──そして今回、『MELTY BLOOD』の現状の最新版『Actress Again Current Code』のPC配信版がアークシステムワークスさんよりSteamでリリースになりますね。これはどういった経緯でリリースされることになったのでしょうか?
なりた:今アークさんにいる山中さん(『ギルティギア』シリーズディレクター)と僕が以前から知り合いだったんですね。その後、山中さんと連絡を取らない時期があったんですが、再会した時に山中さんが「今僕アークにいるんですよ」って話を聞いて、そこからですね。山中さんからは「もし何かあればウチからリリースさせてください」って話もあったんですが、その時は「何言っているんですか、ライバルじゃないですか!」みたいな返しをしつつ(笑)
一同 (笑)

なりた:で、山中さんの紹介でアークさんと交流が出来まして、最初はPS3版『UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late』のリリースをして頂きました。その時にアークさんの方から「今後はSteamのタイトルを充実させていきたいと思っているんです」っていうお話を聞きまして、やはり時代はSteamか!って思いまして。
──そこで『MELTY BLOOD』のSteam版の話が!
なりた:そうですね。丁度PC版『Actress Again Current Code』が『カーニバル・ファンタズム』のブルーレイ3巻の特典版でしか出てなくて、ゲームだけ再販するにしてもどうやって出そうか……と悩んでいたんですよ。またディスクをプレスしてパッケージで出すのもなぁって思ってた時にSteamっていう時代の波がきたので、このビッグウェーブに乗るしかないだろう!と(笑)
──お互いの思惑が一致してアークさんからリリースするに至ったわけですね。
島田:そうですね。Steamって海外市場がメインなので海外のユーザーさんがすごく多いんですね。そしてTYPE-MOONさんの作品や『MELTY BLOOD』シリーズっていうのは世界規模でユーザーさんが存在しているんです。『カーニバル・ファンタズム』の特典版もどういうルートなのかわかりませんが海外の方が入手をして、プレイされているっていう事例がすごく多かったんです。で、そういった海外の方たちのSNS等の投稿を見るとシナリオを英語で読みたいっていう希望がすごく多かったんですね。それで、フランスパンさんが再販について悩んでいるっていうお話があった時に、Steam市場に向けて英語版を作って海外の方にも楽しんで頂こうっていうことを思いつきまして。
──Steam版は海外ユーザーさんの存在がきっかけだったとは!
島田:それに『カーニバル・ファンタズム』の特典版ってバージョンアップでネットワーク対戦ができるようになっていたんですけど、現在はサーバーの運営が終了になっているんです。そうした状況にあって国内のユーザーさんからはネットワーク対戦をすごくやりたいって声があったんです。でもSteamならSteamのサーバーがありますので、そこでランクマッチやプレイヤーマッチができる。ですので、Steam版はフル英語化とネットワーク対戦っていう、2つの要因が大きかったですね。弊社としても強みの部分ですので、ぜひ実装しようと思っていました。

なりた:弊社としても海外ユーザーさんの声は聞こえてきていまして、求められているのはわかっていたんですよ。とは言っても海外版をどうやって作ればいいかわからないっていう状態でしたし、全く先に進めない地だったんですよね。でもアークさんからは「そこはウチがなんとかしますから」って言って頂いて。
鴨音:今回、新たにバランス調整とかも特にしてないんですよ。アーケード版も稼動していますし、同じものをPC版で対戦を楽しんでもらうっていうスタンスなので。移植に関しては『カーニバル・ファンタズム』の特典版が元々PC版だったこともあって、こちらはデータをアークさんにお渡しするくらいでしたね。Steamへの対応やローカライズ作業などは全てアークさんでやって頂けました。
なりた:あと、先ほど移植の度に新キャラが追加にって話がありましたが、それがここで途絶えてしまっていいのかっていう意見も社内であったんですよ。じゃぁ追加キャラを、みたいな話が出たんですが……さすがにそこは僕が全力で止めました(笑)。
一同 (爆笑)