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“奈須きのこ”や“イシイジロウ”絶賛の『パラノマサイト』、待望の続編はユーザーの期待に応えたのか? 異例の電撃発売からプレイ体験まで【プレイレビュー】

『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』が見せた異例の展開は、前作の高評価に裏付けられたものでしょう。その分高まった期待に、応えることはできたのでしょうか。

ゲーム 特集
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2月5日に配信された「Nintendo Direct ソフトメーカーラインナップ 2026.2.5」では、数々の注目作が発表されました。その中でも、ひときわ大きな歓声と驚きをもって迎えられたのが、スクウェア・エニックスのサスペンスADV『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』(以下、『伊勢人魚物語』)です。

本作では、三重県伊勢地方に伝わる「人魚伝説」をモチーフに、不可解な事件と呪いが交錯する物語を群像劇で描き出します。前作から引き継がれた独特の空気感はそのままに、新たな舞台で展開される物語は、発表直後からSNSを中心に大きな話題を呼びました。

■あまりにも電撃的だった発表と発売

『伊勢人魚物語』の発表でまず驚かされたのは、発売までのスピードです。『伊勢人魚物語』の発売日は2月19日(Steam版は2月20日)。つまり、発表からわずか約2週間後のリリースとなりました。

現代のゲーム業界において、商品はまず「認知されること」が重要です。多額の予算と時間を投じて発売数ヶ月前からプロモーションを行い、周知を徹底した状態で発売日を迎えるのがセオリーとなっています。

また、開発・発売を手掛けるのは、大手メーカーのスクウェア・エニックスです。一般論として、大規模な企業ほど宣伝戦略は慎重になりがちですが、あえて従来の手法を打ち破り、発表から発売まで短期間で行った背景には、時間をかけた認知の広がりよりもユーザーの熱狂を重視する点に勝算があったと考えられます。

■異例の展開を支えた前作の圧倒的評価

このスピーディな展開を可能にしたのは、2023年に発売され、高く評価された前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』(以下、『本所七不思議』)の存在が欠かせません。

前作と本作に、物語上の直接的な繋がりはないものの、世界観やオカルトを軸としたミステリー構造など、共通点はいくつもあります。当然、前作のプレイに満足した人は、本作にも強い興味を示すことでしょう。

通常、新作は時間をかけて認知を広げます。しかし、発売までの期間内で作品の熱量が最大化するのは、発表直後です。時間をかければ認知は広がりますが、熱気は徐々に落ち着かざるを得ません。

認知の広がりよりも熱気を選ぶのは戦略のひとつですが、その戦略を支えた背景には前作が得た高評価があったものと思われます。『本所七不思議』のSteam版は、「すべての言語でのレビュー」の総数が5,000件(記事執筆時点)を超えており、「圧倒的に好評」を示しています。

前作がこれほどまでに厚い支持を得ているからこそ、長期的な宣伝よりも「すぐ遊べる」というサプライズで、購買意欲の最大化を狙ったものと思われます。

『本所七不思議』も発表から発売まで約1ヶ月と短かかったものの、さらに2週間も短縮した『伊勢人魚物語』のフットワークの軽さは、ユーザーから寄せられた信頼が支えになったのでしょう。

■ゲームクリエイターも『本所七不思議』を絶賛

『本所七不思議』を熱烈に支持するのは一般ユーザーだけではありません。業界の第一線で活躍するゲームクリエイターたちも、その完成度に脱帽しています。

『月姫』『魔法使いの夜』の作者であり、『Fate』シリーズの生みの親として知られる奈須きのこ氏は、電ファミニコゲーマーのインタビュー(【特別座談会】『FGO』奈須きのこ ×『Fate/EXTRA』新納一哉 ×『FF14』石川夏子 ― “人の心を狂わせる物語”の生み出し方を聞く)の中で、『本所七不思議』の演出などを評価し、「何よりシナリオが面白いんです」「シナリオに引っ張られてクリアまで徹夜でぶっ通し遊んだ」と絶賛しています。

また、4Gamerが2023年に行った企画「年末恒例企画「ゲーム業界著名人コメント集」。177人が振り返る2023年と,2024年に向けた思いを語る」では、『428 ~封鎖された渋谷で~』などで知られるイシイジロウ氏が、同年発売のゲームタイトルで衝撃を受けたタイトルに『本所七不思議』を挙げ、傑作ADVと評価しました。

さらに、『ユニコーンオーバーロード』などに深く携わった野間崇史氏も、テンポの良さや構造の面白さに言及。加えて、新作『伊勢人魚物語』の発表時には、自身のXアカウントにて喜びを露わにしています。

同業者の厳しい視点を持つプロたちが、揃って賞賛する作品。その系譜を継ぐ新作となれば、ファンが熱狂するのは必然と言えるでしょう。


《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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