
先日発表されたばかりの『ファイナルファンタジー レゾナンス』(以下、FFレゾナンス)は、『ファイナルファンタジー』シリーズ初のHD-2D化であると同時に、『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』(以下、FFBE)のストーリーをコンソール向けに再構築した作品でもあります。
「もし、『FF』がドット絵のまま進化を続けていたら……」というコンセプトを掲げた本作は、『FF』初のHD-2Dタイトル、そして『FFBE』の魅力を受け継ぐ新展開と、二重の意味でゲームファンを驚かせました。

この話題作が、どのような狙いで開発され、そしてどのような作品を目指して開発が進められているのでしょうか。本作の開発にあたるプロデューサーの中島啓輔氏、ディレクターの古屋海斗氏、バトルディレクターの白神剛志氏、アートディレクターの齋藤昌大氏の4人に、開発の経緯から裏話まで広く伺いました。
本作のゲームシステムや手触りについては、インタビューに先駆けて体験した試遊プレイの先行プレイレポートをご覧ください。
『FFBE』の“悔しさ”から始まった『FFレゾナンス』

──『FF』シリーズにもさまざまな作品がある中、今回なぜ『FFBE』に白羽の矢が立ったのでしょうか。
中島啓輔氏(以下、敬称略):私は入社当時、『FFBE』の海外版でアシスタントプロデューサーを担当しており、この作品には『FF』の魅力や要素が非常にたくさん詰まっていると感じていました。だからこそ、「ソーシャルゲームだけで終わらせるのはもったいない」という気持ちが最初からありました。
また、この企画自体は5~6年前から構想が始まっていたのですが、「『FFBE』は知っているけれど、ソーシャルゲームだから遊ばない」という声をたくさん聞いていたんです。個人的に、それが非常に悔しくて。
そのため、「これだけ魅力的な要素が詰まった作品だからこそ、コンソール向けに再構築し、より多くの人へ届けたい」という想いが強くありました。
また、3Dが主流になった今だからこそ、「コンソールのドット絵『FF』を遊んでほしい」という気持ちもあります。

古屋海斗氏(以下、敬称略):企画のスタートは、中島の思いから始まっています。
ただ、そもそも『FFBE』自体が、お祭り作品のような存在なんです。『FF』の良さを凝縮しようという思いで作られた作品なので、今回の企画やタイミングを考えても最適な題材だったと思います。
──さまざまな条件が噛み合った上での選択だったわけですね。では、本作を遊んだプレイヤーが「『FF』ってこういうゲームなんだ」と知り、シリーズの過去作や最新作を遊ぶ導線になってほしい、という思いもあるのでしょうか。
中島:そうなったら本当に嬉しいですし、実際そうなってもおかしくない仕上がりになっていると、自信を持って言えます。
──本作を開発するにあたって、こうしたグラフィック表現を選び、実現させた背景を教えてください。
中島:まず、『FF』に関連するタイトルで「何が最も重要か」を考えました。歴代『FF』シリーズを振り返ると、「新表現への挑戦」と「映画的なゲーム体験」の2つを追求し続けています。本作が『FF』を名乗るのであれば、この2つは欠かせない要素だと考えました。
本作において新表現として意識しているのは、ドット絵ではあまり見ないようなカメラワークや、派手な技演出です。

──かなりカメラが寄るシーンもありましたね。これまでのHD-2D作品でも、あまり見かけない演出でした。
中島:従来のHD-2D作品よりもキャラクターの頭身が高いことで、動きの幅を広げたり、表情の変化などを表現しやすくなっています。映画的なゲーム表現や、ドット絵キャラクターの掛け合いを追求した結果、このような演出になっています。
あとは、『FF』なので巨大な幻獣の存在感や、激しい戦いなどを映画的な表現で実現しようと考え、今までのHD-2Dをベースにしつつも、アートディレクターを中心にいろいろな工夫を重ねて、このような形に仕上がりました。
──まさに「ドット絵のまま進化した『FF』」の通りですね。また、HD-2D作品としても新たな方向性に踏み込んでいると。

中島:そうですね。技演出やイベントシーンのダイナミックなカメラワーク、3D的な表現などは、他のHD-2D作品とは大きく異なる部分だと思います。
「『FF6』以降もドットのまま進化していたら、こういう『FF』になっていたのではないか?」というifを、私たちなりに詰め込んだ作品です。
──ドット絵の表現として、カメラワークやダイナミックさも素晴らしいのですが、キャラクターのモーションも印象的でした。あの多彩なモーションも、言わば一枚一枚描き起こしたものなのでしょうか。
中島:はい。まさしくその通りで、ドット絵のアニメーションですね。ただ、実際に作ってみて分かったことですが、単純にコマ数を増やせばダイナミックな表現になるかというと、そうではないんです。
カメラワークによる演出や、コマ数を抑えつつも3Dエフェクトをうまく使うことで、『FF』らしい映画的なドット絵表現を実現できました。

うまく嘘をつくとか、別の表現を組み合わせるとか、そういった試行錯誤でやっと実現できた、というのが開発の裏側ですね。
──現在主流の3Dゲームを作るのと比べると、全く違う労力というか、苦労があったのですね。
中島:そうですね。今回ドット絵に挑戦したことで、3Dとは違った2Dならではの苦労をいくつも実感しました。
齋藤昌大氏(以下、敬称略):まず大前提として、ドット絵を描ける人がだいぶ少なくなっています。そのため、人材を確保するのがまず大変でした。
中島:僕らが求める品質でドットを打てる人員は相当減ってきているな、というのは感じますね。
齋藤:社内だけでなく、社外でも本当に少ないです。探すのも大変ですし、その技術を今から身につけるのも並大抵のことではありません。
──現場レベルで、ドット絵の技術継承が途絶えてきていると。
古屋そうですね。あと今回は、3D空間の中でドット絵のキャラクターを走らせたりしているため、その接地感というか、地に足がついている感じはかなり細かく調整しています。

──(戦闘中の画面を見て)背後にいるビジョンは浮いていますが、パーティメンバーはしっかりと地面に立っている感じがします。
中島:単純に3D空間へドット絵を配置すると、結構浮いて見えてしまうんです。そこで、ライティングやポストプロセス、あとはドット側にグラデーションを付けたりと、様々な手法を駆使することでHD-2Dとして成立する見た目になりました。
──ドット絵をただ置いただけでは、背景に馴染まないんですね。
古屋頭身が高いため、ごまかしも大変なんです。

──実際にプレイしてみて、その成果が如実に表れていると感じます。特に、『FF』シリーズを昔から遊んでいた身として見ると、白魔道士や黒魔道士の表現が琴線に触れました。フードの裾の動きも滑らかで、「令和のドット絵とはこうなるのか!」と。
古屋白魔道士と黒魔道士は、『FF』を象徴するアイコンですからね。皆さんの思い入れもあるキャラクターでしょうし、最初のビジュアルとしてもしっかり見せようという意識がありました。














