
『Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』で篤役を演じ、日本のゲーマーからも注目を集めたアメリカの俳優/声優、エリカ・イシイさん。それまでもさまざまなキャラクターの声を担当してきましたが、本作では彼女をベースにした3Dモデルが登場したことで、世界中のプレイヤーに知られる存在となりました。
この度Game*Sparkでは、なんとたまたま来日していたエリカ・イシイさんに急遽インタビューする機会を入手。俳優としてのキャリアやゲームとの出会い、コスプレやテーブルトークRPGへの愛着、そして『Ghost of Yōtei』で篤を演じたときの思いまで、幅広く話をうかがいました。

日本のゲームで育ったという彼女にとって、『Ghost of Yōtei』という作品はどのような意味を持つものだったのでしょうか。篤というキャラクターを通して感じたこと、そして世界中のゲーマーへ向けた思いを聞きました。
好きなゲームは『風のタクト』『The Last of Us』そして『Return of the Obra Dinn』!
――このたびは、インタビューに応じていただきありがとうございます。日本を訪れるのは何度目ですか。
エリカ・イシイ:4度目です!

――エリカさんの好きなゲームを教えてください。
エリカ・イシイ:う~ん……(悩んだ様子)
好きなゲームは『Return of the Obra Dinn』『ゼルダの伝説 風のタクト』『The Last of Us』と……。あとは……(日本語で)ちょっと難しいです(笑)。

――ありがとうございます(笑)。普段はどんなジャンルをプレイされるのですか。
エリカ・イシイ:アクションアドベンチャーとパズルが好きですね。
――ここ最近、プレイして印象的だった作品や、心を動かされた瞬間はありましたか。
エリカ・イシイ:『Blue Prince』です。本当にクリエイティブなゲームですし、少しずつ探索していくことでストーリーが断片的に見えてくるのがとても印象深かったですね。

コスプレ、TRPG、そして演技――エリカ・イシイの“ロールプレイ”
――普段、SNSではコスプレを披露していらっしゃいますね。コスプレのどんなところが好きですか?
エリカ・イシイ:「つながり」が一番好きですね。同じ作品のファン同士ですぐに共通点が見つかってつながれるんです。若い頃はキャラクターになりきって自己表現をする手段でしたが、いまはコスプレイヤー同士、ファン同士で出会うきっかけになっています。
――プレイヤーとして好きなキャラクターと、演じたいキャラクターは違いがありますか。
エリカ・イシイ:演じるのはヴィランが好きです。自分とぜんぜん違うキャラクターになりきるのはとても楽しいんです。普段の自分では絶対にしないことができますから。
――テーブルトークRPGの熱心なプレイヤーとしても知られていますね。TRPGの魅力はどんなところにありますか。
(※エリカさんは、「Dimension 20」「Critical Role」などのTRPG番組に出演している)
エリカ・イシイ:「演じること」です。TRPGは別の人物になって、別の世界で生きることができます。想像力を使っていろんなことが試せる、とても楽しい場です。

――TRPGをやったことがない人にアドバイスするとしたら、どんな言葉をかけますか。
エリカ・イシイ:誰でも遊べるゲームなので、まず絶対にやってみるべきです。特に、友達同士でストーリーを語り合うことに興味があるなら良い経験になるはずです。
ひとつアドバイスするとしたら、“ルール”に対して恐怖を感じず、縛りを考えずに遊んでみてほしいです。私が遊ぶときのルールは「カッコよければOK」だけです。自分が遊んで楽しめたのなら、それは正しくプレイしているということなのです。

――『Ghost of Yōtei』以前に演じたキャラのなかで、特に印象深いものはありますか。
エリカ・イシイ:『Apex Legends』のヴァルキリーです。以前から『Apex Legends』の熱心なプレイヤーだったので、このキャラクターを演じられたのは非常に光栄でした。
特にコロナ禍のときの『Apex Legends』は、友達とつながって正気を保てる方法のひとつでした。日本でも人気ときいて、とても嬉しいです。
――ゲーム業界におけるクィアやLGBTQ+表現の変化をどう感じていますか。
エリカ・イシイ:表現はきわめて飛躍的な成長を遂げました。ゲームを遊ぶ人たちの多様さを、もっともっと正確に表現するようになってきています。LGBTQ+のキャラクターで遊んだり、そういったキャラクターが登場するゲームで遊べることをとても嬉しく思います。

――日本にも、LGBTQ+コミュニティのプレイヤーやクリエイターがいます。なにか伝えたいことはありますか。
エリカ・イシイ:ゲームを作ってくれてありがとう。そして遊んでくれてありがとう。ゲームはみんなのためのものです。だから、私たちが自分たちの物語を語れる機会を持てていることが嬉しいんです。だって、それは良い物語だから。
自分だけど自分じゃないみたい。『Ghost of Yōtei』の篤を見て涙
――ここからは『Ghost of Yōtei』についてお聞きします。篤を演じたことへの感想を改めて教えてください。
エリカ・イシイ:とても光栄に思っています。もともと『Ghost of Tsushima』のファンだったので、すごく嬉しかったですね。ファンゆえにプレッシャーも強かったんですが、素晴らしいチームに囲まれて、とても良い経験となりました。

――ご自身の姿が“篤”としてゲーム内で動いている姿を見て、どう感じましたか。
エリカ・イシイ:涙が出ました。私だけど、私じゃない……という不思議な感覚を覚えました。アニメーターやアーティストの方々の努力によって非常にかっこよく描いていただけましたね。

――エリカさんから見た篤は、どういった人物ですか。
エリカ・イシイ:脚本家たちが本当に素晴らしいキャラクターに仕上げてくれました。彼女は、とても複雑な人物です。復讐に強く突き動かされていますが、同時に思いやりや優しさも持っています。もし幼少期の悲劇がなければ、動物の世話をして、もっと幸せで自由な人生を送っていたと思います。
――私は“篤”のクールな印象が強かったので、こうして実際にエリカさんとお会いしたり、The Game Awardsでの中継を見たりすると、可愛らしく、楽しげな方で良い意味でギャップを感じました(笑)。
エリカ・イシイ:それは多分、私がコメディもよくやるからだと思います。写真を撮るときも笑顔なので、篤と同一人物だと気づかない人もいるんです。

――確かに、篤はほとんど笑顔を見せませんもんね。篤以外で、好きなキャラはいますか。
エリカ・イシイ:ネタバレになるので詳しくは言えませんが、十兵衛はとても魅力的なキャラクターです。篤にとって良い対比となる人物ですよね。それから、斎藤もすごく複雑なヴィランで、とてもカリスマを持つキャラクターです。
あとは、お雪も好きですね。非常にエレガントで洗練されたキャラクターです。篤は彼女の前では少しリラックスしていて、友情を築いていくのを見るのが楽しかったです。

――プレイしたユーザーからの反応はどうでしたか。
エリカ・イシイ:ひとまず、気に入っていただけたようで安心しました……! 日本のゲーマーからも、『Ghost of Tsushima』の境井仁のストーリーの後継にふさわしいものであると認めてもらえて、非常に嬉しいです。
――ファイルーズあいさんの日本語吹替版音声についてはどんな感想をいだきましたか。
エリカ・イシイ:彼女に演じてもらえたのは、本当に光栄でした。声がすごくクールなんです。
――自分の演技が別の言語で再構築されるという経験についてはどう感じましたか。
エリカ・イシイ:面白いですよね。私はアニメの吹き替えをやることもあるので、普段は日本の声優さんの演技や感情に合わせる側なんです。
でも今回は日本の声優さんが私に合わせてくれているので、すごく光栄で、少し不思議な感じもしました。アニメーションがとても良いので、まるで私が実際よりずっと上手に日本語を話しているように見えるんです(笑)。

――最後に、日本のゲーマーに向けてメッセージをお願いします。
エリカ・イシイ:まず、ここにいること自体が本当に信じられないような経験です。私は幼少期から日本のゲームを遊び、時代劇や黒澤映画などを観て育ってきましたから。今日本の方々が私が登場するゲームで遊んでくださっていることは、夢みたいな体験で、人生最高の名誉です。
――ありがとうございました。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)















