
川原礫(著)氏とabec(イラスト)氏によるライトノベル「ソードアート・オンライン」(以下「SAO」)は、フルダイブ型のVR・MMO「ソードアート・オンライン」に閉じ込められた人々のデスゲームを描いて人気を博しました。
このたびリリースされる家庭用ゲーム「Echoes of Aincrad(エコーズ オブ アインクラッド)」は、まさにそのデスゲームに主眼を置いた「ソードアート・オンライン」のアクションRPGです。プレイヤーはデスゲームに参加した一般プレイヤーとなり、ログアウト不能のゲーム世界浮遊城《アインクラッド》から脱出するため、地上100層まである“この世界”の攻略に挑みます。
ただし今回ゲーム化されるのは物語序盤の第1層から第2層部分。「ゲームオーバー=死」という過酷な状況の中、慎重にマッピングして情報を集めながらボスを攻略していきます。
しかも本作は通常のゲームモードのほかに、作中と同様、「ゲームオーバー=死」を再現した「ゲームオーバー即セーブデータ削除」という過酷な“デスゲームモード”も!
そこで本稿では「SAO」ゲーム総合プロデューサーの二見鷹介氏と「Echoes of Aincrad」制作担当の八幡泰広氏にインタビューを実施。配信者が初見プレイをしたら盛り上がること間違いないであろう、そのデスゲームモ―ドを含む本作の魅力をうかがいたいと思います。
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<プロフィール>
■二見鷹介…「SAO」ゲーム総合プロデューサー。
■八幡泰広…『Echoes of Aincrad』制作担当。

◆二刀流はできるのか?
――さっそくですが、なぜ今、「SAO」の出発点である「アインクラッド編」にスポットを当てたのですか?
二見鷹介(以下、二見) TVアニメ版では最新シリーズとなる「ソードアート・オンライン アリシゼーション」が2020年にひと段落し、次の「SAO」の展開が控えている中、長年続いていたゲーム展開も最初から再構成しようという話になりました。
「アインクラッド編」を題材としたゲームは、まさにゲーム展開の第1弾として、2013年にPSPで『ソードアート・オンライン -インフィニティ・モーメント-』をリリースしました。舞台となったのは第75層以降です。原作の「アインクラッド編」では第75層で主人公「キリト」がゲームをクリアして事件が解決しますが、それ以上の階層は描いておらず、独自展開としてゲーム化したわけです。そのためゲームから入ったユーザーは、事件の発端となる第1層・第2層に触れていません。それならばリスタートにちょうど良いだろうということで「アインクラッド編」を再び題材にすることになりました。
――開発はいつ頃からスタートしたのですか?
二見 企画自体は2019年頃からはじまっていて、本格的に方向性が決まって作り始めたのが2021年頃です。当初はどのような遊びが提供できるか技術検証をしながら、もっとデスゲーム感強めで開発していました。難易度が、現在開発を進めているものよりもストイックで、そのため中間地点でありリスポーン地点でもある「セーフティエリア」をかなり多く配置していました。つまり現在よりもさらに細かくマッピングして「セーフティエリア」を探すという方向で考えていたんです。そこから、マッピングする楽しみは変わっていないものの、もう少しカジュアルにしようと大きく方向転換したのが2021年でした。

――「アインクラッド編」をリブートした「劇場版 ソードアート・オンライン プログレッシブ」は本作においてどのような扱いなのでしょうか?
二見 要素としてはTV版と「プログレッシブ」の両方を取り入れています。どちらか一方をベースにしているわけではありません。大切なのは「一般プレイヤーから見たSAO事件」です。たとえば主人公コンビのキリトとアスナも本作に登場しますが、TVアニメ版や「プログレッシブ」と違い、もっと「ビーターとして蔑まれている、ヴィランっぽいキリト」のイメージで描いています。それが一般プレイヤーから見た「ビーター」の姿ですからね。
※ビーター=βテスター+チーターの意味を持つ本作における造語。
――原作サイドとはどのような話をされたのですか?
二見 「現代ローカライズは必須ですよね」という話をしました。なにしろ最初のTVアニメシリーズが13年前です。その時代にはなかったものは積極的に取り入れようということで、たとえば今回、原作には登場しない要素として配信者を登場させました。事件に巻き込まれたプレイヤーの中に配信者がいるんですよ。


――原作小説やTVアニメでは、マッピングで情報を集めながら他プレイヤーの生存率を上げつつ、「攻略組」を中心にアインクラッドからの脱出が描かれました。『Echoes of Aincrad』ではクエストを受注しながらボス攻略をめざすとうかがいましたが、具体的にはどのようなゲームなのですか?
八幡泰広(以下、八幡) 先ほど二見が少し触れたように、『Echoes of Aincrad』ではクエストを受注し、マップの空白を埋めながらの探索&各ボス攻略がメインとなります。通常のゲームモードならメインストーリーだけで約30時間、サブクエストで20時間ほど遊べます。
――慎重に進めることになるだろうデスゲームモードだともっと長く遊べそうですね。
八幡 そうですね。そしてそのマッピングについて、随所でセーフティエリアを開放することで周辺地域のマッピングが完了し、そこがリスポーン地点になるほか、回復効果、拠点となる「はじまりの街」への帰還機能、宝箱などの情報が追記されます。オープンワールドほど広大ではありませんが、「このエリアが今回のメインクエストで使用する部分」「このエリアがこのサブクエストで使用する部分」と、全体マップの一部を共有しながら進めることとなります。ですからクエスト攻略には関係のない部分の探索をしても、それは後で受注するサブクエストなどにも情報が反映されますから、積極的に開放していって損はありません。


――なるほど。マッピングの重要性は原作の「アインクラッド編」と同様なのですね。プレイヤーが使用するアバターの作成自由度はどれくらいあるのですか?
八幡 性別、髪型、顔の形と体形も変更できます。これまで「SAO」のゲームシリーズを楽しんでいただけた方が満足するくらいの自由度はあります。
――ちなみに二刀流はできますか?
八幡 残念ながら(笑)。まだ第1層・第2層ですし、もともとキリトしか使えないユニークスキルでしたからね。実は私もこのチームにジョインした際に、二見に同じ質問をしたことがありました。そうしたら「できるわけねぇだろ(笑)」と(笑)。
二見 難しいですよね(笑)。設定的にはキリトしか使えないけど、ゲームとしては使いたい。ただ今回は「あの世界で冒険したい」を叶える企画ですから、設定を無視するのもどうかという問題があります。ただ迷っている部分はあるので、まずは本作をお楽しみいただき、その反応をもって今後に活かしたいと思っています。

◆デスゲームモードは配信者にもオススメ!
――デスゲームモードのアイデアはどなたの発案だったのですか?
二見 もともと「SAOらしさとは?」というところから企画がスタートし、「やっぱりあのデスゲームのヒリつく雰囲気だよね」となり、デスゲームが感じられる高難易度で表現するつもりでした。その後、カジュアルな難易度にすることで方向性が決定して開発が進み、2024年に「配信者も楽しめるモードもあったほうがいいかな」と、僕から提案する形で別途デスゲームモードを追加することになりました。
――難易度のひとつというわけではないのですか?
八幡 通常モードとデスゲームモードの2本立てになっています。本作は難易度が4つありまして、優しい順にストーリー、ノーマル、ハード、ベリーハードで、難易度とは別のモードとしてデスゲームモードがあります。クエスト中以外は難易度の変更がいつでも可能ですが、デスゲームモードは一度選択すると変更できません。難易度をストーリーにしたデスゲームモードで程よい緊張感を楽しんだり、難易度をベリーハードにしたデスゲームモードでチャレンジしたりと、プレイヤースキルに応じてお楽しみ頂けるかと思います。
二見 難易度によっては簡単にゲームオーバーになります。囲まれて即終了、事故って即終了、なんてことも(笑)。


――セーブデータが消えるというアイデアについては?
二見 昔、とあるゲームでセーブデータが消えるということが頻繁にありまして、そこから着想を得ました。せっかくハードコアモードを頑張っていたのに、寝落ちして気づいたらセーブデータが消えていたということがあったそうなんです。そういう遊びをシステムとして実装するのもいいよね、と。
――なるほど。
二見 本作『Echoes of Aincrad(エコーズ オブ アインクラッド)』の通常モードでは、多少、難易度を高めに設定していますが、それでも強化すればストーリーモードはクリアできるはずです。しかし「SAO」といえば、ボスの情報がないまま初見で挑み、戦いの中で攻略法を見つけたりして突破する“ギリギリ感”が醍醐味です。その「初見でどう挑むかが『SAO』らしいよね」ということでデスゲームモードを採用しました。
何度倒れてもじっくり攻略したい人は通常モードで、原作そのままの理不尽さに挑むならデスゲームモードで。通常は一度ストーリーをクリアすると解放されるモードではありますが、早期解放特典が付属するダウンロード版の上位エディションもご用意していますから、プレイヤーの皆さんには幅広くお楽しみ頂けると思います。
――消えるセーブデータはすべてのスロットまで及ぶのですか?
二見 ご安心ください、デスゲームモードを選択したセーブデータのみです。スロットは3つあり、デスゲームモードを選ぶと、その3つのうち1つを使って専用のセーブデータを作成します。データをコピーする機能もありませんから、ゲームオーバーになったらそこで終了です。


――ところで今作では、プロモーション映像として110分を越える新作アニメが制作されるとうかがいました。
二見 『Echoes of Aincrad』をベースとした「SAO」初のCG映像です。プロモーション映像なので、発売前後のどこかのタイミングで誰でも見られる形での公開を予定していますが、アルティメットエディションにも映像が丸ごと同梱されており特典のひとつとなっています。そちらは5.1チャンネルになっているばかりか、無料公開版にはない未公開カットも多少ではありますが追加されているので、手元に残しておきたいというかたはぜひ。
CGアニメにしたことについては、もともとゲームが3DCGなのでそちらの方が自然であるということと、CGアニメならではの細かな描写、たとえばモンスターの毛並みがアニメの作画よりも情報量が増えていて「フサフサ感」があるなど恩恵が多数あります。一本の映像としてもお楽しみいただけるのではないでしょうか。
――ありがとうございます。それでは最後に読者へメッセージをお願いします。
二見 「SAO」の良さといえば、やはり「アインクラッド編」の生々しいところです。たとえば私の中で印象に残っているのは、「明日仕事行けねえんだけど……」というセリフなのですが、そういった、我々と同じ世界に住んでいる人たちがゲームの世界から出られなくなる、そのリアリティを感じさせる生々しさが良さだと思います。そこは本作でも大事にしました。
デスゲームに巻き込まれて「この先どうなるんだろう」と思わされた部分こそ、我々が「SAO」に熱狂した部分です。そこから「私たちがいた」という存在の証明みたいなものを表現できないかと考えて作ったのが本作です。
「あの世界に行ってみたい」と思い、「行ったら自分はどうするか?」と空想に浸る。自分たちでマッピングして、自分たちの手で攻略する感覚を一般プレイヤーの視点で体験できる本作を、ぜひよろしくお願いします。
<商品概要>
■タイトル :Echoes of Aincrad(エコーズ オブ アインクラッド)
■ジャンル :アクションRPG
■発売日 :2026年7月9日(木)予定
※STEAM版は7月10日(金)予定
■対応PH :プレイステーション5、Xbox Series X|S、STEAM
■プレイ人数:1人
■PRアニメ:監督 吉平“Tady”直弘、ストーリー原案 牧野圭祐、アニメ制作 ポリゴンピクチュアズ、主要キャスト 黒沢ともよ(エミルン役)内山昂輝(レックス役)
(C)2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
(C)Bandai Namco Entertainment Inc.





※UPDATE(2026/3/6 14:37):本文中、リンクボタンの遷移先を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。













