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オリジナルの魂を未来へ。『MGSΔ』が“原作のゲームデザインを残す”と決断した理由とは?【インタビュー】

“『MGS3』に関して言うと、「これはやはりこのまま発売したい」と思った部分が大きいです。追加の要素を足す必要があるとは思えませんでした。”

ゲーム 特集
オリジナルの魂を未来へ。『MGSΔ』が“原作のゲームデザインを残す”と決断した理由とは?【インタビュー】
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2004年にリリースされた『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』(以下、MGS3)を、完全にリメイクした『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』(以下、MGSΔ)。本作は8月28日の発売に向けて、メディア向けの試遊会と合同インタビューを実施しました。

ただ、今回の合同インタビューでクリエイターの皆さんに何を聞くかについては少し緊張がありましたね。

なにせ『MGSΔ』のリメイクは、ディレクターの小島秀夫氏や美術の新川洋司氏、そしてシナリオの村田周陽氏らオリジナルスタッフが不在の状態で行われたものです。「メタルギア」シリーズはKONAMIが権利を所有するIPとはいえ、その評価に小島秀夫氏らオリジナルスタッフたちの作家性が固く結びついている。その事実があるなかで、今のクリエイターが『MGSΔ』として作り直すことに緊張感があったのは想像できますから。

とはいえ遊ぶ側が思いつく懸念は、当のクリエイターが誰よりも身に染みているのでしょう。「メタルギア」シリーズ制作プロデューサーの岡村憲明氏と、クリエイティブプロデューサーの是角有二氏、そしてオンライン対戦モード「FOX HUNT」担当ディレクターの佐原祐氏が登壇する姿は堂々としており、数多くの質問を毅然として答えていました。

外部からでも想像できるさまざまな課題を乗り越え、いよいよ『MGSΔ』から「メタルギア」シリーズが再始動します。合同インタビューの回答は、その覚悟が伺えるものでした。

“リメイクの最初は『MGS3』からだね”

――『MGSΔ』では2004年のオリジナル版をマップ配置やボイスなど、そのままにしていると聞いています。その判断は、小島秀夫さんをはじめとしたオリジナル版スタッフの意思を尊重する意図も大きかったのでしょうか。

岡村憲明氏(以下、岡村):これは最初から散々議論を重ね、どのような方向性にするか検討しました。様々な形のリメイクのあり方を考えていましたし、例えば現在ではオープンワールド的に、全部のマップを繋げるのが基本ではないかというご意見があることも、我々は十分に理解していました。

レベルデザインに関しても、追加マップやシナリオに手を加えないとしても、レベルに変化を加えるという考え方も当然あったと思います。

様々なことを考えた結果、当時遊んだ時の感覚は、シナリオだけではなく、レベルデザインを含めて全てがセットになったものが、オリジナルスタッフの方々が実現したかったことだと考えています。

それをしっかりと忠実に届けることから、私たち新しいチームは始めるべきだと思ったのが、このような判断をした理由です。それがどのような受け取り方をされるかについては、様々な方のお考えがあると思いますが、そういったことを踏まえて、我々は前に進んでいきたいと考えています。

――改めまして、本格的な過去シリーズのリメイクを『MGS3』から行った意図は何でしょうか。「メタルギア」シリーズを強く印象付けたのは、1998年の『METAL GEAR SOLID』(以下MGS)だと思います。なので、『MGS』のリメイクから、本格的にシリーズを再始動させるのかと思ったのですが。

岡村:実は迷うことなく、もし仮にリメイクをこの先に続けていくことがあったとしても、「最初は『MGS3』から」というのは決めていました。

『MGS』、『MGS2』に関しては、『MGSΔ』の前に、『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION』というシリーズを発売させていただいています。こちらは現在皆様がお持ちのハードで当時のままのゲームが動くようにするというコンセプトです。『Vol.1』を2023年に発売させていただいています。

なので、1から順番にプレイしたいという方は、『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION』から始めていただければと思います。私もそういうタイプなので、お気持ちはよく分かります。

もともと『MGSΔ』に関しては、新しいお客様に対して、「メタルギア」シリーズを改めてここから触れていただく作品として考えていました。以前遊んでいただいた方には「懐かしい」と感じていただければと思っています。

「メタルギア」シリーズは、ある意味でビデオゲームの歴史そのものだと考えています。最初のMSX版の『METAL GEAR』から、2Dになり、3Dになり、映画のように拡張され、進化してきたゲームです。それを追体験していくのは、『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION』で体験していただければと思います。

とはいえ現在のお客様に対して、映画のようなゲームが大半を占める中で、「ビデオゲームの歴史を追体験してください」というのはどうかという思いもあります。

特に『MGSΔ』を始めようと思ったきっかけの一つは、「メタルギア」シリーズを知らない人が増えてきたということがネット記事などでも指摘され、「これは危機的な状況だ」と感じたことです。

私たちが楽しんだ「メタルギア」シリーズを、この先も残していかなければならないし、新しい方にもぜひ遊んでいただきたい。そうなった時に、現在のお客様が触れるメタルギアとして、どれが最適かを考えた結果、“『MGS3』が良いのではないか”と思いました。

シリーズでも最高傑作という評価の非常に高い作品でもありますし、ストーリー的に考えても、本作から始めても問題ないと私は考えています。ただ、そこは現在の方々のご判断によると思います。

――今回の開発は難しい判断を要求される場面が多かったと思いますが、『MGSΔ』ではオリジナル版にゲームデザインをさらに追加する意図はありましたか。現在、様々なリメイクタイトルが大幅にゲームデザインを変えるケースも目立っています。

岡村:もちろん検討しました。どういうリメイクであるべきかを考えた結果として、全ての「メタルギア」シリーズに関して、仮に我々がこの先様々な形のリメイクをさせていただける機会をいただいたとしたら、作品によってやり方は変わってくると思っています。

『MGS3』に関して言うと、「これはやはりこのまま発売したい」と思った部分が大きいです。追加の要素を足す必要があるとは思えませんでした。

『MGS3』は『MGS3』としての物語があり、それを楽しむためのUIとしてのゲームシステム、お客様がストーリーに触れるためのツールとしてのゲームシステム、そしてゲームデザインを考えた時に、変更する意味はあまりないと正直思っています。それが正しかったかどうかは、様々な考え方があると思いますが。

今の時代、今のプレイヤーに『MGS3』を届けるために

――今回のリメイクでは、どのように元の作品をリスペクトしつつ、今の時代に合うように仕上げたのでしょうか。

是角有二氏(以下、是角):最初は現在のハードに合わせたグラフィックの進化をするだけでも、十分良いものになるのではないかと考えてスタートしました。

ただ、グラフィックだけでは違和感がありましたので、システムやアニメーションなど、様々な部分を丁寧にアップデートしないと、現在のユーザーさんに原作の魅力を正しく伝えられないということで、当初よりもかなり手を入れて調整しました。

――今回Unreal Engine 5で開発されていますが、どのようなメリットがありましたか。過去に自社のFox Engineを使った開発との違いについても伺えればと思います。

是角:Unreal Engine 5は非常に強力なエンジンでした。実際に使ってみて、改めてそう実感しています。

Fox Engineはオープンワールドを目的としたエンジンです。『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』は、あのエンジンでなければ作れないものでした。しかし今回の『MGSΔ』の開発においては、Unreal Engine 5が最も適したエンジンだと考えています。

――今回試遊してみて、ムービーや無線といったドラマ部分のボイスは、オリジナル版の声優さんの演技をそのまま使用していることが分かりました。その一方で、操作説明など細かい部分に新しいボイスが入っていることに気づきました。新規のボイス収録はどの程度入っているのでしょうか。

是角:それについては、声優さんに当時の演技で再収録していただきました。そこを見つけていただいたのですね(笑)。新規収録はそれほど多くはありませんが、ゲーム冒頭部分などで「多くのユーザーに気づいていただきたい」という思いで入れさせていただきました。見つけていただき、ありがとうございます(笑)。

――『MGSΔ』ではゲームを始める際に「あなたが好きな『METAL GEAR』シリーズ作品は?」という質問があります。この質問にはどのような意図がありますか。報酬や操作方法の変化などがあるのでしょうか。

是角:この質問はオリジナル版からある仕様ですが、違いとしては質問に含まれるタイトルが増えています。仕掛けとしては、選んだタイトルによって本編で何らかの変化が生じるというものが入っています。アイテムがもらえるといった違いもあります。

――これから「メタルギア」シリーズを新規のプレイヤーに向けて展開するにあたり、特に力を入れた点や、アピールしたいポイントについて教えてください。

是角:先ほど申し上げたように、初めての物語として楽しめる作品ですので、そこはスムーズに入っていけると思っています。

ただ、ゲーム性や操作、様々な小ネタ、デジタルゲーム特有の要素がたくさんありますので、それらをどのような形で新しいユーザーさんに伝えるべきかということで、今回は「TIPS」という形を採用しました。

TIPSでは、情報のヘルプや、少し気づきにくい攻略法などをまとめています。これまで情報を知らなかった方々が、より多く『MGSΔ』の様々な要素や遊びの深さに触れられるようになっています。

ただ、慣れた方にとっては、TIPSが邪魔になる場合もあるので、情報の重要度に応じて四段階に設定しています。

――ありがとうございます。ちなみに、オリジナル版からあった仕掛けのようなものは、全て収録されているのでしょうか。

是角:はい。特に「LEGACY STYLE(レガシースタイル)」には、ほぼ全て入っていると思っていただいて間違いありません。

――「ボンバーマン」シリーズとコラボするスペシャルゲームの「ボム蛇合戦」も体験させていただきました。Xbox Series X|S版用に新しく追加されたとは思えないほど、非常に面白かったです。こちらはどのような経緯で開発されましたか。

是角:プラットフォームが増えるということで、Xbox Series X|Sで「猿蛇合戦」に相当する、どのようなキャラクターやゲームを用意するかを考えました。他のIPを登場させることは、ユーザーさんも期待されるところだと思いますので、他のIPをお借りすることは最初から決まっていました。

どのIPに親和性があるかについて、様々なプランナーからアイデアが出ました。そこで「猿蛇合戦」のディレクターから“「ボンバーマン」シリーズは当社のIPでもあるし、『猿蛇合戦』のピポサルとも親和性があるので良いのではないか”という提案がありました。

弊社のタイトルですので、モデルやアニメーションをすぐに利用でき、実験してみました。ボムで吹き飛ばすという要素を試した瞬間に「これで決まりだ」と感じ、すぐに「ボンバーマンで行こう」と決定しました。

――確かに私たちも体験してみて、爽快感があって楽しいゲームだと思いました。また、今後はXbox Series X|S以外のプラットフォームでもプレイできるようになりますか。

岡村:検討中です。皆さんのご意見を聞きながら判断していくということもあり得ますし、様々なプラットフォームで遊んでいらっしゃる方々のご要望を考慮していければと思います。

――オンライン対戦モード「FOX HUNT」のゲームデザインについて、プレイ人数やプレイ時間など意識した部分を教えてください。紹介動画では、カムフラージュによる隠れ方が非常にスムーズで面白く感じられました。

佐原祐氏(以下、佐原):プレイ人数などの詳細については、現時点では控えさせていただきたいと思います。ただし、カムフラージュの遊びに関しては、社内でも日々テストプレイを行い、バランス調整を重ねています。

テストプレイでも、「これほど見えないものなのか」と自分たちでも驚くほどカムフラージュで隠れることができます。後で動画を見返して「実はこの時ここに隠れていた」といった驚きが、今も新鮮に日々起きています。

――オンライン対戦モードについてですが、過去には『メタルギア オンライン』(以下、MGO)が非常に人気の高いタイトルでした。『MGO』のファンに特に伝えたいことと、プレイしたことがない方にもアピールしたいポイントの、その二点をお聞かせください。

佐原:「FOX HUNT」は『MGO』にあったスニーキング系ルールとコンセプト自体は変わっていません。「メタルギア」シリーズらしい対戦として、かくれんぼの遊びを対戦ゲームとして拡張したものになっています。

従来の『MGO』のルールが好きだった皆さんには、当然楽しんでいただけると思いますし、プレイしたことがないお客様にも、新鮮な気持ちで、他にはない少し変わった体験を楽しんでいただけるのではないかと考えています。

新たなる「METAL GEAR」シリーズの船出

正直なところ、「メタルギア」シリーズをここから再始動するのはどういうことかについては不安もありました。しかし今回、試遊と合同インタビューを行ってみて感じたのは、むしろシリーズ存続の危機感を抱き、確信を持ってリメイクを開発している姿勢です。

試遊会のあと、メディア向けのパーティも行われ、会場に集まったライターや編集者たちの多くが「メタルギア」シリーズの話をしていました。それは、過去を懐かしんでいるのか、それともシリーズ復活を淡く期待する光景なのかはわかりません。しかし少なくとも、多くの人が前向きな期待を抱ける内容だったのは確かです。

パーティ会場には『MGSΔ』のテーマに合わせた料理が並び、イベント全体でゲームの世界観を最後まで統一させる姿勢が徹底していました。なにせサソリとタランチュラ、蛇の唐揚げ、そしてカエルの肉やワニの脚のグリルがありましたから。『MGSΔ』のスネークがサバイバルの中で口にしていく食糧が、実際に出てきているのです。

僕はタランチュラの唐揚げを噛みちぎり、まるでアジアのどこかの国にある蒸された母屋の匂いを思わせる味が口に広がるのを感じながら、“これから開発の皆さんは腹を決めて「メタルギア」シリーズを本気で再起動させていくんだ”と強く思ったのでした。

『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに2025年8月28日に発売予定。新たなる「メタルギア」シリーズの船出を確認するときはもうすぐです。


©Konami Digital Entertainment
※画面は開発中のものです。


《葛西 祝》
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