■『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』の高過ぎる完成度が壁になる!?
『ペルソナ4』には、『ペルソナ3』における『ペルソナ3 ポータブル』のようにリメイク化された経緯はありません。
そのため、仮に今回の噂が現実になるとすれば、初のリメイク化になります。また、それを期待し、望んでいるファンの声がX上に溢れており、十分な需要があることも窺えます。
しかし、『ペルソナ3』の状況と大きく異なり、かつてのリメイク版に収録されなかった「Episode Aegis」のような大きな取りこぼしが、『ペルソナ4』にはほぼありません。
『ペルソナ』シリーズは、本編発売後に追加要素が加わる場合が少なくありません。『ペルソナ3』の場合は『ペルソナ3 フェス』が発売され、物語の追加が行われました。また、『ペルソナ5』では、語られなかった3学期を補完した『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』が登場し、こちらも人気を博します。
こうしたバージョンアップは『ペルソナ4』でも行われ、オリジナルのPS2版発売(2008年7月)から4年後の2012年6月に、PSVitaソフト『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』が登場しました。
『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』では、新たなイベントやペルソナが追加されたほか、PS2版では省略されたゲーム内期間を描写するなど、本筋からバトル関連まで様々な新要素が実装されてファンを沸かせました。
ネタバレを回避するため詳細は避けますが、新キャラ「マリー」の存在や彼女に関する物語の追加も、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』の大きな見どころになっています。
こうした要素が追加された『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』は、総合的に見て素晴らしい仕上がりになっており、プレイヤーの満足度も高い作品として好評を博しました。
手を入れるべきところに注力し、隙のない作品として完成された『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』。だからこそ、仮にリメイク化が行われたとして、どこに手を入れるべきなのか──隙のなさが、逆に仇となっているとも言えるのです。
『ペルソナ3』にあった取りこぼしはなく、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』と同様、空白だった期間は『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』で埋められ、追加キャラも実装されました。
「Episode Aegis」のような後日談を新規で用意するにしても、スピンオフ的な『ペルソナQ』シリーズはともあれ、2D対戦格闘の『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』シリーズや、リズムゲーム『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』で、“その後の物語”を既に描いています。
本編中の空白を埋め、後日談も複数語られた『ペルソナ4』。もちろん、本編のビジュアルを一新し、新規層にアピールするだけでもリメイク化の意味はありますが、それだけでは『ペルソナ3 リロード』ほどのインパクトがないのも事実。
また、なんらかの要素を加えるにしても、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』の完成度が高いため、追加する隙がなさそうなのがもどかしいところです。しかも『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』は、現行機向けのリマスター版も出ているため、『ペルソナ4』に触れる環境という意味では、現状不足はありません。
『ペルソナ4』のリメイクを望む人が多いのは確かですが、「これ以上新要素を追加する余白はないのでは」といった声があがるのも、無理のない話でしょう。
繰り返しになりますが、『ペルソナ4』リメイクはまだ噂に過ぎず、実現するかどうか未定です。果たしてアトラスが、リメイク化に踏み切るのか。もしそうなった場合、いかなる新要素で購買意欲をかきたててくれるのか。動きの有無も含め、今後の動向に注目しましょう。