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【e-Sportsの裏側】新しいスポーツエンターテイメントの形を創るー国内最大級ゲームイベント「RAGE」オーガナイザーインタビュー

第13回目となる今回は、国内最大級のゲームイベント「RAGE(レイジ)」や動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」を手がける株式会社Cyber Zの大友氏に、今後のRAGEについての戦略、日本国内のe-Sportの広がりについて、話を聞きました。

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e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからの日本のe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。


前回の連載では、ウォーゲーミングジャパンにてコンペティブ・ゲーミングを担当するオザン氏・マテオ氏に海外と日本のe-Sportsの違いや同社の今後の戦略について語ってもらいました。

■e-Sportsとは?
e-Sports(Eスポーツ)とはElectronic sportsの略で、コンピュータゲームやビデオゲームで行われる競技のことです。高額な賞金のかけられた世界的な規模で行われるプロフェッショナルな大会から、アマチュアまで競技が行われており、ジャンルやゲーム毎にプロチームやプロリーグが多数あります。現在e-Sportsの対象となっているゲームを遊ぶ人の数は、全世界で5500万人を超えています。
(ゲーム大辞典参照:http://game-lexicon.jp/word/e-Sports

第13回目となる今回は、国内最大級のゲームイベント「RAGE(レイジ)」や動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」を手がける株式会社Cyber Zの大友氏に、今後のRAGEについての戦略、日本国内のe-Sportの広がりについて、話を聞きました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――まずは自己紹介をお願いします

大友氏:サイバーエージェントに新卒で2007年に入社し、インターネット広告部門で営業を担当、2009年4月にCyber Zの立ち上げから役員として参加しています。営業部門統括をしていましたが、2012年からメディア事業や新規事業を担当することになり、今は完全にe-Sports事業専任で担当しています。

――RAGEについて改めて説明をお願いします。

大友氏:2015年の10月頃から、次世代型e-Sportsイベント・e-Sports大会「RAGE」という位置付けで、日本発で世界に誇れるような新しいスポーツエンターテイメントを生み出していこうということで発足しました。今までで3回開催しており、次回で4回目となりますが、演出や見せ方の部分においても、単純にゲームの試合を見せるだけでなく、e-Sportsがスポーツ化するためにはスター選手が必要ということもあり、かなり選手にフォーカスして、バックグラウンドがわかるようなインタビューや紹介も意識しつつ、演出面に注力しています。

――過去に3回、大会を開催していると思いますが、現状、どういう課題が見えていますか

大友氏:直近で感じている課題のうちで代表的なものでは、会場でわいわい騒いで盛り上がっている雰囲気を作りたいというのはあります。

海外のe-Sports大会では野球やサッカー観戦のように盛り上がっていて、そういうものを作りたいと思っているのですが、まだまだできてないなと感じる部分があります。ゲーム性にもよりますが、理想としては大会を配信視聴で済ませるのではなく、実際に会場に来て会場のみんなが声を上げて応援できるような環境を作りたいと考えており、次回はそのあたりを改善したいと考えています。

――次回の大会はどのような内容になっていますか?

大友氏:前回に引き続き『シャドウバース』と『ストリートファイターV』、あとは新しく『ウイニングイレブン』を競技種目としています。予選はそれぞれ違った日程・場所で5月中に実施してファイナリストを決定し、6月10日にベルサール高田馬場で1DAYで決勝を行います。

――RAGEで競技種目として採用する基準はあるのでしょうか?

大友氏:厳密に定めているわけではないですが、一定のプレイヤー人口がいることと、今回の『ウイニングイレブン』を採用した理由でもある「多くの人にe-Sportsを見て楽しんでもらいたい」というのがあったので、挑戦することに決めました。ここで「ゲーム観戦でもこんなに熱狂するシーンがあるんだ」と感じてもらいたく、チャレンジしてみたというところです。


――決勝は1DAYということで、上手くまわす仕組みは用意しているのでしょうか?

大友氏:理想としてはRAGEを直接会場に来て欲しいというのがあるので、会場は一体型で、会場に入れば全タイトルの大会が見れる形にしてあります。もちろん各タイトルの観戦に支障をきたさないように、音響設備など配慮はしてあります。

――エイベックス・ライブクリエイティブとの協業を3月に発表していましたが、ノウハウをRAGEに利用する想定はされていたのでしょうか?

大友氏:エイベックスさんは楽曲の印象が強いので、「テーマソングが充実していたりするんですよね?」と聞かれることが多いですが、僕らが協業を決めたポイントとしては、ULTRA JAPANやお台場のスターアイランドの花火大会とか、イベント事業を活動形態として事業化されているということで、そういったエンターテイメントを創っていくノウハウなどに魅力を感じました。弊社としてもRAGEをはじめ、その分野に対しては非常に大きい投資が続くので、そこをイベントのプロフェッショナルにお願いすることで、コストの調整力や調達力があるということで協業を決定しました。

――エイベックスさんがノウハウ持っているノウハウはRAGEでフル活用するということですね

大友氏:そうですね。ステージ作りから照明の演出、僕らが制作している選手の紹介ムービーもエイベックスさんに制作してもらっています。


――今までは一味違ったRAGEということで注目ですね。

大友氏:ベーシックな「選手に光を当てる」というコンセプトは変わりませんが、演出面や格闘技的なイメージが強かったものも、より洗練されたスポーツエンターテイメントにしていきたいと思っています。

――RAGEでは撮影会などをされていますが、RAGEから生まれたスターはいますか

大友氏:前回の『シャドウバース』のファイナリスト8名というのが、滑り出しとしてはいいスタートだなと思っています。優勝した「ま」選手はTVCMに出演されていますし、OPENREC.tvの配信にもストリーマーとして活動していただいていて、TwitterのフォロワーもRAGE優勝後に10,000フォロワーを超えて、ファイナリストになってから急に知名度が上がったという事例もあります。

今後もそういった事例をつくりRAGE発の選手が各方面で活躍することで、業界全体を盛り上げて行きたいと考えています。

――色々な大会が増えてくるとは思うんですが、差別化を図ることは考えていますか?

大友氏:継続的に開催するというのは重要だと感じています。四半期に1回大型のオープン大会を開催しているのがRAGEですが、そこを肉付けしていったり、OPENREC.tvと協業でミニリーグ戦をやったりとか、若手にフォーカスしたものとか、年間を通じてストーリーを作った上での大会企画をできるというのを強みにしていきたいですね。今大会からスポンサー企業が非常に増えまして、8社既に決定していて、最終的に10社になる見込みです。

――大友さんから見て、今後e-Sportsマーケットはどのように伸びていくと見えていますか?

大友:すごく追い風が来ているといち大会オーガナイザーとして見ています。これを実現させるためには、色んなところがイベントをやったりしていますが、しばらくは変わらないと思うので、切磋琢磨しながら、コアなゲーマー層だけでなく、ゲームをやったことない人まで広げるような活動をする必要があると思います。


――6月10日のRAGEに向けて意気込みをお願いします。

大友:エイベックスさんとの協業第1弾の大会でもあり、本当に進化したRAGEを皆さんに体験してもらいたいなと思っています。今後一般来場のリリースなども打ち出していく予定ですが、ただ観戦するだけでなく色んな体験ができるイベントにしていきたいなと思っています。『シャドウバース』のファンで見に行く人も、『ストリートファイターV』や『ウイニングイレブン』の世界も体感してもらいたいですし、その逆も同様です。RAGEというイベントを配信だけでなく、会場に来て楽しみにきていただきたいなと思っています。


◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

新たなマーケット創出に力を入れているcyberz。新しいスポーツエンターテイメントの形を創出できるか否か、今後の同社の動きと「RAGE」の動きに注目です。
《森 元行》

森 元行

海外のゲームショウにてeスポーツの大会に出会い衝撃を受け、自身の連載「eスポーツの裏側」を企画・担当。プロプレイヤーはもちろん、制作会社や大会運営責任者、施設運営担当者など「eスポーツ」に携わるキーマンに多くのインタビューを実施。 2022年3月 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 博士課程前期課程(修士/MBA)修了。

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