
――次に、春からのサービスインを予定しているPS4版ですが、まずは2月にクローズドβテストを行いますよね。こちらでは、どこまでプレイできるのですか?
中村氏:クラスに関してはすべてを体験することができます。ただし、実施期間が短めということもあって、レベルはカンストしやすい程度に抑えてあります。フィールドも、最初のうちの幾つかをピックアップして実装しています。また、PS4版ではグラフィックを改善していますので、今までPC版を遊んでいた方でも、違った印象を受けると思います。
――東京ゲームショウなどにも出展していましたが、当時のバージョンと比べてみてもブラッシュアップはされているのですか?
中村氏:ゲームショウに出展した体験版は初期のものであり、グラフィックも調整前のものでした。なので、会場で体験した方も、今回のβテストに参加してもらえれば、さらにきれいになっていることを感じていただけると思います。

酒井:『PSO2』ではキャラクターの美しさを大事にして、影をキャラクターには今まであえて落としていなかったのですが、今回よりリアルに見せたいと言う事で、TGS以降に影を落とすことにしました。それでもできるだけきれいに見せたい、ということでかなり調整を行っています。その甲斐あって、大きく見た目が変わったと感じていただけると思います。
――PS4版から新たに始めるプレイヤーも多いかと思うので、どんな点に気をつければいいか、アドバイスがあればお願いします。
中村氏:PS4版『PSO2』はコントローラーだけで遊ぶことができますが、もし余っているUSBキーボードがあれば、繋ぐことでチャットなどのコミュニケーションが楽になるので、便利かと思います。しかし、何よりもまずは気軽に触れて欲しいというのが本心です。基本プレイ無料で、誰でも軽い気持ちで始められるのが魅力ですし、ゲーム開始時はほかにも初心者が多く集まる場所からスタートしますので、初心者であることを気にせずに楽しんで欲しいですね。

――そういえば、PS4版はPS Plusに加入していなくてもプレイできることも話題になっていました。
中村氏:『PSO2』は基本プレイ無料タイトルですので、PS4版でも同様にプレイできることを立案時から重視していました。また、少しでも多くの方に『PSO2』をプレイして頂きたかったので、本来PS4でオンラインマルチプレイを楽しむために必要なPS Plusへの加入を、不要とさせて頂きました。ただ、PS Plusに加入されている方には、ゲーム内で使えるアイテムを毎月配布させて頂き、損にはならない形にしたいと思っています。
――ちなみに、PS4版でもPCやPS Vita版と同じく、「EPISODE4」から始めることができるのですか?
中村氏:はい、PS4版でも常に最新のアップデートが反映される形になります。セーブデータに関してもPCやPS Vitaと共有できるので、今まで育ててきたキャラクターを、いきなりPS4で使うことも可能です。
――PS4だと、シェア機能など独自のシステムも存在しますが、これらも問題なく使えるのですか?
中村氏:はい、シェア機能でスクリーンショットやプレイ動画を撮影して共有することはもちろん、PS Vitaのリモートプレイも、他のゲームと同様に問題なく楽しめます。加えて、PS4のコントローラーにあるタッチパッドをボタンのひとつとして使用するように調整しており、すべてがコントローラーのみで完結できるようになっています。また、PS4版の配信に合わせて、従来よりも操作しやすいコントローラー用操作モードも準備できるよう検討しています。
有料アイテムのラインナップもPC版とまったく同じ内容になっています。さらにPS StoreでシームレスにAC(有料ポイント)の購入が可能なのも、以前から遊んでいた方には楽に感じられる部分かもしれません。

――PS4版と合わせて、忘れてはいけないのが、放送がスタートしたばかりのテレビアニメです。放送が始まった現在の心境はいかがですか?
酒井氏:ついに始まってしまったな…と言う感じです(笑)。1年以上前から企画が始まり、シナリオや設定周りの打ち合わせを何回も重ねてきて、ようやく形になったので感慨深いです。反面、すべてが出来上がっているわけではないので、まだまだ気は抜けませんね。
――Twitterのハッシュタグなどで、視聴者の声をチェックしていたりするのですか?
酒井氏:やっていますよ。見ていると、「思っていたより面白い」という意見もあって、どれだけハードルが低かったんだと心の中でツッコミを入れたりもしていました(笑)。あとは、第1話だと日常パートがメインだったこともあり、『PSO2』のストーリーを再現すると思っていた方の中には「こういう見せ方なのか」と驚いている方も多かった印象です。
私たちとしては、『PSO2』の物語をそのままアニメ化するつもりは最初からなくて、オンラインゲームの楽しさをアニメを通して伝えたいと考えており、1話はそれが色濃く出ていました。キャラクターが出そろう4話くらいまで見ていただけるとさらに面白さや我々の狙いがわかっていただけるようになって、きっと最後まで見続けることになると思います。実際1話の段階で効果が出ていて、ここ最近の平均の新規登録の数倍の人数が毎日登録してくださっています。

――意外性もあって、強烈な印象を残せたと思います。
酒井氏:だといいですね(笑)。しかし、日常パートだけで終わる作品ではありません。実は、アニメのシナリオは「EPISODE4」のストーリーとも密接に関わっていて、コラボなどではなく、それぞれが連動するまったく同じコンテンツとして制作しているのです。
――ストーリーの構造について、もう少し詳しく聞かせてもらってもいいですか?
酒井氏:まず年代でいうと、アニメは2027年で、ゲームに登場する地球は2028年という設定で同じ地球の上でのお話になります。そして、アニメの中でプレイされている『PSO2』というゲームと、私たちが開発し、今プレイヤーの皆さんがプレイしている『PSO2』というゲームとは、似て非なるものなんです。少しややこしいですが、そこを理解してもらえると、世界観も分かってくるかと思います。

この後どういう形で「EPISODE4」と関わってくるのかは、だんだんと分かるはずです。後半は、序盤にあった「オンラインゲームあるある」のノリとはかなり違ったものになりますよ。
――今後はアクションシーンメインのエピソードも出てくると。
酒井氏:もちろんです。逆に、アクションがまったくない回もありますよ(笑)。例えばオフラインイベントに行ってみる回だったり、とにかくバーチャルな世界だけでなく、リアルも含めてオンラインゲームにまつわるイベントを多数盛り込んでいます。そういうところが『PSO2』らしい、と言えるかもしれません。このあたりは、他のゲーム原作のアニメとは違うところだと思いますし、プレイしている方からすれば、ツッコミどころがかなり多いと思います。
――あと、エンディングのダンスも衝撃的でした(笑)。
酒井氏:そこも視聴者からはツッコまれていたみたいですね。エンディングで踊るアニメは名作らしいので、入れてみました(笑)。
濱﨑氏:今後もイベントで踊る機会があるかもしれないので、その練習という意味でも見てもらいたいですね(笑)。

中村氏:ワイプでSOROが踊っているのも、いきなり見た人からすれば驚きですよね。
酒井氏:画面ではラッピーが踊っているけど、頭身が低いからどんな動きをしているのか分かりにくいじゃないですか。それを演出家の方と話していたら、いつの間にか追加されていたんです。
――みなさんだけでなく、アニメのスタッフのアイディアも取り入れているのですね。
酒井氏:バトルシーンの絵コンテは、副監督の方が担当しているのですが、その方がかなりヘビーなアークスなんです。だから戦闘に関しては本当に愛が込められていると感じますね。アクションシーンの再現度というか、アイディアの膨らませ方はプレイヤーでも充分に納得できるクオリティになっています。
濱﨑氏:作中で使用するPA(フォトンアーツ)も、しっかり状況と合わせてあるんですよ。PAを使うタイミングもガチで、私たちとしてはそこも楽しみながら見ています。

――そうなると、プレイヤーは細部までしっかりチェックしたほうがよさそうですね。
酒井氏:セガマニアがスタッフにいるのか、小ネタがいつの間にか入れられているんです。お風呂のお湯の噴き出し口がアレックスキッドになっていたり、寮にソニックがいたり…今の若い人にどこまで伝わるのか心配になるくらいです。
中村氏:第2話にある清雅学園の説明は、細かすぎて伝わらないレベルですね(笑)。あと、実は本編では出てこないのですが、校舎を上から見るとSの形になっていて、体育館はGなんだそうです。私たちが要望を出したわけでもないのに、いつの間にかそうなっていたので驚いています。
――今後の展開として、ゲームとアニメが連動する企画は考えているのですか?
酒井氏:まずはアニメのBlu-ray、DVD全巻に、ゲーム内で使用できるアイテムコードが付きます。こちらはアニメで登場したコスチュームなどを再現したものになります。
――そういえば、Blu-ray、DVDにはイベント参加券も付属しますよね。
酒井氏:蒼井君(蒼井翔太さん)のほかに、島崎信長さんと佐藤拓也さん出演しますね。島崎さんが演じる親友のコウタや、佐藤さんのマサヤもすごく面白いキャラクターで、物語が進めばこちらも人気が出るのではないかと思います。どれも個性的なキャラなので、イベントも盛り上がることを期待しています。
――昨年末には先行上映会を実施して、多くの女性ファンが駆けつけていました。やはり女性層は強く意識していたのですか?
酒井氏:蒼井君は女性からの人気が非常に高いですし、私たちも蒼井君の良さを最大限に活かしたアニメにしようと考えていました。『PSO2』はまだまだ女性ユーザーには知られていないですが、現役アークスの皆さんに聞くと、オシャレを楽しむ部分などは女性だからこそ楽しい、とおっしゃいます。そう言う部分も知っていただくため、きっかけは何でも『PSO2』と言うものに接する入り口としてアニメが機能してくれれば嬉しいですね。
――分かりました。最後に2016年の意気込みや目標などを、一言ずつお願いします。
陳氏:『PSO2es』に関しては昨年も新しいストーリーを追加しましたが、2016年も引き続き、ユーザーのみなさんが新体験をできるよう、新しい展開を引き続き見せていけるようアップデートをしていきます。また、『PSO2』の「EPISODE4」との連動もしっかりお届けして、楽しんでいただけるコンテンツにしていきたいです。
濱﨑氏:「EPISODE4」のコンセプトは新体験であり、スタート直後から多くの楽しさを提供していきます。しかし、それで終わりではなく、定期的に新しい体験を提供できるようにしていきます。新しいユーザーさんはもちろん、一度やめてしまった方にももう一度触れてもらいたいですね。
中村氏:これから新しく『PSO2』を始める方に対しては、バトル要素以外にもさまざまなことができると感じられるようなコンテンツを用意していきたいです。また、これまでもプレイして頂いている方には、今までの『PSO2』になかった、まったく新しい一面を見せられればと思います。
酒井氏:今回新惑星として地球を実装するのは、『PSO2』でしかできないチャレンジだと思ったからです。オンラインゲームはたくさんありますが、ここまでぶっ飛んだことは、なかなかできないと思います。こうしたぶっ飛んだ部分も含めて、これからもオンリーワンの進化をし続ける、楽しい作品になっていきます。また、「EPISODE4」はこれまでとはまるで違う世界観になるので、『PSO2』初心者の方でもすぐに入り込めるはずです。ぜひこのタイミングで始めてもらえると嬉しいですね。
――ありがとうございました。