシフトしましたが、じつは安価にソフトを提供することによって生まれる市場もあるはずで。この市場をSteamはうまく開拓したと思うんです。新しい商機が生まれたので、新しい企業が育ってきているのかもしれません。角川ゲームスも『キラーイズデッド』をSteamで展開していますが、ロシアや中南米で売上を伸ばしています。パッケージが流通しにくい地域をSteamがうまく補完してくれています。


※大きな市場となっているSteam

平林
 
ロシアに中南米……ですか。

安田
 
もう少し内幕をお話しますと、「ツクールシリーズ」ですね。あのシリーズはかなりニッチなマーケットで支えられてきましたけれど、Steamで約60万本もダウンロードされています。この数の多さは僕自身も驚くほどです。

平林
 
E3 2015から透けて見える世界の新潮流はSteamかもしれない。意外な展開でしたが、確かにSteamは静かに世界のゲーム地図を塗り替えているのかもしれません。


(次回配信は7月31日予定です)


■パーソナリティの紹介


安田善巳 (やすだ よしみ)
角川ゲームス代表取締役社長、フロム・ソフトウェア代表取締役会長。日本興業銀行、テクモを経て、2009年に角川ゲームスの設立に参画。経営者でありながら、現役のゲームプロデューサーとして『ロリポップチェーンソー』『デモンゲイズ』などを手掛け、現在は『Projectcode -堕 天-』『Projectcode -月 読-』の開発に取り組む。



平林久和(ひらばやし ひさかず)
インターラクト代表取締役社長。ゲーム黎明期の頃から専門誌編集者として従事。日本で唯一のゲームアナリストとしてゲーム評論、ゲーム産業分析、商品企画などの多方面で活躍してきた。著書に『ゲームの時事問題』『ゲームの大學』(共著)など。「今のゲームを知るためには、まず日本を知ることから」が最近の持論。
《平林久和》
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