『ゼンレスゾーンゼロ』(以下、ゼンゼロ)は、HoYoverseが手がける都市ファンタジー系のアクションRPG。

miHoYoの代表作である『崩壊シリーズ』『原神』につづく新たなゲームタイトルとして期待され、2024年7月4日にサービス開始すると、先んじて大ヒットしていた2作品に負けず劣らず人気を得ています。
そんな本作、多くのインタビューで語られているように、HoYoverseのクリエイターや運営スタッフが日本のアニメ・ゲーム・マンガを愛好しており、キャラクター同士の会話、各章のタイトル、探索中に見つかるさまざまなギミックの中に、ゲームやマンガ、アニメ、映画が好きな人であれば「おっ!?」と思えるネタが混じっています。
本作にはどのようなオマージュやパロディが小ネタとして差し込まれているのか。初回はゲームの外側にあるコンテンツから、2回目はゲーム内から引っ張ってきましたが、第3回ではいよいよストーリー内から見られる部分から引っ張ってきましょう。
この記事は小ネタの解説が主な内容です。ゼンゼロの内容や関係作品の内容に深く関わる記述がありますので、あらじめご了承の上、お読みください。
じつは「サンデー」ネタがつながっていた?青衣が"舐めた"あのシーン
2024年7月にスタートしてから約1ヶ月後、24年8月にはVer.1.1「ネズミ色のブルース」と題したのアップデートが行われ、メインストーリー第2章にて姿を見せていた警察組織「治安局」の青衣がプレイアブルキャラクターとして加わりました。

青黒の髪の毛をツインテールにし、小柄ながら武芸の達人として三節棍と武術で犯罪者らをなぎ倒していく彼女は、特務捜査班の1人として朱鳶とバディを組んで行動しています。
自分を「我(われ)」、相手を「おぬし」と古めかしく呼ぶだけでなく、言葉選びや考え方も年長者らしく、相手の機微や状況を察して鋭い推理力を発揮する場面が何度も描かれます。同時に冗談をいうこともあり、同僚である朱鳶含めた同僚たち、または主人公である兄・妹を茶化す場面もしばしば。かなり長期にわたって治安局・特務捜査班として活躍しており、治安局員だけでなく一般市民からも支持をあつめています。
じつは彼女は人間そっくりな知能構造体(いわゆるAIロボット)。ですが、事件解決のために自己犠牲も厭わない精神と判断を備えており、”善良な人間性”を兼ね備えた知能構造体(AIロボット)ともいえます。
そんな彼女ですが、第2章間章「非常なる任務」のなかで、博戯重工の面々とともに特務捜査班の調べを受けている際に、現場にある残骸を見ておもわずこんな行動を取ります。

なんと残骸に軽く触れて、ペロっと舐める!
おもわず朱鳶が止めに入るこのシーン。コミカルな表情をしていますが、事件解決のためなら手段を厭わないという彼女の精神が描かれています。
事件現場にのこった証拠品を舐めるという行動、そして抱かれた青衣のしわしわとした「(´ω`)」な表情。前者は『名探偵コナン』や『Detroit: Become Human』といった作品、後者は『葬送のフリーレン』のフリーレンを思い起こしたファンは多いはずです。
このシーンが公開された当時多くのプレイヤーが反応を示しており、もしかすると『ゼンゼロ』のオマージュ・パロディネタとして最も知られているシーンかもしれません。
ですが青衣というキャラクターを考えると、前者は『名探偵コナン』や『Detroit: Become Human』だけではないようにも筆者には感じられます。
中国をイメージしたキャラクタービジュアルと名前、流行や周りからの声などにはすこし疎いが、周囲の空気に惑わされない高い判断力で多くの人を魅了する人間性、そして得体のしれないものを口に運んで判断しようとする行動……『ゼンゼロ』発表直前にアニメ化され、現在まで話題を呼んでいる『薬屋のひとりごと』のヒロイン猫猫に似ています。
思えば、『葬送のフリーレン』は週刊少年サンデーで、『薬屋のひとりごと』の漫画作品2作のうち1つは月刊サンデーGXでそれぞれ連載中。このシーンはサンデー作品のパロディ合わせ技だった!ともいえるかもしれません。
「ウソをついてる味」が見据えていたシードの心
「なにかを舐めて確かめる」というネタであれば、『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」でブチャラティが発する「ウソをついてる味だぜ……」もとても有名。こちらを思い出す方も多いかと思いますが、このネタはストーリー第2部のなかで、よりハッキリとした形で表現されます。

2025年9月4日公開された第2章第3部「穏やかな夜をよしとせず」において、「11号」が所属するオボルス小隊を中心にしたストーリーが展開されました。
防衛軍におけるエリート小隊であるオボルス小隊のうち「シード」、「鬼火」、「オルペウス」の3人が新たに登場。先んじて登場していた「11号」や「トリガー」とともに、巨大な裏組織の掃討作戦を実行していきます。
合計5人のメンバーが顔を揃えていますが、隊長である「鬼火」はオルペウスの尻尾部分につながれた状態、「トリガー」は目が殆ど見えないスナイパー、「シード」は重装備ロボット「ビッグ・シード」に乗って戦闘へ参加するなど、なかなかに特徴的な面々が揃っています。

そのなかでも"機械工学の天才少女"として紹介される「シード」は、水色の髪色とノースリーブの服を着たビジュアルで、自分を「僕」と呼ぶ女の子。ロボットに乗り込んで多くの戦闘をこなす一方で、服の露出度や薄水色に白色という全体のカラーリングふくめて、どこか透明感あるイメージをうえつけます。
その一方、人と会話している時の受け答えがズレていたり、作戦中に敵と会話する際も真顔で非常に残忍なセリフを話すなど、人間の生活・世間からすこし外れた感性・センスを見せることがあります。出会った当初は生まれや出自が不明で、どこかミステリアスな印象を与えてくれます。
そんなシードとの初会話。すこしだけ会話していきなりぶち込まれるのが、「ペロッ…これは嘘の味!」という言葉です。
先に書いたように、『ジョジョ』ネタなのは言うまでもないのですが、印象的なのはこの後の流れです。




シードと主人公の距離感の掴めない会話を見ていた「11号」が、「なかなか独特なやりとりをするのね。」と口を出せば、主人公は「オボルス小隊って、いつも独特な会話をする」と返し、横で見ていた隊長の「鬼火」が「二人の電波を拾えるとは……」と主人公が2人とコミュニケーションを取れる姿に驚く、という風につづいていきます。
クセのある会話を仕掛けてくる「11号」「シード」2人とうまく話し、他の人がその会話・コミュニケーションの高さに驚き、そのなかに"マンガネタ"が差し込まれている。我々の普段の会話でも起こりうるような自然なやりとりが、なんとも違和感なく描かれていることに深みを感じてしまいました。
またここで"嘘"に引っ掛けてシードは会話していますが、メインストーリーとは別のサブストーリーでは彼女の出生・バイオグラフィにフォーカスを置いており、そこではまさに"嘘"をめぐるストーリーが描かれています。振り返ってみれば、この時点から彼女はどこか"嘘"について敏感になっていたのでは?と思わせてくれます。もっといってしまえば、『ゼンゼロ』スタッフ陣はそこまで見越して、彼女にこのセリフを言わせたのだろうかとも勝手ながらに想像を働かせてしまいます。
今回はメインストーリー内でメインキャラクターが発した言葉から、オマージュ・パロディネタを引っ張ってきました。他にもさまざまなネタがある本作、「あのネタか?」とフッと気付いてしまうトリックが満載というのも、プレイヤーを離さない魅力なのではないでしょうか。
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