ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣
発売日:1990年4月20日
機種:ファミリーコンピュータ
発売元:任天堂
『ファイアーエムブレム』シリーズの記念すべき第1作目にして、シリーズの基礎を築いた名作です。発売当初の評判は今ひとつでしたが、口コミで徐々に人気が拡大。戦略シミュレーションとRPG的要素を融合させた、「シミュレーションRPG」というジャンルを確立しました。
特に画期的だったのが、倒されたキャラクターは生き返らないというルールです。本シリーズの根幹をなす要素として、今ではすっかりおなじみになっていますが、当時は非常に新鮮で、HPに余裕があっても敵の強力な一撃を食らってピンチになるんじゃないかと終始ハラハラさせられたものです。ことに高難度のステージが連続する終盤の緊張感は格別で、クリア寸前で仲間が倒されてしまい、泣く泣くステージのアタマから再挑戦したという人もいたことでしょう。戦略性も非常に高く、こうしたシビアさが本作の大きな魅力となっていました。
もちろん、主人公マルスをはじめとする個性豊かなキャラクターたち、アカネイヤ大陸を舞台にした壮大なストーリーも魅力的で、現在もその面白さは損なわれていません。今プレイするなら、本作のリメイクに新章を追加したスーパーファミコン版『ファイアーエムブレム 紋章の謎』(任天堂)がおすすめですが、「ファミリーコンピュータNintendo Switch Online」で、オリジナルのファミコン版もプレイ可能になっています。さすがにUIなどシステム面で不満を覚える部分はありますが、オリジナル版ならではの味わいがあるので、この機会にこちらもプレイしてみてはいかがでしょうか。


マイケルジャクソンズ ムーンウォーカー
発売日:1990年8月25日
機種:メガドライブ
発売元:セガ
2009年に亡くなった世界的スーパースター、マイケル・ジャクソンが主人公という異色のアクションゲームです。大のセガマニアだったマイケルが自ら企画・監修を務めた作品で、1988年に公開されたマイケル主演の映画『ムーンウォーカー』がベースになっています。この映画はかなりぶっ飛んだ内容で話題になったのですが、ゲームのほうも負けてはいませんでした。
マイケルを操って敵と戦い、さらわれた子供たちを助け出していくのですが、パンチやキックを繰り出した際、なぜかキラキラと光る魔法を飛ばして攻撃。流れ星の力を得てロボットに変身なんてことも可能になっていました。さらに面白いのがダンスアタックで、この攻撃を繰り出すと周囲の敵がマイケルと一緒に踊り出し、ダンスが終わると全員倒れてしまうのです。このように普通のゲームではあり得ない要素が満載で、多くのゲームファンが呆気に取られました。
こう言うと、ただのバカゲーに見えますが、「階段を滑り降りる」「帽子をブーメランのように飛ばす」「クルっと回転してポーズを決める」など、精緻なドット絵で描かれたアクションの数々はどれもマイケル・ジャクソンならではで、スタイリッシュのひとこと。ダンスシーンもクールでカッコ良く、これらのシーン見たさに何度もプレイしたものです。
ちなみに、同名のアーケード版も存在しますが、クォータービューの斜め見下ろし型のアクションゲームで、ゲーム性はメガドライブ版と大きく異なっています。ただ、マイケルが敵と一緒に踊りまくるなど、こちらも「マイケル・ジャクソンらしさ」が全開で、メガドライブ版ともども伝説のゲームになっています。


ここからは、そのほかの注目作・話題作などをまとめて紹介。この時期は『テトリス』のヒットを受けて、落ちものパズルゲームが注目を集めつつありました。そうした中、登場したのが『コラムス』(セガ)と『ドクターマリオ』(任天堂)です。『コラムス』は3個1組で落下してくるカラフルな宝石を並べ替え、同じ色の宝石をタテ・ヨコ・ナナメに3つ以上繋げることで消していきます。特に好評だったのが宝石をまとめて消せる連鎖システムの要素で、このゲームで連鎖の快感を知ったという人もけっこういるのではないでしょうか。
『ドクターマリオ』は落下してくるカプセルを使って、ビンの中のウィルスを退治するというもので、同じ色のウィルスとカプセルを4つ繋げることで消えていきます。こちらもルールのシンプルさと連鎖の要素などが受け、女性にも人気になるなど幅広い層の支持を獲得。ゲームボーイ版が累計出荷本数208万本、ファミコン版も累計出荷本数153万本を記録するビッグヒットとなりました。


メガドライブでは『スーパーモナコGP』(セガ)がスマッシュヒット。アーケードで人気を博したレースゲームの移植作ですが、正直言って映像面での再現度はさほど高くはありませんでした。しかし、本作には独自のモード「WORLD CHAMPIONSHIP」が収録されていました。実際のF1と同じように全16戦(※2)を戦うというもので、これがやり応えたっぷり。弱小チームのドライバーから成り上がっていくというRPG的要素もあり、多くのプレイヤーに親しまれました。
※2:当時のF1は年間16戦で争われていました。
PCエンジンでは、時限爆弾を使ってステージ内の敵を倒していく、おなじみの『ボンバーマン』(ハドソン)が話題に。ファミコン時代から人気のアクションゲームですが、今作ではマルチタップを利用した最大5人での対戦が可能になっており、協力し合ったり土壇場で裏切ったりという対戦ならではの面白さにハマる人が続出。本作のヒットにより『ボンバーマン』は対戦ゲームの定番になりました。
そのほかの家庭用ゲーム機の話題作はファミコンの『キャプテン翼II スーパーストライカー』(テクモ:現コーエーテクモゲームス)、『デジタル・デビル物語 女神転生II』(ナムコ:現バンダイナムコエンターテインメント)など。メガドライブの『重装騎兵レイノス』(メサイヤ)、PCエンジンの『ワルキューレの伝説』(ナムコ)なども人気となりました。

アーケードでは、多くのゲームファンを仰天させた『R360』(セガ)が登場。プレイヤーの操作に合わせてコックピットが全方向にグルグル回転するという、常識はずれの体感マシンは注目の的になりました。球状の近未来的な筐体も非常に先進的で、往時のセガのチャレンジスピリッツを体現したマシンだったと言えるのではないでしょうか。
縦スクロールシューティングの名作『雷電』(テクモ)、昔気質の江戸っ子・源さんが木槌を振り回して大暴れするアクションゲーム『大工の源さん』(アイレム)などもヒット。見た目は「超」が付くほどのバカゲーながら歯応え満点の横スクロールシューティング『パロディウスだ!-神話からお笑いへ-』(コナミ)も話題になりました。
また、10月6日にセガの携帯ゲーム機「ゲームギア」、12月1日にNECの携帯ゲーム機「PCエンジンGT」が相次いで発売されています。どちらもカラー液晶を採用していて、別売りのチューナーを利用してのテレビ視聴が可能。さらに、PCエンジンGTはPCエンジンと互換性があり、Huカードでプレイできるようになっていました。しかし、ともに電池の消費が激しく、連続で稼働できる時間が短いという大きな欠点があり、任天堂の「ゲームボーイ」を脅かすまでには至りませんでした。

いかがだったでしょうか。リアルタイムで経験している方は30年という時の流れを感じたことでしょう。30年後の2050年には、どんなゲームが話題になっているのでしょうね。