台湾のメイドカフェ/コンセプトカフェ文化は、ここ数年で一気に存在感を増してきました。コロナ禍を経て消費スタイルや価値観が変化し、アニメ映画の上映機会も増えたことで、メイド文化に触れる人は着実に広がっています。一方で、現場で店を支えるオーナーたちから見ると、その歩みはまだ「発展途上」にあると言います。

若者の街と言われる台北・西門町を拠点に、「愛神」「慾魔」など複数のメイドカフェ/メイドバーを手がける店長も、その一人です。台北と中南部で異なる空気感や客層、日本と台湾のコンカフェ文化の違い、そして香港出身の視点から見た「メイド文化のこれから」について、店長にじっくり話を聞きました。
「慾魔・フォスフォロス メイドバー」とは?


今回訪れたのは、コンセプトカフェでもあり、バーでもある「慾魔」です。店内はダウンライトの落ち着いた雰囲気で、一人でお酒を楽しめるバー、働く女の子と一緒にお酒を飲めるソファー席に分かれています。女の子スタッフの衣装はイベントごとに変わります。


料金体系は、お酒が1杯250台湾ドル~、ソフトドリンクが1杯120台湾ドル~、軽食が160台湾ドル~、デザートが100台湾ドル~となっており、働く女の子と一緒に飲みたい場合は1人300台湾ドルを支払う必要があります。また、チェキは1枚300台湾ドルです。




特にお酒の品揃えが充実しており、秘蔵のお酒を含めて銘酒の数々をボトルから注文することができます。みんなで楽しく飲みたい場合は、インスタ映えするタワーショットがおすすめです。


そして、お酒のおつまみにもバッチリのチキンとソーセージがボリューミーで美味しかったです。

コンセプトは小悪魔系!魅力的な女性スタッフが勢揃い
そして、働く女の子たちが大変魅力的です。コスプレイヤーであったり、絵が得意であったり、一芸特化の子が多く、丁寧で温かみのある接客で出迎えてくれます。オーダーする時はテーブルの鈴を鳴らすと駆けつけてくれます。
小楠(Instagram:naaaaaaam_cos2023、Instagram(スタッフアカウント)phosphorus_nam、X:@Naaamuumm)


曉愛(Instagram:xuan87909)


「慾魔・フォスフォロス メイドバー」店長に聞く台湾コンカフェ事情

――台湾のメイドカフェ/コンセプトカフェ文化は、いつ頃から広がりを見せてきたとお感じでしょうか。
コロナ禍以降、2021~2022年頃から徐々に多様化が進み、広がりを見せ始めた印象です。十数年前から台北にはすでにメイドカフェは存在していましたが、パンデミックを経て消費スタイルや価値観が変化したこと、さらにアニメ映画の上映機会が増えたことで、より多くの人がアニメ文化に触れるようになりました。その結果、メイド文化への関心が高まり、一般的な受容度も上がってきたと感じています。
ただし、成熟しているかというと、まだ発展途上だと思います。現在は仲間や親しい店長たちとともに、台湾におけるメイド文化をさらに広げていこうと取り組んでいます。また、私自身が香港出身ということもあり、台湾と香港のメイド文化の交流促進にも力を入れています。

――台北(西門・信義など)と、台中や高雄といった他都市では、客層や文化的な雰囲気にどのような違いがありますか。
現実的な面では、台北は家賃やコストが高く、店舗数も多いため競争が非常に激しく、やや商業色が強くなりがちです。ただ、文化を広めるためには、まず安定した運営が必要という事情もあります。
一方で中南部の店舗は、より温かみがあり、空間にも余裕があって居心地が良い印象です。ただしその分、売上プレッシャーが少ない場合、スタッフの積極性がやや控えめになる傾向もあると感じています。

――台湾における来店客の男女比はどの程度でしょうか。また、日本との違いはありますか。
体感では男女比はほぼ半々で、大きな違いはあまり感じません。
――日本のコンカフェと台湾のメイド/コンセプトカフェの最大の違いは何だとお考えですか。
日本の店舗はテーマ性が非常に明確で、イベントも華やかに展開されている点が印象的です。個人的にもそのスタイルが好きで、目指している方向でもあります。
――台湾の客層と日本の客層では、求める体験にどのような違いがありますか。また訪台する外国人観光客にとって、台湾のメイドカフェの魅力はどこにあるでしょうか。
台湾のお客様はコミュニケーションや料理の質を重視する傾向があり、日本のお客様は衣装や空間演出を楽しむ傾向が強い印象です。台湾のメイドカフェの最大の魅力は「温かさ」だと思います。異国の中でも“帰ってきたような居場所”を感じられる点ではないでしょうか。

――コンセプトカフェを開こうと思ったきっかけについて教えてください。
メイドという仕事を知ってから、ずっと自分の店を持ちたいと考えていました。日本以外の場所でもメイド文化を広めたいという思いがあり、日本の店舗との交流も実現できたらと思っています。
開業を決意した理由は、固定的な働き方が自分に合わなかったこと、そして挑戦のある環境を求めていたからです。まだ若いうちは、失敗してもやり直せると考えました。
――現在の店舗テーマや世界観は、どのように構築されたのでしょうか。
もともとカップリング(CP)が好きで、対比のある構造に魅力を感じていました。そこから赤と青という対照的な要素が生まれ、さらに「魔法少女まどか☆マギカ」のキャラクター設定にも影響を受け、「神」と「魔」というコンセプトに発展しました。また香港出身という背景から、サイバーパンク文化への憧れも反映されています。
テクノロジーが進化しても生活の質が必ずしも向上しない現代社会に対して、「愛神」や「慾魔」という空間では、現実から少し離れた体験を提供したいという思いがあります。
――スタッフの採用・育成で重視している点を教えてください。
売上以上に重視しているのは主体性です。お客様とのコミュニケーションを自発的に行ってほしいと考えています。ただし、安全や自己防衛を最優先にすることが前提です。スタッフはお客様以上に大切な存在であり、チームがあってこそ店舗が成り立っています。
また、スタッフそれぞれの個性を尊重しており、「可愛さ」だけに限定する必要はないと考えています。自信を持つことが何より重要です。加えて、スタッフ同士の関係性の良さも非常に大切にしています。

――西門町という立地の特徴について教えてください。
固定客だけでなく、通りがかりで興味を持って来店される方が多い点が特徴です。また台湾人に限らず、世界各国からの来店があり、日本からのお客様も少なくありません。
――今後の展望についてお聞かせください。
まずは台湾を代表する存在になることを目標にしています。ブランドとして広く認知され、「メイドカフェといえば愛神」「メイドバーといえば慾魔」と思い出してもらえるようになれば理想です。
今後は台湾の他店舗とのコラボレーションや大型イベントの開催、さらには香港や日本の店舗との国際的な連携も視野に入れています。
また将来的には、妖精をテーマにした新店舗の展開も考えています。もし可能であれば香港への出店も目指したいですね。日本での展開は、まだ遠い目標ですが。
台湾と日本という複数の文化圏をまたぎながら、「メイド」という枠組みを通じて新たな居場所と楽しみ方を提案し続けるコンセプトカフェ。その試みは、各地のローカル文化と交わることで、やがて土地ごとの個性を持った独自のスタイルへと育っていくのかもしれません。
次に台湾を訪れる機会があれば、「慾魔・フォスフォロス メイドバー」で、その最前線に触れてみてはいかがでしょうか。
店舗情報:西門メイドバー【慾魔・フォスフォロス メイドバー】
「やっと戻ってきたね……私の“宿主” 慾魔協定はすでに発動した。渇望と闇こそが、これからのあなたを突き動かす唯一の燃料となる。」
ご予約・お問い合わせは、ぜひInstagramのDMまで。
営業時間:
日曜~木曜:20:00~1:00
金曜・土曜:20:00~2:00
住所:台北市中正区中華路一段100号 3階(29-1号3階)
メイド長のアカウントはこちら(Instagram:aph.phos_mima)
撮影:乃木章














