人生にゲームをプラスするメディア

「負けるのが難しい」…世界最弱のオセロAIを体験―開発者に誕生のきっかけを訊いた【特集】

「負けるのが難しい」…世界最弱のオセロAIはなぜ作られたのか?その経緯に迫ります。

その他 全般
「負けるのが難しい」…世界最弱のオセロAIを体験―開発者に誕生のきっかけを訊いた【特集】
  • 「負けるのが難しい」…世界最弱のオセロAIを体験―開発者に誕生のきっかけを訊いた【特集】
  • 「負けるのが難しい」…世界最弱のオセロAIを体験―開発者に誕生のきっかけを訊いた【特集】
人気MOBAタイトル『Dota 2』のAIチームがプロプレイヤーを破るなどゲーム業界でたびたび話題になる「AI」。凄まじい処理速度で圧倒的な力を見せることもある存在ですが、日本のAI会社AVILENは、『オセロ』で逆に負けることが難しい「最弱AI」を開発しました。

この記事では、同社CTOの吉田拓真氏が本AIを開発するに至った経緯などをメールインタビュー。本当に負けることが難しいのかも含め、ご紹介します。

Web上で公開されている「最弱オセロ」は、スマホだけでなくPCでも遊べるオセロゲーム。記事執筆時点のAI戦績は、21勝5609敗6引分ということでハンパない負けっぷりです。では、このAI本当に弱いのでしょうか。自他共に認めるボードゲーム下手の筆者がさっそく挑んでみます。まずは普通に負けたら恥ずかしいので、真面目にやってみました。

ほ、ほんとに弱い…

このあと数回挑んでみたのですが、やはり勝ってしまう……。というかどうやっても角を4つ取ってしまう……。というわけではこの戦績に偽り無しのようです。

「AI」というワードからは連想しづらい「最弱」ですが、では、なぜこの「AI」が生まれたのでしょうか。前述の吉田氏にメールで話を伺ってみました。



――開発の経緯を教えてください。

吉田拓真氏(以下、吉田氏):このオセロAIは2016年私が東大工学部の学生のときに個人で開発しました。当時のAlphaGoの影響で、興味本位・勉強も兼ねて始めたのです。研究のあいまを使ってAlphaGoの論文含め、多くの資料を参考に深層学習とC++の勉強を一からやりましたね。ライブラリを使わずC++スクラッチで深層強化学習を実装し、それを日本発祥の好きなオセロに応用したのでした。開発自体は5ヶ月ほどで完成して放置しましたが、だれでも楽めるように、AVILENのメンバーの手も借りてwebに公開したところです。

――なぜ「最弱」なのでしょうか

吉田氏:最初は強さを求めて作っていましたし、こちらでは強いAIと対戦できます。もちろん、強いAIは他にもたくさんあるのですが、ちょうどそのときにYouTubeで負けに来るオセロの動画を見ました。それは相手が最善を打つ前提で、評価の悪い手を選んでるだけなので、あまり弱くなく、ランダムに勝ってりもしてます。そこで、私のコードは1行変えれば、とことん弱いAIを学習できることに気づきました。

深層強化学習AIの他の手法にないメリットは2点
1.人間が教えるわけではないので、どんなルールにも対応できる。
2.自己対戦で学習するので、棋譜がいらない(人間の手を全く学習しない)

やってみたところ、絶対に相手に勝たせるAIができたのですね。オセロというゲームが、「少なく取る」で成立するのも成功した一因です。とても面白いのは、真逆のはずのゲームですが、負けオセロの序盤の動きは勝ちオセロそのものです。だんだんありえない動きをしていきますが、オセロというゲームのさらに深い一面を見られたような気がします。

――何回か勝利してしまっていますが、これは予想の範囲内なんでしょうか

吉田氏:正直多少驚いています。Twitterなどで調べると、本当に強い有段者がかれこれ工夫して、まれに負けて(勝って)いるみたいです。人間はすごいですね。ただ、いくつかこちらの「手抜き」もあるので、ありえないことではないと思っています。

・本来12手探索できるところをサーバー負荷や、ユーザー体験のため、6手探索と半分に設定しています。(AIの計算は0.1秒)
・ユーザー体験のためランダム性をもたせています。必ず最善を打つわけではありません。
・強さを比べる対象がないので、あまり検証をせずに学習を止めています。



ということで、非常に面白いお話を聞くことができました。相当に頭を凝らせば負けることもできるそうなので、興味のある方はチャレンジしてもよいかもしれませんね。

なお、吉田氏は、7月27日(土)に行われる機械学習(AI・人工知能)に関するカジュアルトークイベント「第38回 Machine Learning 15minutes!」に登壇する予定。ここでオセロの話も少しするということです(記事執筆時点で定員50名のうち40名が埋まっています)。
《秋夏》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

その他 アクセスランキング

  1. 絶版だった「ドラゴンクエストへの道」が36年の時を経て復刻―石ノ森章太郎が監修した『ドラクエ』開発秘話漫画

    絶版だった「ドラゴンクエストへの道」が36年の時を経て復刻―石ノ森章太郎が監修した『ドラクエ』開発秘話漫画

  2. 「名探偵プリキュア!」キュアアルカナ・シャドウを「To LOVEる」の矢吹健太朗先生が描く!可愛すぎるファンアートに反響

    「名探偵プリキュア!」キュアアルカナ・シャドウを「To LOVEる」の矢吹健太朗先生が描く!可愛すぎるファンアートに反響

  3. 矢吹健太朗先生が個人Xアカウントを開設!「To LOVEる」ララや、なんと「デスノート」Lのイラストをさっそく投稿

    矢吹健太朗先生が個人Xアカウントを開設!「To LOVEる」ララや、なんと「デスノート」Lのイラストをさっそく投稿

  4. プリキュアとコナンが、奇跡の“名探偵”コラボ!両作品の特徴を捉えた作画が面白いと放送前から話題沸騰

  5. VTuberプロジェクト「ぶいすぽっ!」が仕掛ける新展開とは?―運営に訊く「海外進出」「新メンバー」について、そして「12話アニメ」!?

  6. 「アサシン クリード」シリーズおすすめ5選!爽快で鮮やかな暗殺アクションと平原から砂漠まで探索が楽しいオープンワールド体験

  7. “蹴り”で戦うキャラといえば? 3位「ストリートファイター」春麗、2位「名探偵コナン」毛利蘭、1位は…コックとしてのポリシーと戦闘スタイルが人気の“あのキャラ”♪

  8. 関係ない“はず”なのに…あるエナドリが『シャニマス』のキャラっぽいと話題ーどことなく大崎姉妹に似てる、その名も「BloomyPLUS」

  9. フォロワー数110万!中国プロコスプレイヤー夏美の圧倒的な“美の顕現”【インタビュー】

アクセスランキングをもっと見る