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ホロライブ・さくらみこを“米国学術誌”に載せた「物理学者35P」にミニインタビュー!論文執筆のきっかけや技術の応用方法を聞いてみた

ホロライブ・さくらみこさんに関する論文が、米国の学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載。論文の筆頭著者であるポテトさん(チャン博士)にお話を伺いました。

配信者 VTuber
ホロライブ・さくらみこを“米国学術誌”に載せた「物理学者35P」にミニインタビュー!論文執筆のきっかけや技術の応用方法を聞いてみた
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  • インタビュー内で紹介された「添付画像1」。
  • 『HoloCure』ワトソン・アメリアの配色比較。
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VTuberグループ・ホロライブ所属の「さくらみこ」さんを題材にした論文が、米国の学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されました。論文の筆頭著者は、さくらみこさんのファンである「35P(みこぴー)」だといいます。

◆物理学者35Pによる論文で、さくらみこさんが米国学術誌に載る

この論文は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の物理学者が提案した、「デジタル画像の『鮮明さ』を数値化する新たな手法」というもの。元の画像とぼかした画像を比較することで、芸術的な性質を数値化でき、測定から得た「鮮明度」は画像の分析と創作の両方に役立つ指標として使えるといいます。

本論文筆頭著者のサント・チャン博士は、さくらみこさんのファンを指す「35P(みこぴー)」の一人であり、研究以外では絵描きとしても活動。

X(旧Twitter)上のユーザー名は「ポテト(@potato7192)」で、同じくホロライブ「紫咲シオン」さんの歌ってみた動画「Bling-Bang-Bang-Born」でMVイラストを制作したり、インディーゲーム『HoloCure(ホロキュア)』や『Holo X Break(ホロブレイク)』にもイラストで関わっていたりと幅広く活躍。本論文の技術は『Holo X Break』の絵文字設計にも応用されています。

今回、ポテトさん(チャン博士)へXにてインタビューを実施し、この技術が『Holo X Break』でどのように応用されたのかや、論文執筆のきっかけなど、気になることをお聞きしました。

物理学者だけでなく絵描きとしても活躍!ポテトさん(チャン博士)へのインタビュー

――OISTのニュースページを拝見しました。数学にあまり詳しくなく恐縮なのですが、庫内の論文は画像がどれだけ見づらいかを数値で表すといった試みかと思います。この技術が『Holo X Break』にも応用されているとのことですが、具体的にどのように応用されたのでしょうか?また『HoloCure』など他タイトルでも利用されているのでしょうか?

ポテトさん「鮮明度」の意味はご理解の通りです。「鮮明度」は「色のコントラスト」と「色の配置」に基づいて定義できます。

まず、さくらみこさんの立ち絵を描き、「鮮明度」を指標として、どの配置や背景色、全体的なコントラストが絵文字をより「くっきり」見せられるかを実験しました。その結果、最終的に採用されたのが添付画像1の絵文字(A)です。この絵文字の「鮮明度」は、『Holo X Break』全体の絵文字の平均値程度でした。

添付画像1

一方で、デフォルメ絵師の友人が描いた他の絵文字(添付画像1のC-G)と比較したところ、自分の絵文字には「鮮明度」の面で改善の余地があると分かりました。友人たちの絵文字は「黒・白」と両極端寄りの配色を用いてコントラストを強調し、形状が簡潔(色の配置が集中している)であったため、「鮮明度」が高かったのです。

この観察から、「鮮明度」を上げるには、まずコントラストの高い配色を選ぶことが効率的だと分かりました。「黒・白・赤」の三極端寄りの色を主に使うことで「色のコントラスト」をさらに高め、デフォルメ絵柄を採用して色の配置をシンプルにすることで、「鮮明度」を大幅に向上させた絵文字(添付画像1のH)を作成しました。可愛さは別として、Hの「鮮明度」は『Holo X Break』全体の絵文字より高かったのです。

『Holo X Break』での経験から、「色のコントラスト」の重要性を改めて認識しました。これを受けて、『HoloCure』のVer.0.5と0.6で実装された立ち絵についても、一部を描き直しています。例えば操作キャラの一人「ワトソン・アメリア」の配色は、見比べるとより鮮明になっていると思います。

――ニュースページ内では、きっかけとして「絵文字制作」が挙げられています。具体的にどのような点が研究に繋がったのでしょうか?エピソードなどありましたらお教えください。

ポテトさん3月の時点で、『Holo X Break』用の絵文字制作、紫咲シオン様から「Bling-Bang-Bang-Born」MV用アニメーション素材の依頼、さらに研究と、同時に複数のタスクを抱えていて、かなり大変でした。

自分の専門は流体力学で、通常はデータを取るために多くの実験を行う必要があります。しかし、時間が足りなかったため、「もう絵をデータにしたら良いのでは?お絵描きって実験だよね?」という、少し邪悪な発想が浮かびました。結果的に、その発想が今回の論文を書くきっかけになりました。

――OISTメンバー内でホロライブやVTuberカルチャーなどは親しまれているのでしょうか?もしそうでしたら、どういったホロライブメンバーが人気なのかや、エピソードなどあればお教えください。

ポテトさん残念ながら、VTuberカルチャーはOIST内では全く流行っていません。自分は普段、戌神ころねさんの「ころモンTシャツ」や赤見かるびさんの「うるさいなぁTシャツ」を愛用しているのですが、元ネタを知っている人には一度も出会ったことがありませんでしたね…。

――最後に35Pとして、さくらみこさんの配信や動画でオススメのものがありましたらご紹介ください。

ポテトさん「キャプテン翼」のゲーム実況です!何度思い出しても笑顔になれます!


本論文についての詳細は、OIST公式サイトの研究関連ニュース「絵文字と物理学 画像の「くっきりさ」を数値化する手法を開発」にて公開中。ポテトさん(チャン博士)は、本論文に携わったOISTのエリオット・フリード教授と共に、鮮明度について新たな応用を模索しており、芸術分析を変革する可能性があると信じているとのこと。お二人のさらなる研究に注目です。

【UPDATE:2024年12月20日】本文を修正しました。


ライター:茶っプリン,インタビュアー・編集:編集部

ライター/ゲームライター 茶っプリン

「ゲームの新情報を一番に知りたい、そして色んな人に広めたい」そんな思いからゲームライターに。インサイドではニュースライター、時々特集ライターとして活動。関係者、ユーザーから生まれるネットブームにも興味あり。

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