■「台湾FF」は楽しむためのコスプレ撮影を重視
日本のような更衣室は用意されていないため、一般参加のコスプレイヤーは自宅などで着替えてから会場に向かいます。会場では屋根の下に座り込んでメイクをしている人が非常に多く、コスプレメイクは濃いので電車で移動する際などに目立ち過ぎないように配慮しているのが伺えました。

撮影に関しては、台湾人気コスプレイヤーのMomoさんに以前、「イベントなので楽しむ人が多く、本気で機材を揃えて撮影に臨む人はあまり見ない」と聞いていましたが、その通りでした。まず、「台湾FF」では、明確な機材制限はありません。それなのに機材を持ってきている人は少なかったです。日本や中国におけるコスプレイヤーを撮るカメラマン同士のピリピリした雰囲気はなかったです。
撮影は基本的には囲み撮影で、一対一での撮影はほとんどありません。誰かがコスプレイヤーさんを撮り始めたら、他のカメラマンが近づいてきて撮り始めます。日本で見られるようなスケッチブックに名前とSNSアカウントを記載する人はあまりいないですが、代わりに名刺を配る人はいます。撮影した写真のSNS掲載許可についても確認せずに載せてしまう流れのようでした。

知り合いなど交渉すれば一対一で撮らせてもらえるのですが、日本や中国のイベントと比べて、カメラマンの「何がなんでも一対一で良い写真を撮る」という緊迫感は感じられませんでした。中国や日本ではイベントであっても、良い写真を投稿することでSNSでの拡散を狙うという姿勢がコスプレイヤー・カメラマン双方に見られますが、台湾ではお祭りを楽しむスタンスが重要視されているようです。

実際に、台湾人気コスプレイヤーはサークル出展しているため、撮影する機会はほとんどないことも緊迫感を招かない要因でしょう。一部、少しだけコスプレエリアで撮影時間を設ける人もいましたが、ブースを訪れたファンの対応で最後までコスプレエリアに行けない人、売り切ったらすぐに撤収する人は多い印象でした。

また、コミケのコスプレエリアでは見られなかったのが、パフォーマンスでした。コスプレしながらアニソンの演奏をする2人は、普段から音楽活動をしており、YouTubeにも動画をアップしています。この日は、様々なアニメやゲームの曲を演奏し、多くの人を沸かせていました。

コミケの会場規模と比べると決して大きくありませんが、同イベントでは参加者がより「祭り」として楽しめるような柔軟性を感じました。台湾旅行の一環で、参加してみてはいかがでしょうか?