既に100万人以上がプレイしている、Xbox One向けアドベンチャーゲーム『D4』。開発は「最も評価の割れたサバイバルホラーゲーム」とギネスに登録された『レッドシーズプロファイル』のディレクター・SWERY(末弘秀孝)氏率いるアクセスゲームズで、先日PC版の発売が発表されました。PC版ではマウス操作に対応し、様々なDLCを最初から収録。パブリッシングはPLAYISMが行い、Xbox One版同様に日本語でプレイすることができます。そのPC版が5月8日から10日まで東京・秋葉原で開催された「東京インディーフェス2015」に出展されました。そこでインサイド/Game*Sparkでは、会場にてSWERY氏にインタビューを実施。PC版の特徴やシーズン2の配信時期、そして日本語ボイスなど、興味深い話をお伺いしてきました。◆『D4』開発秘話――すでに多くの来場者がPC版『D4』をプレイされていますが、“尖がっている”という意味ではインディーゲームに近い作品ですよね。SWERY:資本的にはインディーデベロッパーではないんですが、僕らはインディー魂を持ってゲーム作りをしています。もちろんヒットさせる必要はあるんで、“流行”ではなく“自分たちで作りたい内容”で作品をヒットさせていこうという精神です。――その魂というか精神は強く感じました。次世代機で海外ドラマのようなフル3DのADVを日本の会社が作ったんですからね。しかも完全新規……普通ならやらないです(笑)SWERY:おっしゃるとおりで、特に“日本のデベロッパーが作った”というのは皆さん驚かれていました。開発者の友達にも「最近は何やってるんですか?」ってよく聞かれて、「D4を作っているんですよ」って答えたら「ええぇ!」って(笑)我々としては、「日本向けだと“人気が出やすい作風”が必要だけど、ワールドワイドで見たら、どこかに僕らの作品に共感してくれるユーザーがいるはずだ」という考えで『D4』を作ったんで、この反応は凄くうれしかったです。――疑っているわけじゃないんですが、本当に日本人の方が作られているんですよね。SWERY:アクセスゲームズは大阪の中央区にあるんですけど、そこで日本人が作っていますよ(笑)。マイクロソフトさんとの契約の関係で、ネイティブの開発者が2名ほどチームに居ますが、海外ゲームの良い所を日本人の感覚でアレンジしています。――それは実際にプレイして感じました。特にKinectのシステムはよく出来ていたと思います。SWERY:Kinectのゲームって、どれもダンスゲームのようにポーズをコピーするシステムを作ろうとするんですけど、そうするとゲームで起こっている事よりも入力の方が優先されて、バランスが悪くなるんですよ。なので『D4』では、「ドラマを見るように寛いで、誰でもカジュアルに新しい体験を提供する」というコンセプトを立てまして、今の形に落とし込みました。――その苦労あって、あの気持ちの良いQTEが出来上がったんですね。SWERY:ありがとうございます。やはりKinectが楽しいと言っていただけるのが一番嬉しいですね。どうしても「Kinectだからいやだ」というユーザーさんがいらっしゃるので。――ストーリーや演出面で参考にした作品はありますか。SWERY:特にコレという作品はありませんが、プロジェクト開始時は毎週木曜日の17時から19時まで「ドラマタイム」と題して、チーム皆でその時流行っていたドラマをずっと見ていました。――似た取り組みをされている作品は他にもあると思うんですが、海外ドラマの様なゲームを日本人が作っちゃうと、何故だか寒い演出になったりするじゃないですか。でも『D4』は凄くかっこよかったので驚きました。SWERY:先日「荒木飛呂彦の漫画術」(集英社)という本を読んだんですけど、主人公が間抜けで窮地に陥るのは駄目だと書かれていました。まさにその通りなんですが、日本のゲームってそれ多いじゃないですか。それお前のせいやん!!って(笑)ですので、その要素は徹底的に排除しました。あと、プレイヤーが気づいているのに主人公が気づいていないは“探偵”として微妙なので、そこも気をつけています。――特徴的なグラフックについてもお聞きしてよろしいですか。SWERY:このグラフィックを実現するために、多くの時間をシェーダーに注ぎ込みました。開発には「全体の調整」「塗り部分の抽象化(アブストラクション)」「エッジの調整」の3項目をそれぞれ1人のプログラマが担当しているんですが、彼らはプログラマなので、「このイラストみたいに」と例を出しても直ぐには理解できません。なので、「ここはこういう塗りにしたい」と細かく指示して、アートディレクターと一緒に時間をかけて丁寧に作りました。因みにアートディレクターは僕の先輩で「テリー・ボガード」を描いていた人なんですよ。◆PC版の特徴――ちょうど後ろでPC版のデモが出展されていますが、PC版ではKinect操作がマウスになるんですよね。SWERY:当初はPC版を発売するつもりはなくて、GDC2014のカンファレンスで「感覚再現」の話をするときに「Kinectがなくても実現できますよ」という証明のためにPC版を作ったんです。そしたら売ってくれという意見を沢山頂いたので、発売することになりました。――実際にプレイさせていただいたんですけど、マウス版もかなり面白かったです。SWERY:最初はもっと複雑だったんですけど、それをシンプルにチューニングしていきました。開発状況としては、5月上旬にすべての要素が入りきって、今はそれを僕が見ている段階です。なので「ここも少しチューニングしないといけないなあ」という部分がまだ残っていて、昨日もホテルでリストを作っていました(笑)。――他にも変更点があると思うんですけど、ここに注目して欲しいという要素はありますか。SWERY:さっきの話の続きになるんですが、ただマウスに対応しただけじゃなくて、“一点にポインターを置く”などマウスが得意な動きをゲームプレイに反映しています。なので、Xbox One版とは違った感覚でプレイできます。また、DLCがすべてゲームプレイで入手でき、60fpsで動作します。『D4』はアクションゲームや格闘ゲームではないんですけが、物語が60fpsで描かれるのは非常に美しくて魅力的ですよ。◆今後の展開――因みに続編はいつでますか。SWERY:……気になりますよね。シーズン2の質問はツイッターでも一日に10件ぐらいくるんですよ(笑)。飲みに行った写真を上げたら「それよりはシーズン2は?」って!今日も「PC版を出しているすよ」って言ったら「PC版おめでとう!で、シーズン2は?」って言われちゃいました。皆さん気にされていると思うんですけど、様々な関係性がありまして、「頑張ってます」としか……。――ラストがあれですからね……私も待ってます!SWERY:丁度この前、Twitchで生放送されている海外のユーザーさんを見つけたんですが……エンディングを見た後に頭を抱えて「うおぉぉ!こんなところで!!」って(笑)。それを生で見てしまったんで、頑張らないといけないなと強く思いました。頑張ります!――ちょっと料金形態が分かりにくかったんですが、料金はシーズンごとに掛かるんですよね。SWERY:そうですね。シーズン1が1,500 円 (税抜)で、それ以降は追加で頂くことになります。シーズンごとの販売は評判が良かったので、いいアイデアだったのかなと思います。――PC版はPLAYISMからパブリッシングされますが、最初から決まっていたんですか。SWERY:最初はお友達としてPC版の相談していました。でも話しているうちに、凄く真面目で「この人たちとだったら僕はクリエイティブに専念できる」と感じるようなったんです。それに会社の規模とか考え方も近いので、いいパートナーだと思います。――日本語版も出ますしね。SWERY:もちろんですよ!あとまだ夢の段階なんですが、いつかは日本語吹き替え版を出したいんですよね。パッチとかで。――それはいいですね!あとPCスペックはいかがでしょうか。SWERY:Xbox Oneのゲームなので、推奨スペックは高いです。ただ必要スペックはそれほど高くなくて、2年ぐらい前のPCでも十分です。また解像度など様々なオプション機能を追加しているので、画質を落とせば、体験と物語は問題なく楽しめます。――ミドルスペックのユーザーには朗報ですね。SWERY:D4のゲームデザインってカジュアルだと思うので、それなのにコアな人しか遊べないというのはよくないなと。――PC版を作られたことで、新しく得たアイデアなどはありますか。SWERY:オプション項目は勉強になりました。またマウスによる“クリック”や“一点保持”など、マウス操作のゲームデザインのアイデアは膨らみました。――最後に読者へ向けてメッセージをお願いします。SWERY:実は僕も読者です。皆さんも僕と同じ気持ちで普段から読まれていると思うんですが、ご存知の通り取捨選択好して記事を載せられるメディアなので、そこに『D4』が載るのは非常にありがたくて光栄です。もし読者の方でまだ『D4』をプレイしていない方がいらっしゃいましたら、カジュアルで絶対面白いので、ぜひ遊んでみてください。――ありがとうございました。PC版『D4』は6月5日配信予定で、価格は14.99ドル(1480円)。PLAYISMほか、Steam・Humble Store・GOG.comでも配信されます。
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