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初代『マリカー』は、なぜ“カート”だったのか?レースゲームの歴史から俯瞰しても極めて画期的な作品

初代『マリカー』の斬新性を振り返ります。

ゲーム Nintendo Switch
初代『マリカー』は、なぜ“カート”だったのか?レースゲームの歴史から俯瞰しても極めて画期的な作品
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シリーズの9作目に当たる『マリオカート ワールド』が、ニンテンドースイッチ2のローンチタイトルとして2025年6月5日に発売予定です。

そこで本記事ではシリーズの元祖である、1992年にスーパーファミコン向けに発売された『スーパーマリオカート』に改めて焦点を当ててみたいと思います。

なぜなら、初代『マリカー』はシリーズの方針を決定づけただけでなく、カーレースゲームの歴史から俯瞰しても極めて画期的な作品だったからです。

それを詳しく解説する前に、なぜ「『スーパーマリオカート』はカートなのか?」を考える必要があります。

◆MT車の「クラッチ」って何?

さて、筆者は普通免許と普通二輪免許を所持しています。前者、後者共にMT(マニュアル)車に乗れる免許ですが、一方で「MT解除の普通免許」を持っている人はすっかり少数派になってしまっています。

普通免許を取得するために自動車学校へ通う人も、その殆どがAT限定コース。「MTはクラッチ操作が難しい」ということで、どうしても敬遠されがちです。

ところで、「クラッチ」とは一体何でしょうか?

これを知らない人に対して分かりやすく、しかも一言で言い表すのは自動車整備士でも難しいはず。要はギアを変えるためにエンジンを停止させることなく動力機構を一時休ませる装置なのですが、その仕組みは非常に複雑でドライバーも慎重な操作が求められます。

そんなクラッチという代物を小学生に理解させることは、非常に困難です。その上で、ゲームの題材がF1になると、F1マシンの各構造物の役割を把握する必要があります。

◆単純なカートだからこそ

かつて存在した日本物産が、『F1サーカス』シリーズというゲームを開発・発売していました。

これはF1レースを精緻に再現したゲームで、マシンの各部品の細かいカスタマイズができるという意欲作でもありました。ただ、それ故にプレイヤーは豊富なF1マシンの知識が必要で、子供には少々とっつきにくいものだったということは否めません。

ですが、1992年8月発売の『スーパーマリオカート』にはそうした細かさがありません。何しろ、これはカートです。MTという概念も、前後ウィングやクラッチ、ブレーキの種類などという概念もありません。構造が単純なカートだからこそ、「レース毎に細かいパーツを取り替える」ということはしなくても済む内容に仕上がりました。

それと引き換えに実装されたのが、道中で得られるアイテムの概念です。

バナナの皮やノコノコの甲羅を取って、それをコース上に置いてライバルをスリップさせたり、キノコのスピードアップ効果を使って一発逆転を目論んだり。アイテムを上手いこと活用すれば、コースのショートカットも可能です。

これが劇的な競争性を生み出し、『スーパーマリオカート』は技術と駆け引きが求められるスリリングなレーシングゲームとして知られるようになりました。

◆ドリフトで差をつけろ!

その上で、『スーパーマリオカート』は「ドリフト」という運転技術があることを当時の子供たちに伝える役割も果たしました。

当時地上波で頻繁に放映されていたF1では、ドリフトは絶対に行われません。F1規格のサーキットのカーブは、タイヤを横滑りさせて曲がるものではないからです。しかし、「タイヤの耐久力」という概念のない『スーパーマリオカート』では、いつでも好きなタイミングでドリフトを実行することができます。これにより、カーブでの駆け引きは他のレーシングゲームよりも飛び抜けてスリリングなものになりました。

また、選択キャラによって走りに大きな個性がある点にも言及する必要があります。たとえばヨッシーとピーチ姫は加速重視型で、停止状態からある程度の速度まで持っていくのには有利なキャラ。しかし、ハンドリングに難があります。一方でクッパとドンキーコングジュニアは走り出しこそ鈍足ですが、最高速度は全キャラ中トップ。ぶつかった相手を吹っ飛ばすこともできます。

それぞれのキャラに必ず一長一短があり、自分の得意なキャラを見出して友達と競い合う……というのが90年代前半の小学生のライフスタイルでもありました。

◆「任天堂らしい」ゲーム

そんな『スーパーマリオカート』ですが、現代の目から見ても迫力十分で「必ず盛り上がれるゲーム」になっています。

これはまさに「親子でできるゲーム」で、さらに嬉しいことにこの作品はNintendo Switch Onlineで配信されています。家族みんなでコントローラーを回しながら楽しむことができます。

そして―このあたりが実に任天堂らしいのですが―『スーパーマリオカート』は人生経験とゲームテクを蓄積させた大人が子供を圧倒できるというような設計にはなっておらず、上述のようにアイテムを使った一発逆転がいつでも起こり得ます。だからこそ、対戦プレイでは最後まで結果が分からない!

GWの時間を飾るには最適のゲームと言えるのではないでしょうか。


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《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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