先日『片道勇者プラス』がニンテンドースイッチにてリリースされました。ローグライクゲームに強制スクロールをプラスしたような作品です。お手軽ゲームなタイトルですが、手ごたえ十分で育成要素も充実。本作の持つ奥深さを紹介します。
※本記事の画像はすべてsteam版『片道勇者プラス』のものです。
闇に支配されていく世界から逃れて、右に向かって旅をする
舞台は闇に支配された世界。画面の左のほうからどんどん闇に飲まれていきます。その闇から逃れながら旅を進め、闇の根源たる魔王を倒すことが目的です。
ゲームスタートしたら最初はキャラクターメイクです。いくつかあるクラスから自分のプレイにあったものを選択しましょう。
クラスを決めたら続いては特徴の振り分けを行います。筋力に寄せるか敏捷に寄せるか、この振り分けが非常に重要になってきます。
『ウィザードリィ』でも『世界樹の迷宮』でも『ドラゴンクエスト3』でも「キャラクターを作っている時が一番楽しい!」と考えている筆者にとって、この時点でワクワクが止まりません。クラスや特徴はゲームを進めるごとに増えていきます。
名前、クラス、特徴の振り分けがきまったらいよいよ旅に出発。「さあ、冒険に出かけよう」を選択すると次は旅立つ世界を選択します。普通の冒険の世界もありますが、様々なキャンペーンも用意されており、経験値1.3倍の世界や視界が制限された世界などを冒険できます。
慣れてきたらこれらの世界に挑戦してみることで、何度でも繰り返し遊べます。今回は初めてなので、ランダムで難易度も「やさしい」をチョイスしました。
ゲーム開始はお城からスタート。王様に謁見し、宝箱からアイテムを回収して旅に出る……というドラクエ形式の導入です。最初にちょっとびっくりするのはキャラクターたちのあまりの小ささ。『風来のシレン』などのローグライクや、『ドラゴンクエスト』などの一般的なRPGと比較して考えても小さすぎるように思えます。
本作は左側が消失して右に進行していくというシステムゆえ、世界全体の大局を見ながら冒険することが重要です。そのため、キャラクターは小さく、マップは広く隅々まで見えるように作られているのでしょう。この小ささはすぐに慣れます。
画面の左から闇が迫ってくる以外は一般的なローグライクです。道中のアイテムを広い、装備したり投げたり、主人公の識別能力が高ければどんな道具なのかがわかるなど。空腹度にあたる「元気度」もあり、これは食べ物を食べると回復するという仕様です。ローグライクに慣れた人ならばこの辺りはすんなり理解できるでしょう。
左側に迫る闇に飲まれないように左に向けてひたすら進む旅。道具を広い、敵を倒してレベルを上げ、魔王の到来に備えます。
もちろん簡単にはいきません。初回のプレイでいきなり魔王を倒せる人はなかなかの強者でしょう。道中のモンスターにやられることもあるでしょうし、当然左側の闇に飲み込まれることも頻繁にありますし、魔王と遭遇してもまったく手も足も出ずにやられてしまう可能性も非常に高め。かなりあっさりとゲームオーバーになってしまうのです。
ゲームオーバーになってからが本当の始まり、負けても何度でも立ち上がれ!
ここからが今作の本当の始まりです。ゲームオーバーになるとまずは今回のプレイの総評が表示されます。
ここで重要になるのは「伝説ポイント」。ゲームオーバーになった時点の攻略の進行度に合わせてポイントが付与されます。このポイントを集めることで、新しいクラスや特徴を解放できるようになっています。
本作のコツは、特徴やクラスを解放し、次回プレイをより効率をよくしていくこと。一度や二度のゲームオーバーは当たり前だと割り切って遊ぶことがクリアへの近道です。
強い武器やアイテムは、「次元倉庫」という機能でアイテムを次回プレイに引き継げます。簡単にゲームオーバーになってしまう反面、一度のプレイが無駄にならないような配慮がなされていますね。
挫けず、繰り返し挑戦することが肝要です。徐々にクラスや特徴、引き継いだ武器や防具がそろってくると、気持ちにも余裕が出てきます。
また、冒険の舞台となるフィールドはそれぞれ異なります。しかし同じ名前の世界ならば同じマップ。つまり、「新ニタガゴティギド」は何度入りなおしても同じ形になります。同じ世界に何度も挑戦して地形を覚えて攻略するも良し。このマップ苦手だなと思ったら新しい世界を選んで挑戦するも良しです。
何度も挑戦することで、遊び方がわかるようになってくると400km先の魔王など大した敵ではありません。過去敗れた勇者たちの残した伝説ポイントを糧に、いざ魔王に挑戦します。
勝てるかどうかはこれまでの積み重ね次第。過去の勇者たちが残した伝説ポイントをどう還元したかが、勝敗を分けることでしょう。
ただ右に進むだけではない、やり込み要素やイベントも豊富
本作は、各所に隠し要素やイベントが豊富に取り揃えられていることも特徴です。
立ち絵ありのキャラクターには個別エンディングも用意されています。コンプリートを目指すも本作の目的のひとつになるでしょう。
冒険の途中にも店がたくさん用意されています。武器防具やアイテムを売る店はもちろん、魔法である「フォース」を売る店や闇市など。
普通のRPGらしいイベントもありますので、やり込もうと思えばかなりたくさんの遊び要素が詰まっています。
また、武器防具の強化も本作の楽しみ。武器強化のアイテムを入手したら、手持ちの武器にどんどん付与しましょう。多くの能力を付加できるようになっています。
武器防具は「次元倉庫」を使って引き継ぎ可能ですし、その際に修復することも可能。お気に入り武器を作って何度も何度も旅のお供をさせることもできます。
先述したクラスには特殊なものもあります。自分の能力は低いが見方を強化できる詩人やフォースを専門で使う理術師など、ちょっと変わった遊び方ができるものが用意されています。主人公の立ち振る舞いも冒険に影響。例えば、普通の人々を攻撃したり殺害すると、善行の値が下がり、評価に影響します。
また、今回の記事では「やさしい旅」を紹介しましたが、「普通の旅」はちょっと難易度が上昇。魔王がランダムに登場するようになります。序盤で魔王と遭遇した場合はひたすら逃げてやり過ごす必要あり。逃げ切れたらまたしばらくして魔王がやってくる、という流れ。
特に武器防具がそろっておらず、成長も足りない序盤では魔王から逃げることが優先。そうなってくると敏捷のステータスの重要度がさらに高くなります。「やさしい旅」とはまた異なる遊びが楽しめるようになっています。
お手軽作品に見えて非常に作り込み豊富な本作。騎士でクリアしたら今度は理術師でプレイしたり、最短クリアを目指したり、イベントをできるだけ多くこなしてみたりと自分だけの遊び方に挑戦できます。
「片道」だけど何度でも繰り返し遊べる本作。寝る前30分サクッと遊んでも良いし、休日に腰を据えて遊ぶのにも向いています。ゲームオーバーになってもまた次につなげられるので、気楽に遊べるのもメリット。そういう点でもニンテンドースイッチで手元で遊ぶのに非常に適した作品になっていると思います。