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舞台が東京だからこそできた?『コーヒートーク トーキョー』 から考える日本とインドネシアの意外な共通点

『コーヒートーク』から巡る、日本とインドネシアの意外な共通点。

ゲーム コラム
舞台が東京だからこそできた?『コーヒートーク トーキョー』 から考える日本とインドネシアの意外な共通点
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5月21日、日本でも大人気のノベルゲーム『コーヒートーク』の続編『コーヒートーク トーキョー』が発売されました。

『コーヒートーク』は、元々はインドネシアのToge Productionsが開発したゲーム。舞台はアメリカ・シアトルですが、そこには「インドネシアらしさ」が詰まっていました。様々な妖怪や亜人が、人間と同じように生活をする場面を描写しているという意味での「インドネシアらしさ」です。

インドネシアは、世界有数の「妖怪大国」と言えます。そして、このあたりの特徴は日本と非常に酷似していて、それ故に『コーヒートーク トーキョー』という続編を実現することができたと論ずることができます。

この記事では『コーヒートーク トーキョー』をプレイしながら、日本とインドネシアの共通点を探っていきたいと思います。

◆キャラクターの殆どは「シリーズ初登場」

『コーヒートーク トーキョー』の舞台は、タイトル通り東京の片隅。

主人公は小さな喫茶店を経営するバリスタ。ここにやって来るのは、河童やのっぺらぼう、雪女、幽霊といった妖怪ばかり。しかし、それまでのシリーズの特徴を踏襲した『コーヒートーク トーキョー』は、ゲームの中で妖怪たちが人間臭いやり取りを繰り広げます。

たとえば、河童のケンジは定年退職を迎えた寂し気なサラリーマン。律儀でスケジュールに沿った生活を送ってきましたが、それ故に定年退職後の生き方を見つけられないでいます。そんなケンジの元部下、のっぺらぼうのマコトはいつもスマートゴーグルを装着している一言多いパリピ妖怪。仕事帰りにバッティングセンターに行くのが日課です。

また、前作から引き続き登場のネコミミ族のヘンドリーは、シアトルから東京に仕事で来日したという設定です。ヘンドリーはジュンという名の、こちらも妖怪らしきミュージシャンとカフェで待ち合わせをしています。

このヘンドリー以外に前作から登場しているキャラは見受けられず、殆どがシリーズ初登場の妖怪です。にもかかわらず、その雰囲気は前作までのそれを踏襲していると言っていいでしょう。登場する妖怪たちは、前作及び前々作と同様「人間以上に人間らしい」キャラクターです。

幽霊や妖怪を信じているインドネシア人は少なくない

『コーヒートーク』はインドネシア発のゲームであることは上述しました。

インドネシアは、人口の9割近くがイスラム教徒。それ以外にはカトリック、プロテスタント、バリ島ではバリヒンズー教が信仰されていますが、実はインドネシアの宗教は土着信仰と融合した形が多いです。

平たく言えば、「幽霊や妖怪は存在する」という発想があるということです。

日本では、数多くのホラーコンテンツ作品があります。漫画、映画、アニメ、そしてゲーム。10年ほど前にブームを巻き起こした『青鬼』は、今でも絶大な人気を誇っています。『鬼滅の刃』も、ホラー要素の大きい作品です。

これらの日本製ホラーコンテンツは、インドネシアでも絶大な支持を集めています。ジャカルタやスラバヤの映画館に行くと、『鬼滅の刃』だけでなくインドネシアで制作されたホラー作品も数多く上映されています。

つまり、インドネシア人はイスラム教徒であろうとキリスト教徒であろうと、幽霊や妖怪の存在を強く信じている方が多いのです。

PC/PS4/ニンテンドースイッチ向けに配信され、日本語化もされているインドネシア製2Dアクションゲーム『ゴーストパレード』は、女の子が学校からの帰り際に妖怪の住む森に迷い込んでしまうというシナリオです。その中でインドネシア各地の伝承に出てくる妖怪たちを仲間にして、ダンジョンを攻略していきます。

この『ゴーストパレード』の興味深いところは、ゲームを進めるうちに妖怪たちは人間に対してフレンドリーな姿勢であることが判明し、逆に人間たちが妖怪の住む森を伐採しようとしていることが描かれている点です。

幽霊や妖怪を「討伐対象」としてではなく、身近にいる知り合いとして認識する発想は日本人のそれと極めて酷似しています。

◆「東京」だからこその描写

そうした見方をしてみると、なぜ『コーヒートーク』シリーズの舞台に東京が選ばれたのか、自ずと見えてくるようです。

日本にはインドネシアに勝るとも劣らない数の妖怪が存在し、さらに両国とも環太平洋火山帯に沿う山岳国であり、それ故に地域間の文化の違いが非常に大きいという特色も見受けられます。

各地域から何かしらの理由で大都会東京にやって来た妖怪たちは、それぞれに異なる悩みを抱えています。「悩んでいるのは皆同じ」という言葉は少し前までの日本でよく聞かれた紋切り型の説教ですが、実際の人の悩みというのは個々によってケースがバラバラです。

至って当然のことですが、そんな「異なる悩み」同士を他人と共有することで意外な化学反応が生まれ、問題解決の糸口をキャラが見出していく……という場面が『コーヒートーク トーキョー』の中で描写されています。舞台が東京になったからこそ、より緻密で現実的な人間(妖怪?)ドラマが展開できるようになったと言っていいかもしれません。

そうした理由から、『コーヒートーク トーキョー』はより『コーヒートーク』らしくなった良作と評価することができます。


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《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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