
人気動画クリエイターのよしなま氏がプロデューサーを務め、さらに自腹で2500万円を投じて作られているというゲーム『マモンキング』が、2025年12月11日に発売されました。
「ゲームで遊ぶことが仕事の人が作ったゲームって、面白いものができるんだろうか?」
そう多くの人が感じるのは、ごく自然なことかと思います。よしなま氏自身も「僕のような何の実績もない、ただゲームが好きな人がいきなり作った不透明なゲーム、誰が買うねん」と語るように、その挑戦的な姿勢がうかがえます。
正直な感想として、本作はそんな背景を抜きにしても、面白い一作です。価格は1,480円(税込)ほどとお手頃で非常に遊びやすく、育成ゲームの面白さが詰まっていました。
今回は、そんな『マモンキング』のプレイレポートをじっくりとお届けします。
※リリース記念セールとして、期間限定で962円(税込)で販売。
◆始まりは「あまり可愛くない」相棒から…目指すは最強の【マモンキング】
ゲームが始まると、まず二人のナビゲーターから一人を選ぶことになります。明るくマモンをこよなく愛するブリーダーの「ナミ」と、規律を重んじ、主をマモンキングにすべく尽力する「ケイト」。
筆者はクールな佇まいのケイトを選び、物語をスタート。

そして、ゲーム冒頭で物語の導入が語られます。
かつて、魔物の世界へ繋がる門を開き、魔物と心を通わせる力を持つ一人の若者が、何百年も続いた大戦争を終わらせた。
それから数百年、魔物の王【マモンキング】と呼ばれたかつての若者は、自らの役目を終えたと宣言する。
「我が最強のマモンを打ち倒した者を、次なる【マモンキング】とする」

要するに、プレイヤーはマモンを育てて「マモンキング」を目指す、というわけです。世界はもう救われているので背負うものも特に無く、ひたすら最強を目指すというシンプルで熱い目標が待っています。
いわば、ポケモンマスターを目指すサトシのような立ち位置ですね。
マモンキングを目指すには、当然マモンが必要です。というわけで、ゲームはマモンの召喚から始まります。召喚には料金(5,000G)が必要ですが、最初は無料で3体も召喚させてもらえます。ランダムで選ばれるこの3体が、いわば本作の御三家といったところでしょうか。
一体どんなマモンが出てくるのか、期待に胸を膨らませつつ召喚へ。



え、何コイツ…可愛くない。
なんか定期的に「ギァャピー!」みたいな叫び声を上げます。か、かわいくない…

筆者の前に現れた最初のマモンは、眼球の化け物みたいな「ジローネ」。ほかにも2体のマモンが召喚されましたが、最初に出てきたのも何かの縁と信じ、このマモンとやっていくことにしました。
名前は自由に変えられますが、この時点ではそこまで愛着も湧かなかったので、初期名のままで進めます。


ちなみに、他の2体も個性的な見た目でした。
ただ本作で同時に育てられるのは一体のみ。そのため、残る2体はカードになって保管されます。こちらは後から育成することも可能です。


◆育成の肝はコンディション管理! 大会を勝ち抜く計画性も大事
育てるマモンも決まったので、続いて育成パートです。マモンにはHP、SP、筋力、魔力、耐久、命中、回避、速さという8つの基本ステータスがあり、これらを訓練で成長させていきます。マモンの得意に合わせてどのステータスを伸ばすか考える必要があります。

育成するうえで最も重要なのが、「スタミナ」と「調子」というコンディション管理。
スタミナ:訓練や放牧などの行動で消費され、「休む」で回復します。これが尽きると何もできません。
調子:大会で負けたりすると下がり、「放牧」でのんびりさせることで上がります。
調子はできる限りSを維持するのがベスト。A以下だと訓練の成功率が下がったり、大会の成績に悪影響が出たりするので要注意です。このスタミナと調子のバランスを見ながらスケジュールを組んでいくのが、本作の育成の肝ですね。

育成は1週間ごとに進行し、「訓練」「放牧」「休む」などのコマンドを選んでいきます。スケジュールの中には、スタミナを多く消費する代わりに大きな成長が見込める「特訓」や、後述する「遠征」、そして「大会」などが自動的に組み込まれています。


また、稀に発生する「バイト」では、能力を伸ばしつつゴールドも稼げるので、見かけたら積極的にこなしたいところです。

そして、さらに育成を楽しませてくれるのが「遠征」というイベント。これは夏と冬に募集がかかる、すごろく形式の育成モードで、古代のマモンが眠る未開の地を調査するというもの。

サイコロの出目に応じてマスを進み、止まった場所のイベントでマモンを成長させられます。サイコロを振れる回数はマモンのSPランクに依存するので、SPが多いマモンほど有利です。
筆者のジローネは魔力特化で育成していたのですが、その副産物としてSPもかなり高くなっていました。そのためサイコロを振れる回数が多く、他のマモンより有利に遠征を進められたのは嬉しい誤算でした。
マスにはステータスが大きく伸びるものや、貴重なアイテムが手に入るものがありますが、逆に能力が下がったり、調子を崩したりするマイナスイベントも。どのルートを進むか、慎重な判断が求められます。


スタミナを80も消費する大掛かりなイベントですが、その分リターンも大きいので、マモンを飛躍的に成長させるチャンスです。ちなみに道中にはボスも存在し、倒すことができればガチャ召喚のラインナップに追加されます。


ある程度マモンを育てたら、いよいよ大会に挑戦。大会には、賞金稼ぎに最適な「報酬大会」、マモンの能力をさらに伸ばせる「強化大会」、そしてブリーダーとしての格を示す「公式大会」、そしてガチャを解放する「ガチャ大会」など複数の種類があります。

マモンにはEからSまでのランクがあり、公式大会で優勝することでランクが上がります。

しかし、公式大会の開催頻度は低く、数ヶ月に一度といったペース。これはランクが上がれば上がるほど間隔があきます。一方で、マモンには個体ごとに平均寿命が設定されているため、のんびり育成していると、ランクを上げきる前に寿命が来てしまいます。限られた時間の中で、いかに効率よく育成と大会参加を両立させるかという計画性が問われます。
大会はトーナメント方式で、3回勝利すると優勝。戦闘は、カードでマモンに指示を出すコマンドバトルです。マモンの実力が高ければ「おまかせ」でスキップもできますが、格上の相手には自分で的確に指示した方が勝率は格段に高まります。

バトルはSPを消費して技を繰り出し合うラウンド制です。速さの高いマモンが先手を取るのが基本ですが、技によっては先制できるものもあります。SPをどう管理し、どのタイミングで大技を繰り出すか、あるいは相手の行動を読んで防御や回避に徹するかといった、シンプルながら奥深い駆け引きが楽しめます。技には相手を行動不能にするものや自身を強化するものなど様々な種類があり、使い続けると進化する技も存在するため戦略の幅はかなり広いです。


◆魔力特化の挫折からSランク制覇へ! そして物語は「継承」で続く
筆者のジローネは、「やられる前にやる」を信条に、ひたすら魔力を上げる火力重視の育成で進めました。
序盤のE~Cランクあたりまではその戦法が面白いように通用し、まさに無双状態。しかし、Bランクの公式大会でその勢いは完全に止められました。

適当に魔力だけ上げただけでは勝てないという、育成ゲームの洗礼を受けた瞬間。
そこからは試行錯誤です。大会出場を一旦控え、魔力はそこそこに、足りなかった耐久とHPを補う訓練に切り替えました。適当にやっていると後半は苦しくなるあたり、ゲームバランスは絶妙に作り込まれているなと感じます。
そして、なんやかんやで筆者のジローネは、ついにSランク公式大会を制覇。

当初は「眼球の化け物」だったこいつも、気づけば大事な相棒になっていました。カッコよくもなければ、かわいくもない。叫び声も気味が悪い。そんなアイツが、いつの間にか愛おしい存在に。
これでひとつのゴールかと思いきや、Sランクを制したマモンだけが挑める、さらなる高みがまだ存在します。しかし、栄光を掴んだジローネにも寿命の時が……。一代で頂点を極めるのは、そう簡単ではないようです。

ここで重要になるのが「継承」システム。育て上げたマモンの能力と技の一部を、次に召喚するマモンへと引き継がせることができます。ジローネとの物語はここで一区切りとなりますが、その意志を継いだ新たな相棒と共に、【マモンキング】を目指す本当の戦いがここから始まるわけです。



◆ストリーマー作と侮るなかれ。育成ゲーム初心者にもお勧めな一作

『マモンキング』を遊んでみての感想としては、「全体的にオーソドックスで、手堅く作られた育成ゲーム」というもの。よしなま氏が影響を受けたと公言する『モンスターファーム』のように、育成計画を立て、限られた寿命の中で最強を目指すという、往年のファンにはたまらない作りになっています。
低予算のためか、ボリュームは決して多いとは言えませんし、グラフィックもそこまでキレイではないです。しかし、その中身は育成ゲームの面白い部分、つまり「試行錯誤しながら自分だけの最強個体を育てる楽しさ」がしっかりと詰まっています。
ストリーマーが作ったゲームだから、という理由だけで本作から離れるのはもったいない。育成ゲームが好きな方なら、きっと楽しめる一作だと思います。
『マモンキング』は、ニンテンドースイッチ/PC(Steam)向けに12月11日発売。価格は1,480円(税込)で、リリース日から期間限定で発売記念の35%オフセールが実施されます。詳しくは公式X(旧Twitter)をご確認ください。














