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カードゲームに『メダロット』の皮を被せただけにはしない―『メダロット カードロボトルRB』発売記念インタビュー

先日掲載した先行プレイレポートでは、実際に『メダロット』らしさだけでなく本作が持つデジタルカードゲームとしてのゲーム性の高さも実感。そのプレイも踏まえ、インタビューを通じてさらに『カードロボトルRB』を深掘りしていきます。

ゲーム 特集
カードゲームに『メダロット』の皮を被せただけにはしない―『メダロット カードロボトルRB』発売記念インタビュー
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メダロット』シリーズ最新タイトル『メダロット カードロボトルRB(以下、カードロボトルRB)』が、『カブトVer.』『クワガタVer.』の両バージョンで6月25日に発売しました。

今回、この発売を記念して、Game*Sparkでは開発者へインタビューを実施! 開発元のジュピターからディレクター・プログラマーの大石浩史氏、プランナーの播本卓也氏、発売元のイマジニアからディレクターの加藤昌史氏の3名を直撃してきました。

先日掲載した先行プレイレポートでは、実際に『メダロット』らしさだけでなく本作が持つデジタルカードゲームとしてのゲーム性の高さも実感。そのプレイも踏まえ、インタビューを通じてさらに『カードロボトルRB』を深掘りしていきます。



インタビュー対象者である3名とも相当なカードゲーマーということもあり、並々ならぬ本作への情熱・こだわりを訊くことができました。

ジュピターのディレクターの大石浩史氏(写真左)、プランナーの播本卓也氏(写真右)

デジタルカードゲーム化で残したかった「メダロットらしさ」 

――メダロットシリーズをデジタルカードゲーム化するにあたり、最初に「これは絶対に残したい」と考えていたメダロットらしさは、どの部分だったのでしょうか。

加藤氏:パーツの組み替えとチーム戦は、必ずやりたいと考えていました。また、『メダロット』らしさを考えると、「メダル」という要素もどこかに入れなければいけない。さらにデジタルなので、メダルを成長させたいという考えもありました。この3点ですね。

加えて、パーツを組み替えて「自分だけのチームを作る」というチームを構築する楽しさもゲームに落とし込むにあたり外せない要素として、ジュピターさん側にお願いしました。

播本氏:パーツに関する要素は絶対に必要だと思っていました。パーツを破壊されながら戦っていく部分がないと、『メダロット』感が出ないと考えたので、そこは必ず入れたいと思いました。バトルの面白さ、パーツの戦略性、そこから生まれる駆け引きですね。

大石氏:「『メダロット』らしさ」と言われて思い浮かぶものはたくさんありました。そのまま全部を入れるのではなく、ゲーム体験として成立するかを考えて取捨選択し、コアとなる駆け引きの面白さを損なわない形で、さまざまな要素を取り入れられたと思います。

――『カードロボトルRB』では、パーツを壊されながら戦う感覚や、どの腕を犠牲にするかといった判断にシリーズらしさを強く感じました。こうしたロボトル感をカードゲームへ落とし込む際、特に意識した部分を教えてください。

加藤氏:メダロットらしさとしてパーツが壊れていく要素がありますが、今回は従来シリーズと同じ仕様にはしませんでした。予備パーツを複数持ち、ゲーム中に換装できるようにしています。

これにより、パーツ選びの戦略性が増し、より奥深いシステムになったと考えています。

播本氏:今回はメダロットのルールへ極端に寄せるというより、カードゲームに寄せた感覚があります。ただし、「カードゲームにメダロットの皮をかぶせただけ」に見えてほしくないという点は強く意識しました。

大石氏:メダロットを知っている人が見たときに、「これはメダロットのあの部分を、こう解釈したのだな」と感じられるよう、カードの能力やパーツシステムをはじめ、さまざまなところへ要素を入れ込んだつもりです。

――登場するメダロットやキャラクターは、かなり幅広いシリーズから収録されている印象です。収録作品の選定基準や、「この世代のファンに届けたい」といった狙いがあれば教えてください。

加藤氏:メダロットシリーズは、途中に長い休止期間もありながら、約30年続いてきました。そのため、どの世代にも刺さるラインナップを目指しました。ただ、ユーザーが多いのは、漫画やアニメが展開されていた初期のゲームボーイ時代と、最近のアプリであるメ『メダロットS』や『メダロットサバイバー』だろうということで、そのあたりの収録が多い傾向になりました。

個人的には、自分が開発ディレクターをしていたニンテンドー3DSの時代のキャラクターが少なくなってしまった点は、少し残念に思っています(笑)。

――メダロットだけでなく、人間キャラクターたちもとても可愛く、時代に合わせて洗練されていると感じます。

加藤氏:『メダロット』は、子どもが楽しめるIPという側面があります。そのため、そうしたキャラクターたちがいなければいけないと考えました。実は最初からこれらのキャラクターがいたわけではなく、途中で「やはり必要だ」となり、「メダカードファイター」たちを追加しました。

当初は、これまでのメダロッターと言われているイッキたち、歴代のメダロッターたちや、アニメに登場するキャラクターを対戦相手にしていました。しかし、ホビーゲームとして考えるなら新しいキャラクターを作らなければいけないと思い、途中から入れ始めました。

『カードロボトルRB』は主人公が見える形ではなく、「自分は自分」として遊ぶゲームです。そのため、対戦相手となるライバルたちは必要だろうということで、新規でデザインしました。

――実際に遊ばせていただいて、いかにもパワータイプらしいキャラクターを見かけました。ホビーアニメのキャラクターならではの、「キャラクター性が伝わってくる」デザインが秀逸ですね。

加藤氏:可愛いキャラクターやかっこいいキャラクターなど、それぞれうまく表現できたのではないかと思っています。やはり、作ってよかったですね。

バランス調整とゲームデザイン面について

――行動に使用するエネルギーは10から始まり、バリアの破壊によって増えるシステムです。最終的にこのテンポへ落ち着いた意図を教えてください。

播本氏:メダロット』は、最初から自分の練り上げた戦略を持ち込み、相手の状況と自分の状況を見ながら、どう戦うかを考えるゲームです。最初から激しくぶつかっていくゲームなので、序盤から動ける要素を多くしたいと考えました。

大石氏:また、やられた側がやり返せるようにし、ゲームが進むほど派手になっていく必要があるという話もありました。そのため、バリアを割られるほどエネルギーが増え、割り当て札も増えて、行動の幅が大きく広がる形を目指しました。序盤からある程度激しく動けた方が「『メダロット』っぽい」と考えています。

――毎ターン大量に手札が入れ替わるため、事故感がかなり抑えられていると感じました。一方で、カードゲームには引きの不確実性も必要だと思います。再現性の高さとランダム性のバランスは、どのように調整しましたか。

播本氏:事故感は減らしたいですし、「この手札は腐ってしまった」という状況も、なるべく起こさないようにしたいと考えました。原作には、「構築済みの盤面から戦う」感覚があります。

その体験に近づけるため、自分が思い描いたデッキの理想盤面にはなるべく到達できる一方、その後の展開は自分の判断次第でどうなるか分からない、という形にしたかったんです。

大石氏:手札を腐らせたくないという考えから、急速冷却(筆者注:手札をリソースにメダロットをすぐに行動させるシステム)の仕組みを作りました。急速冷却があまりにも強い面もあったため、それを疑似的なライフに見立て、デッキを削りながら戦う形へ組み込んだ、という経緯です。

『メダロット』だけじゃなく、既存のTCGプレイヤーもハマるシステム

――実際に遊んでみて、構築とプレイングの距離がかなり近いゲームという印象を受けました。既存のカードゲームプレイヤーへ特にアピールしたいポイントは、どこにありますか。

播本氏:『メダロット』へ寄せすぎず、TCGプレイヤーにも楽しめるよう作ったことでしょうか。急速冷却をはじめ、かなり攻撃的なシステムが入っています。盤面をすぐ整えやすく、手札の回転も速いので、一般的なTCGプレイヤーにも新しい体験やフィーリングを得てもらえると思います。

そこから入られたTCGプレイヤーと『メダロット』プレイヤー同士が対戦し、「この効果は『メダロット』のこの要素をうまく解釈している」といった話をしていただければ嬉しいです。

大石氏:バトル中に取れる選択肢が多く、勝ちへのルートもたくさんあります。それを考えることが大きな魅力だとお伝えしたいです。

プレイヤーが用意したデッキでやりたいことを、ランダム性と組み合わせながら柔軟に実現できます。また、複雑な状況から「どこに勝ち筋があるのか」と考えそこへ到達できたときの達成感もあります。これらはTCGプレイヤーに刺さるのではないかと思います。

加藤氏:デジタルならではの強みとして、面倒なリソース管理が自動化されています。普段アナログのカードゲームを遊んでいる方には、ぜひ「デジタルだとこんなに快適なんだ」と感じていただきたいです。管理の手間が自動化された分、プレイヤーは駆け引きやプレイングにしっかりと集中できます。

大石氏:最初はこのゲームを紙で作ってプレイしていましたが、1ゲームに2時間ほどかかりました。処理が複雑で、することが多く、デジタルになってようやく快適に遊べるようになりました。

――今回、『カブトVer.』『クワガタVer.』の2バージョンが展開します。競技的な対戦環境を考えた際、双方のカードをどの程度必要とするバランスを想定していますか?

加藤氏:どちらか片方のバージョンだけでも、すべてのカードを入手できる設計です。バージョンによって異なるのは、最初にもらえるデッキと、カードを入手できる順番やタイミングですね。

序盤にもらえるデッキが違うため、序盤のプレイ感や戦術はかなり変わってきます。アナログのトレーディングカードゲームでいえばターターデッキが2種類あると考えてもらうと、イメージが近いです。どちらのタイプが好きかで選んでください。

最終的には、どちらのバージョンでもすべてのカードを入手できますので、直感で気に入った方を選んでいただければと思います。ただし、両バージョンを持っている方がカードは手に入れやすいと思います。

――2バージョンを遊ぶ恩恵は、見た目などの限定要素が中心でしょうか。

加藤氏:限定要素としては、周りの飾りつけなどが中心です。また、通信対戦しないと手に入らないカードはあります。通信対戦の相手は別バージョンでなくても大丈夫です。

カード資産形成で目指したプレイ体験

――カードの入手手段について、「デッキを組みたい」というプレイヤーの意思をかなり尊重している印象です。カードの資産形成については、どのようなプレイ体験を目指しましたか。

播本氏:テストプレイでも、「カードゲームプレイヤーが飽きる前に新しいカードをどんどん入手し、いろいろなデッキタイプを試せるようにした方が良い」という意見が出ていたというのもあり、「もうこのデッキには飽きた」となる前に、何か新しいものを集められるようにしたいと考えました。

特に序盤は、チャレンジを進めれば多くのカードを入手できて、ガチャを引くためのお金も手に入ります。敵の動きを見て「このデッキを作りたい」と思ったときに、なるべく実現できるよう設計しました。

対戦環境はどうなる? 開発チームが注目する戦術・おすすめカード

――現時点で、開発側が注目しているアーキタイプや戦術、「このメダロットは面白い動きができる」といったおすすめのカードがあれば教えてください。

播本氏:自分は「ノエル」というカードがとても好きです。このゲームの肝の一つである急速冷却の仕組みが能力に組み込まれたタイプのカードで、かなり面白いと思いながら使っています。

大石氏:注目している戦術という意味では、発売後にどうなるのか気になっているのが「フェルミオン」です。メダチェンジ後のエクストラウィン(筆者注:特殊勝利のこと。通常のルール上の勝利とは異なる勝利をカードの効果で発生させる)がどの程度の影響力を持つのかも気になっています。

開発側としては、リーダーなら「ドクタースタディ」や「ホークダカー」、冷却コストや攻撃のコストを下げるものが好きです。いろいろな戦術ができるのではないかと期待しています。

加藤氏:基本的に、レアリティの高いカードはデッキの軸となるキーカードとして、うまくデザインされています。自分が引いたお気に入りのレアカードをベースにデッキを作ってもらえればと思います。

個人的には、「カットレーダー」の「ソードドローン」がお気に入りです。開発中に弱体化された、悲しいカードだと思っています(笑)。

大石氏:今でも十分強いです(笑)。

――新しく『カードロボトルRB』を始めたプレイヤーがオンライン対戦へ到達するまでの導線について、特に意識したポイントを教えてください。

大石氏:ストーリーモードを中心に、段階的にゲームへ慣れていく流れを意識しました。いきなりオンライン対戦へ入ってもルールが分からないと思うので、まずCPU戦を通じて、ルールや基本的な戦い方を理解してもらいます。

その後、徐々に敵の構築や戦略の幅を広げていき、ある程度デッキが組めるようになった段階でオンラインへ挑戦したいと思ったら、挑戦できる設計です。

播本氏:チャレンジモードでは、最初は最低限のカードしか積んでいない相手が多いのですが、徐々にデッキタイプやアーキタイプが整った相手になっていきます。それを見て、「こういう動きもあるのか」と学び、デッキを組んで対戦へ進んでいただければ嬉しいですね。

加藤氏:初心者の方に対戦へのプレッシャーを感じてほしくなかったため、ランキング要素はすべてなくしました。気軽に遊んでほしいという考えのもとです。

また、対戦をしないとすべてのカードが集まらない仕様です。「まずはカードを集めるためにとりあえず対戦してみよう」というくらいの軽い気持ちで遊んでいただければと思います。

――オンライン対戦のシステムなど、ユーザビリティ面でアピールしたい部分はありますか。

播本氏:オンラインマッチでは、対戦の制限時間を切れない仕様です。一方、顔を突き合わせてローカルで遊ぶ場合は、制限時間を外して遊べる設定も用意しています。友達と「この動きを見よう」「練習しよう」というときには、ゆっくり遊べます。

大石氏:オンラインでは、意図的に遅延させたりする人がいる可能性をゼロにはできないため、制限時間なしの設定は用意しませんでした。対面で遊ぶ相手なら、会話もでき、信頼できる相手なので、時間制限なしで遊べるようにしています。

――『カードロボトルRB』はかなり研究しがいのあるゲームという印象です。今後、ユーザーにどのような遊び方を期待していますか。

加藤氏:プレイヤーの皆さん同士で、「このデッキが強い」「こんな面白いコンボを見つけた」といった情報を活発に交換し、盛り上がっていただければと思います。そうしたコミュニティができると嬉しいです。

野心的な試みとプレイアビリティの両立。幅広いプレイヤーに届けたい

――『メダロット』ファンとトレーディングカードゲームプレイヤーへ、本作ならではの魅力を改めてお願いします。

播本氏:パーツの破壊と組み替えは、『メダロット』らしい要素です。これまで『メダロット』を遊んできた方にも楽しんでいただけると思いますし、TCGプレイヤーにも新鮮だと感じてもらえる仕組みを入れたつもりです。どちらから入った方にも、楽しんでもらえればと思います。

大石氏:シリーズファンの方には親しんできた『メダロット』らしさ、機体や世界観を大切にしつつ、デジタルならではのテンポの良さと遊びやすさで、新しいメダロットのバトルを体験していただきたいです。

特にTCGプレイヤーの皆さんには、戦略性の高さ、できることや考えられることの多さを楽しんでいただけたら嬉しいです。

加藤氏:このゲームは考えることが多く、思考を巡らせながらじっくり遊べるゲームです。プレイ中に新しい戦術やコンボの可能性へ気づいた瞬間は、かなり「脳汁が出る」というか、とても楽しいです。

『メダロット』ファンの方も、アナログのトレーディングカードゲームファンの方も、ぜひ一度手に取って遊んでいただければと思います。

――ありがとうございました。


今回の開発者インタビューをお届けした『メダロット カードロボトルRB カブトVer.』『メダロット カードロボトルRB クワガタVer.』は、6月25日よりニンテンドースイッチ向けに発売中。価格は通常版が各5,478円(税込)、Deluxe Editionが17,600円(税込)です。

また、体験版も配信中。インタビューを読んで一度触ってみようと思った読者の方は、ぜひ一度遊んでみてください!

© Imagineer Co., Ltd.

《KAMEX》
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