中学卒業を控えた住む場所も通う学校も違う5人。それぞれ悩みやコンプレックスを抱えながら、卒業式を迎えようとしていた。そして突然繋がり始める、5人の運命の糸ーー。
東映アニメーション60周年記念作品、劇場アニメ『ポッピンQ』は、悩みや、胸の高鳴りの中で出会った5人の少女たちが絆を紡ぐ青春物語だ。「プリキュア」シリーズでダンス映像などを手がけてきた宮原直樹が本作で監督デビュー、瑞々しい演出と、60年に及ぶ東映アニメーションの蓄積された技術が期待され大注目となっている。キャラクター原案をTVアニメ『世界征服~謀略のズヴィズダー~』の黒星紅白が務める。
その個性的なキャラクター5人を演じるのは瀬戸麻沙美(小湊伊純役)、井澤詩織(日岡蒼役)、種崎敦美(友立小夏役)、小澤亜李(大道あさひ役)、黒沢ともよ(都久井沙紀役)。公式Youtubeチャンネルではこの5人によるコメント動画も公開されている。
本作の公開は2017年1月とのことで、現在鋭意制作中ではあるが、先日アフレコ収録が一足先に終了。アフレコ直後にメインキャスト5人に話をうかがった。
[取材・構成:細川洋平]
『ポッピンQ』
2017年1月公開
http://www.popin-q.com/
ー5人はそれぞれ個性的なキャラクターですが、ご自身が担当する役柄の印象を教えてください。
瀬戸麻沙美(以下、瀬戸)
伊純ちゃんは明るくまっすぐで社交性があって、初めて会った子とも明るく話す子です。ただ少し頑固なところもあって時としてぶつかってしまうんです。
井澤詩織(以下、井澤)
蒼ちゃんは正義感が強すぎたり自分にも厳しかったりするので少し孤立している、クラスに一人はいるよね、というクールな女の子です。
種崎敦美(以下、種崎)
私の演じた小夏ちゃんは常に笑顔で場の空気を和ませてくれるピアノが得意なムードメーカーで、不安なことがあると髪をいじっちゃうような、とても女の子らしい子です。
小澤亜李(以下、小澤)
あさひは人の考えていることが気になってなかなか自分の気持ちを表に出せないことに悩みながら、自分のやりたいことに思いを募らせている女の子です。
黒沢ともよ(以下、黒沢)
沙紀ちゃんはダンスが得意なんですけど、過去にそのことで心にキズを負ってます。いろいろなことに臆病になってしまっている女の子です。
ー3月に一度メインキャスト、スタッフが集まって読み合わせがあったとAnimeJapan 2016で話していました。読み合わせはアフレコにどう活かされましたか?
瀬戸
読み合わせがあってホントによかったよね。オリジナル作品だし劇場版ということで「よーい、ドン!」がアフレコ現場だったら、自分の中に役をすり込む時間がもっと掛かってたね。
井澤
うんうん。
瀬戸
1回みんなで会って「こういう声、お芝居なんだ」と分かった時に、完成したアフレコ台本を読みながらみんなのお芝居が聞こえて来る感じもして、一人でのリハーサルもやりやすかったです。
黒沢
私も一緒!
瀬戸
私が演じる伊純は土佐弁を話す子なので、読み合わせからアフレコ当日までは方言を馴染ませるための期間にもなりました。
小澤
読み合わせがあったことで自分と監督さんの間でのイメージのすり合わせができたんですよね。だからアフレコもリラックスした状態で迎えられました。
井澤
不安が少なかったね、ホントに。
種崎
本番前に練習用の事前VTRというのをもらうんですけど、読み合わせをしたおかげでストーリーも絵もすんなり体に入ってきて、こういうことは初めてでした。
瀬戸
よりよくして本番の収録に臨めて、本当に不安なくという言葉通りでした。
黒沢
事前に監督にお会いできてみなさんにも会えて、資料も豊富にいただけたので、キャラクターのバックグラウンドとか性格から役を作ることが出来たかなって思っています。
ーアフレコ本番は演技も固まった状態で臨んだのでしょうか。
種崎
全員が揃ったことで、そこで影響を受けてキャラクターが出来た気がします。
黒沢
この4人以外にも絡みのあった諸先輩の方々に大きく影響を受けてがんばれました。それも読み合わせで役作りが進められたからだったと実感しました。
瀬戸
スムーズでしたね。
ーアフレコで苦労した部分はありましたか? 瀬戸さんは土佐弁の準備もあったとのことですが。
瀬戸
やったという感じで、苦労と言うより楽しかったです。
ー具体的にはどのような準備だったのでしょうか。
瀬戸
方言指導の方についていただいて、読み合わせやアフレコとは別に何回か集まりました。最初に、現地の同い年くらいの女性が話す土佐弁のセリフ部分を全て録音したCDをいただいた後、CDを元に私が話す土佐弁を方言指導の方に修正してもらうんです。次に修正していただいたセリフをCDに録音して「完成した方言」として私とスタッフさんで共有しました。伊純の部活の後輩役の子も方言があって、二人で不安がったりしましたが、本番でも方言指導の先生に確認を取りながら丁寧に作り上げることができて、今はホッとしております(笑)。
ー印象に残っている土佐弁のセリフはありますか?
小澤
「使えゆ」が好きだった。
瀬戸
そうそう、「定期(券)使えゆ」っていう方言があって、私は必死に喋っていたのですが、収録後にそれがまわりからかわいいって言われましたね(笑)。
井澤
かわいい。萌える。
ー5人のキャラクターはそれぞれ悩みやコンプレックスを抱えていますが、「このコンプレックスは共感するな」と思えるものがあれば教えてください。
井澤
私は蒼と性格が似てるなと思うところがあります。変な正義感を持ち合わせているせいで羽目を外しにくいとか。私は学生時代に学級委員長をやっていたので、校則は守らなきゃ、みたいな。蒼みたいに勉強ができるタイプではないんですけど、イタズラとかできなくて、楽しそうに遊んでる子たちに嫉妬心とか憧れを抱いていた思い出がありますね。
小澤
私も演じているあさひちゃんと共通点が多いです。「女の子らしさ」に憧れて、スカートを初めて買ってみたり髪を結ってみたのもちょうど中学生になってからでした。周りにどう見られているか気になって自分を出せない、ところもすごく分かるんです。
種崎
今、この仕事をしていて小夏ちゃんと同じことで悩んだって思いました。仕事、楽しくやれたらいいのに「ちゃんとやらなきゃ」って追い立てるような気持ちになるのが分かりました。
黒沢
私も自分が演じる沙紀が一番近いです。周りの様子をうかがっちゃうのがあさひなら、逆に沙紀は自分の気持ちを優先してしまうタイプなんですね。私も芸道と友だちでどっちが大事かと言われたら、芸道を選んでしまうんです。それって部活と友だちに置き換えたら沙紀みたいになるんだろうなって。
瀬戸
私は小学校から中学校に上がる時に私服から制服になったんですよね。その時にスカートを穿くのがものすごくいやで「女の子っぽくしている」ことが恥ずかしいと悩んでました。でも大人になるにつれて段々なくなっていったのを考えると、年頃にある「些細なことでの悩み」は5人みんなに当てはまるのかなって思いました。
ー最後にwebラジオでも話題に上がることの多い監督は、実際はどのような方か、みなさんの印象を教えてください。
井澤
長時間の収録でみんな疲れてきてても、監督が「いい感じでした~!」って言いながらブースに入ってくるよね。
黒沢
ディレクション中もツッコミをしたり、ギャグを言って和ませてくださいます。
種崎
それだけじゃなくて、私たちのお芝居の提案とかもちゃんと受け入れてくださる方でした。
小澤
対応が本当に丁寧な方です。
瀬戸
アフレコ現場での伝え方がとてもやわらかくて、役者側が気持ちよく収録できるような口調でディレクションをして下さるんです。監督の性格や雰囲気が現場によく出て、作品にも出てると感じました。
ーありがとうございました!
メインキャストが語った劇場アニメ『ポッピンQ』 瀬戸、井澤、種崎、小澤、黒沢が爽やかに
《細川洋平》