序盤5話を観た感想
ようやく観られる!とウキウキした筆者は、まず1話から5話を視聴しました。なお、ここからは各話の内容に触れているためご注意ください。
第1話である「出た!ピンクの訪問者」は、宇宙で眠っていたカービィが本作の舞台であるププヴィレッジに訪れる最初のエピソード。巨大なタコが村のヒツジを襲うという少し怖いシーンから始まります。
巨大タコはデデデが飼っているペット。このペットはデデデが「ホーリーナイトメア社」から取り寄せた魔獣であり、魔獣を巡るストーリーが本作全体の礎となる設定になります。

この話だけでもカービィの吸い込みやホバリング、コピーといった能力、食いしん坊であることなど基本的な設定が多く語られます。カービィに住み着いてほしくないデデデとカービィのドタバタコメディ的な面がしっかりと築かれています。また、ゲームには登場しないフームやブン、エスカルゴといったオリジナルキャラが多く登場するのにはやはり驚かされます。原作でそれほど存在感のないキャピィが村人のデザインのベースになっているのも面白いです。
第2話「大変!戦士のおうち探し」では、船が壊れて帰れなくなったカービィの宿を探すことになります。ただ、第1話でドタバタを繰り広げたカービィを招き入れたいという家はなく、自分の家を探すことになります。この話ではオリジナルキャラである黄色い鳥、トッコリがメインで登場。毒舌なトッコリは『ゼルダ』シリーズの少年リンク役でも知られる瀧本富士子さんが声優を務めており、特徴的な声色が耳に残ります。
第3,4話では、ゲーム版でも関係があるのではないかと囁かれるメタナイトとカービィについてのストーリーが語られます。謎に包まれたホーリーナイトメア社が『夢の泉』のラスボスであったナイトメアが率いていることが分かります。メタナイトはかつて星の戦士としてナイトメアと戦った経験があり、カービィも同じ存在であることがわかります。しかし、カービィには才能があるものの、知能的には赤ちゃん程度であり、目覚めるには早すぎたことが判明します。
今回観た5話の中ではシリアスな回であり、非常に重要な設定が語られています。ゲームでほとんど語られないカービィのオリジンについても説明されることには非常に驚きました。もちろんはっきりとしたことは語られないのですが、ゲーム版と比べるとかなり鮮明に思えます。原作スタッフが関わっていないアニメ化などで勝手にオリジナル設定が……というケースはよく聞かれますが、このアニメは制作者の桜井政博氏が関わっているというのにも驚きです。
ただ、ギャグアニメを期待すると若干テンポが悪い部分や、デデデ&エスカルゴのコミカルさがややミスマッチに感じられる場面もありました。
最後の第5話「怒れ!ウィスピーウッズ」は、お金を払わず魔獣を売ってもらえなくなったデデデ大王がウィスピーウッズを騙し、カービィたちと敵対させます。ウィスピーの武器であるりんごを使い切らせたところでデデデが現れ、ウィスピーとその仲間たちである木々をチェーンソーで次々に斬り倒してしまいます。
この話では、インターネットミームとしても有名な「環境破壊は気持ちいいゾイ!」というセリフが登場し、非常に感動しました。たしかに次々とテンポよく斬り倒していく様は気持ち良い……。
この話は断片的に聞いていた本作のイメージ通りのエピソードになっており、非常に面白いと感じました。フームとブンがデモ隊のように板を掲げデデデに反対するシーンもあり、ネット上で話題になっている社会的なギャグの片鱗も見ることができます。

全体としては、カービィや一部シーンのデデデ&エスカルゴが3DCGである点が特徴的に感じられました。20年近く前ということもありデデデのモーションにはやや時代を感じますが、カービィはコミカルで柔らかそうな違和感のない動きをしています。また、HDリマスターのおかげで映像はとても綺麗になっています。特に線の綺麗さが際立つ作画のシーンではそれが顕著です。
前期オープニング「カービィ★マーチ」およびエンディング「きほんはまる」はどちらも耳に残るとても楽しい楽曲になっています。
映像特典について
最後に、映像特典についても軽くご紹介します。
ディスク1に収録の「北米版第1話」はただ英語吹き替えになっただけかな…?とおもいきや、タコに襲われるヒツジの声がリアルになっていたり、それぞれのシーンにちょっとしたBGMが追加されていたりと、明確に日本版とは異なる映像になっており、アニメ文化の違いを感じさせました。オープニングも語りが入ったコミカルかつおしゃれなジャズ調の楽曲になっており、これはこれで魅力を感じました。

パイロット版は、フームを思わせるおさげの王女のキャラクターが、墜落してきたカービィと仲良くなるというお話。デデデも登場し、カービィとのドタバタ劇を繰り広げるという点は正式版と同じです。3DCGと作画を組み合わせるという形態もすでにこの段階で部分的に行われていました。
アニメ版放送から数年後に制作されたフルCGの短編「星のカービィ~特別編~ 倒せ!!甲殻魔獣エビゾウ」や、エンディング後に流れていたミニコーナー「プププつうしん」の一部、ノンクレジットOP・EDなど貴重な映像が満載です。
アニメ「星のカービィ」 HDリマスター版 まるごとコンプリートBOXは、アニメ全話分の内容が変更を加えずそのまま美しくなって収録されているほか、様々な映像特典も満載で、カービィファン垂涎ものの内容です。付属するブックレットや可愛らしい万年カレンダーの満足度も高く、「アニカビをずっと観たかった……!」という筆者にとってはドンピシャな約5万円の価値に見合うBOXとなっていました。