コスプレと聞くと、アニメやゲームのキャラクターを思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど、日常ではまず着ることのない特別な衣装や、その土地ならではの文化をまとったキャラクターに心を惹かれる人もいるのではないでしょうか。
たとえば日本を象徴するモチーフを取り入れたキャラクターとしては、巫女や舞妓を連想する人も多いはずです。同じように、世界各地にはその地域の信仰、風俗、ストリートカルチャーなどを反映した個性豊かなキャラクターが存在します。
今回紹介するのは、台湾の人気イラストレーター「HiRo Artwork」さんが手がけたオリジナルキャラクター。設定は、台湾の民間信仰における「乩童(タンキー)」、挑発的で生意気な「メスガキ」属性、そして台湾の若者文化を示すスラング「8+9」を組み合わせた台湾VTuberです。
乩童とは、廟と呼ばれる民間信仰の施設で神々の意思を伝える役割を担う人物のこと。神様を自身に降ろし、その言葉やメッセージを信者に伝える存在として知られています。一方で台湾では、一部の公廟や乩童に対して、反社会的な人々とのつながりなどを含む複雑なイメージを抱く人もいるとされます。
そのイメージと結び付く言葉の一つが「8+9」です。これは、反抗的な態度を取る、強気で威圧的に振る舞う、あるいは不良グループなどと関わりを持つ若者を、やや揶揄的に指す表現です。日本語でいえば「イキった若者」や「ヤンキー」「不良少年」に近いニュアンスがあります。言葉の由来は、台湾の民俗信仰・芸能で知られる「八家将」と台湾語での発音が似ていることにあるといわれています。
このイラストは公開当時、台湾のネットコミュニティでも大きな話題を集めました。今回はHiRo Artworkさんから許可を得たうえで、香港出身で台湾在住のコスプレイヤー「小楠(こなん)」さんが、その独特な世界観を見事に立体化しています。
民間信仰を思わせる装いと、ストリートカルチャーを感じさせる空気感が同居したビジュアルは、まさに台湾らしさが凝縮されたデザイン。ロケ撮影中、通りがかった年配の女性から「三太子!」と声をかけられたというエピソードも、このコスプレが現地の人々に強い印象を与えたことを物語っています。
「三太子」は台湾で広く信仰され、祭祀や行事にも招かれることの多い神格の一つです。乩童を思わせる神秘性と、どこかシャーマンのような存在感を備えている点も、このキャラクターならではの大きな魅力といえるでしょう。
台湾Vチューバー
イラスト:HiRo Artwork
コスプレ:小楠(Instagram:naaaaaaam_cos2023、X:@Naaamuumm)





撮影:乃木章(X:@Osefly)














